インテルは、今年4月に、ムーアの法則が提唱されてから50周年を迎えた。その記念として、東京・北の丸公園の科学技術館において、小中学生向けの夏休みイベント「ムーアの法則 50周年記念展示」および「親子PC体験教室」を開催している。
「ムーアの法則 50周年記念展示」は、8月1日〜21日まで開催しているもの。ちなみに、1964年に開館した科学技術館も昨年50周年を迎えており、開館50周年記念展示として8月8日から「くらしの技術⇔50年、大展望展」を開催している。
科学技術館の展示室2階のエスカレータ横の壁面に、ムーアの法則50周年記念展示のスペースを用意。1970年にインテルが初めて開発したマイクロプロセッサ「4004」をはじめ、最新の「第5世代インテルCoreプロセッサ」までの歴代の主要なCPUを展示したほか、14nmプロセス技術によって製造されたウエハーや、最新のパソコンも展示された。
インテルの江田麻季子社長は、「科学技術館には夏休み中の子供たちが多く集まる。科学技術は未来の基盤であり、コンピューティングの歴史を知ってもらうことで、科学やコンピュータサイエンスに興味をもってもらいたい」と、このイベントの狙いについて語った。
ムーアの法則は、インテルの創業者であるゴードン・ムーア氏が1965年に米学会誌「Electronics Magazine」において提唱したもの。「半導体チップに集積されるトランジスタの数は約2年ごとに倍増し、それに反比例して製造コストは減少する」という将来予測を掲載した。その後、半導体の進化はまさにムーア氏の予測通りに進み、CPUが進化を遂げてきた。
インテルでは、その進化を例えるためにいくつかの例を出している。
たとえば、クルマの燃費がムーアの法則と同じ進化を遂げた場合、ガソリンタンクを一度満タンにすれば一生運転ができることや、同じペースで小型化が進んだ場合、クルマの大きさはアリと同じ大きさになるといったことを挙げている。一方、性能の進化を当てはめると、月に行くまでに3日間かかっていたものが、1分で行けるようになるといった具合だ。展示のほか、こうしたたとえ話を掲載したパンフレットも配布している。
江田社長は、「ムーアの法則は自然法則ではなく、手を変え品を変え、多くの壁を超えて進化してきたものである。性能が高まり、電力効率を高めるとともに、コスト削減という経済的なメリットを実現したことが大きい。だからこそ、社会に与えるインパクトが大きい。かつては、ひとつの部屋ほどの大きさがあったコンピュータが、手のひらで利用できるようになった。50年間に渡ってムーアの法則が続いたことには、感慨深いものがある」とした。
江田社長は、1978年にデスクトップPCに8086プロセッサが搭載され、高い価格で販売されていたことを振り返ったほか、1993年にはPentiumプロセッサにより、音声や映像を楽しめるマルチメディアパソコンが登場したこと、2003年には電力効率と高性能を両立したCentrinoプロセッサにより、ノートPCが広がりをみせたこと、2011年には第2世代インテル Coreプロセッサにより、Ultrabookが登場し、スタイリッシュさを追求したノートPCの増加に貢献。そして、2015年の第5世代インテルCoreプロセッサでタブレットとしても利用できる2in1パソコンが登場したことなどにも触れた。