セールスフォース・ドットコムは9月4日、ユーザーごとのロールに特化した分析アプリ群「Wave Analytics Apps」を発表した。第一弾のWaveアプリとして「Sales Wave Analytics」をリリースする。営業責任者向けに特化したテンプレートやトレンド分析を提供し、素早いアクションと売上の向上を支援するという。
即座にアクションに結び付くインサイトを提供
同社によれば「昨今、膨大な量のデータからインサイトを与え、即座にアクションを起こす機能は、一般的なコンシューマアプリで提供されている一方、ビジネスにおける分析ソフトにおいては、適切なデータフィードとアクションの実行ポイントの両方と連携していないため、企業はビジネスに求められるスピードで意思決定できないのが現状」という。
そこで「Wave Platformを基盤とするAnalytics Cloudによって、エンド・ツー・エンドの分析プロセス全体を根本から見直し、ビジネスユーザーがあらゆるデバイスであらゆるデータを分析し、新たなインサイトを獲得できる環境を実現した」とする。
Wave Analytics Appsは、ビジネスユーザーのロールごとに特化して設計されたテンプレートをパッケージ化して提供するもので、各社のニーズに合わせてカスタマイズして利用可能。これらのテンプレートへCRMデータを取り込み、ユーザーは数分でアプリを使い始められる。また、企業のすべての部門で追跡管理すべきベストプラクティス、KPI、評価基準によって、部門や業務の責任者は任意の時点における自分のチームのパフォーマンスをチェックし、ビジネスの速度を高められるという。
分析から得られたインサイトに基づいて意思決定を下したら、アプリ環境内ですぐにアクション――例えばタスクの作成や会話の開始、パフォーマンス評価の変更などを実施できる。Wave Analytics Appsは、Salesforce1 Platformとネイティブに統合されているため、アプリ内で実行された変更が事前定義済みのデータフローによってSalesforceに自動的に反映され、その変更に関連するSalesforce内のすべての評価基準も更新される。
第一弾は営業責任者を対象としたテンプレート群
第一弾として提供されるSales Wave Analyticsは、営業責任者を対象としたWaveアプリで、事前定義済みのセールスアクセラレーターテンプレートを通じて、Salesforce内のすべてのセールスデータを簡単に分析できるという。
パイプライン管理および予測から四半期業績評価、チームパフォーマンスまでさまざまなニーズを満たすようにデザインされた幅広いテンプレートが用意される。
例えば営業担当役員であれば、携帯電話を使ってリアルタイムのパイプライン分析を実行し、その結果を製品の営業実績と相互参照することで、予測値をリセットしたり、主要目標値を達成するためにテコ入れが必要な案件を明確にしたりすることができる。
Sales Waveトレンド分析では、営業責任者は将来の意思決定に左右するトレンド評価基準をアナリストが提供するまで待つ必要はなく、いつでもあらゆるデバイス上で知ることができる。四半期別の売上、営業担当者の実績の年別比較、商談のコンバージョン率、取引額を基準にしたセールスサイクルの長さなど、営業責任者はセールスチームの過去の実績をあらゆる価値から分析することで、表に出てこないトレンドを明らかにすることが可能。
さらにSalesforce Waveアクションとして、セールスチームはタスクの新規作成や終了日の変更、最適な相手とのコミュニケーションをすべてアプリ内で直接行えるため、時間を節約し、貴重なセールスサイクルを短縮できる。例えば、各地域のセールスマネージャにとってコーチングとチームのパフォーマンスは職責の一部だが、Sales Waveでは高い実績を上げている営業担当者を識別出来るだけでなく、実績の低い担当者と協業するように配置することで、ベストプラクティスの共有を促進することができるという。
Sales Wave Analyticsは現在一部の顧客向けにパイロット版を提供中で、2015年後半に英語版の一般提供を開始する。その後、英語以外の言語のサポートも逐次行っていく予定。価格はまだ明らかにされていないが、月額ベースでの提供となる見込み。iPhone/iPad/Apple Watchもサポートする予定で、他のデバイスも逐次サポートしていく。