リコーは8月20日、「RICOH THETA デベロッパーズコンテスト」の表彰式を日本科学未来館で開催した。
RICOH THETA デベロッパーズコンテストは、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所が共催、日本科学未来館が協力し、360度の全天球イメージ・動画が撮影できるカメラ「RICOH THETA」のアプリケーション・ガジェットを開発するオープンコンテスト。
コンテストでは、RICOH THETAをより便利に使うためのアプリケーション・ガジェット72作品の中から、大賞、アプリケーションAPI部門賞、アプリケーションユーティリティ部門賞、ガジェット部門賞、RICOH THETA賞、審査員特別賞を選出。エントリーは、世界15ヵ国からあった。
コンテストの審査員は、東京大学大学院情報学環教授の坂村 健氏、日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任の小澤 淳氏、NAKED Inc. 代表の村松 亮太郎氏、アートジャーナリストのDora Tauzin氏、リコー 代表取締役 会長執行役員の近藤 史朗氏が担当。選定ではイノベーティブなものを重視し、革新性(独創性)、夢(将来性、発展性)、有益性(実用性)を審査基準としたという。
大賞はドイツのbitstarsという会社が開発した、全天球イメージに3Dオブジェクトを追加できるウェブアプリ「Holobuilder-a web-based virtual reality creator using 360° Theta photos」が受賞した。受賞作品および応募チームの詳細は以下の通り。
受賞作品 | |||
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賞 | 「作品名」 | 応募チーム名 | 作品概要 |
大賞 | 「Holobuilder-a web-based virtual reality creator using 360° Theta photos」 | bitstars(ドイツ) | 全天球イメージに3Dオブジェクトを追加できるアプリ |
アプリケーションAPI部門賞 | 「360HDR」 | aimino | RICOH THETAのHDR撮影ができるアプリ |
アプリケーションユーテリティ部門賞 | 「3Dパノラマ画像計測システム PanoMeasure2」 | ズームスケープ、インベステム | 全天球イメージを元に図面作成や寸法計測できるアプリ |
ガジェット部門賞 | 「Ambisonics360 マイクロフォン」 | Qos_mic | 周囲360度の音を記録するマルチチャンネル・サラウンドマイク |
RICOH THETA賞 | 「Theta GPS」 | Cornelia and Harald Meyer(オーストリア) | 指定した地点に到達すると自動的に撮影開始・終了できるアプリ |
RICOH THETA賞 | 「CliPETA」 | 石村 司 | 360度を分割して複数回撮影すると1つの全天球イメージを作成 |
RICOH THETA賞 | 「360 Coffee Shop」 | 360 Coffee Shop(香港) | 全天球イメージと共にコーヒーショップの情報が共有できるSNSアプリ |
RICOH THETA賞 | 「ポータブルパノラマプレイヤー」 | MIRO | 専用ビューアー不要、ブラウザー上で動くパノラマプレイヤー |
RICOH THETA賞 | 「スマートエンジンカメラ きらりNINJA」 | 日本郵船/MTI/ダイトエレクトロン | 船のエンジン内部撮影用に照明と冷却材を備えたガジェット |
審査員特別賞 | 「Journey360」 | タオソフトウェアチームサンディ | 全天球イメージで思い出をたどるマップを作成するアプリ |
審査員特別賞 | 「THETA PACKAGE HMD」 | itachin | RICOH THETAパッケージを簡易ヘッドマウントディスプレーに |
特別審査員賞 | 「なかよしボックス」 | ParkCaravan実行委員会 | みんなで覗くと笑顔になる不思議な箱 |
ユーザーと共に新しい可能性を広げていきたい
表彰式では、リコー 代表取締役 会長執行役員の近藤氏が登壇。「RICOH THETA デベロッパーズコンテストに、世界中からたくさんの応募をいただき感激しています。今回のコンテストは、ユーザーとともに新しい映像表現の楽しさを広げていきたいという思いから開催しました。そのためにRICOH THETAのAPIを公開して、ユーザーの皆様に新しい使い方を考えてもらいたいとお願いしました。どれだけの手ごたえがあるかドキドキしていましたが、結果はたくさんの応募をいただき、どれも素晴らしい作品でした。我々さえ気づかなかったRICOH THETAの使い方を知り、感謝しています」と述べた。
続いて、日本科学未来館 館長の毛利 衛氏が登壇し、「RICOH THETAはあっというまに世界に広がり、リコーという会社の世界での影響力に驚かされました。未来館でも、球体のディスプレーに今の地球など様々なものを映して展示しています。未来館の最終目標は、皆さんと力を合わせて新しい科学技術をつくるということなので、専門家と一般の人の架け橋になりたいなと思っています」と述べた。
また、コンテスト審査員代表として坂村氏が登壇。「私は、オープンデータやオープンAPIを全部公開するべきだという運動をしています。最近の大きい会社はコンサバティブなところも多いですが、リコーはあたらしい考え方に理解を示してくれています。私は、未来のカメラのデザインはディスプレーがなく、レンズのみになるのではないかと考えていますが、RICOH THETAはそれに近いデザインになっています」とコメント。
続けて「コンテストは、世界の15ものエリアから応募してもらい、173件ものエントリー、72作品もの応募がありました。唯一残念なのは、期間が2ヵ月しかなかったということです。しかし、今後もコンテストは実施していこうと話していますので、オープンなAPIで新しい使い方を皆でつくるということに、是非参加してもらいたいです」とコメントした。
