先日カシオの最新腕時計展示会に行ったとき「16万円のG-SHOCKがある」と聞かされて、「えっまじすか」と思った。「16万円まじすか」と。
記者の中ではG-SHOCKといえば、安くて頑丈、スケーターやストリートバスケのおにいさんがつけている、ヨコノリ系の遊べる時計。記者がその日つけていたのも、そのむかし数千円で買った『Baby-G BG-5606』(ホワイト)だ。
しかしそんなG-SHOCKも今年で32歳。顧客とともに年を重ねていくと、ブランドもだんだん年をとり、手の届かない存在になってしまうものであろうか。
そんな気持ちでカシオのおねえさんについていったのだが、いざ16万円の新製品『G-SHOCK MTG-G1000D』を見せてもらうと、記者の不勉強からくる勝手きわまりない感傷はどこかに飛んでいくことになった。
針の動きにこだわった
樹脂とメタルの組み合わせが特徴のG-SHOCK MT-Gシリーズは、G-SHOCKの中でもフラグシップの『MR-G』シリーズに次ぐ高級路線。機能美をコンセプトに進化してきたシリーズで、新製品はブルーがいい感じだった。
青が入っているのは、ベゼル、クロノグラフの一部、G-SHOCKの刻印、そしてベルトの裏側。全体的に男っぽいごつごつしたデザインなので、カラーは主張が少なく、さりげないくらいがちょうどいいのだろう。
新製品には新技術がてんこ盛り。とくに“動き”にこだわったそうだ。
「針が調整時にすばやく動き、表情がつけられるようになっています」
秘密はデュアルコイルモーター。一部のモーターに使うコイルを2倍に増やし、時刻合わせなどの動きを高速化している。また針は時・分・秒ともに独立して動くので、時刻合わせでやたら回りまくることはない。
実際に動くところを見せてもらうと、まじで速い。ギュイーーーンという擬音があてはまるくらいの速さで動く。かと思えば、最後に止まるときはスローになるという演出も細かく、これがデュアルコイルの威力か。
さらに、今回は衝撃吸収機構も刷新。ケースの下にクッションをつけたような『新コアガード』構造をとりいれ、さらに衝撃に強くなったという(現時点でもう十分強いと思うのだが)。
時刻合わせは、世界6局の標準電波に加えて、GPS衛星からの情報を合わせた『GPSハイブリッド電波ソーラー』で、対応する国の数を増やした。ソーラー充電システムも備え、ついでに強めのLEDライトもついている。
カシオには『オシアナス』というビジネスウォッチがあるが、G-SHOCKはオシアナスとは異なる方向で技術をとぎすませている。
カシオのおにいさんに利用者像をたずねたところ「秘境を回るような商社の方とか。見えないエリアでもLEDライトを使ったりして」と言っていた。かなりハードなメンズを想定されているらしい。
なおG-SHOCKは樹脂製ミリタリーカラーのかわいい新製品(DW-5600M)なんかもあり、1万2000円と手ごろだ。ホワイトとネイビーが欲しい。
そういうわけで16万円のMT-G新製品はカッコよかった。16万円と言われてひるんだが、実際手にとって、機能を説明されると、ああこれがいまのG-SHOCKというものかとサイフの紐がゆるんでくる。
もういい年だしこれくらい持っていてもいいのかもしれない。アスキーで秘境に行くかもしれないし。
