夏休みの上京中、格安SIMは使い物になるのか?
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お盆の休日を含め、夏休みに東京に来る人も多いだろう。また、東京や東京近郊の人でもふだんは会社や学校にいて、都内の繁華街にはあまり来ないという人も、休みの日くらい出掛けることもあるかもしれない。
ふだんは来ない場所で必要なものといえば、サクサク動くスマートフォンとそのサクサクさを活かす回線スピードだ。地図はもちろんのこと、グルメをはじめとした街の情報を得るには、いまやスマートフォンなしでは始まらず、見知らぬ場所だからこそ、一分一秒でも早く情報が欲しい。ある意味、通信環境の品質に最もシビアな場所が観光地と言えるかもしれない。
そこで、格安SIMのなかでも数少ないauのネットワークを使うmineoを使い、JR山手線の主要駅で速度を計測した。混雑する駅ゆえに速度が出ないのではないかという先入観はあったが、その先入観は間違いであることがわかった。そして、その傾向と対策を考えてみた。
さらに今回は対応周波数帯の違う2機種を用意した。800MHz帯と2GHz帯に対応のLUCEと、さらにWiMAX2+およびCA=キャリアアグリゲーションにも対応したAQUOS SERIEである。各携帯電話事業者では周波数の逼迫ゆえに周波数帯を拡大するニュースが伝えられているが、その違いが現われてくるのかも見てみたい。
通信速度の計測方法
・計測駅は、池袋・新宿・原宿・渋谷・品川・東京・秋葉原・上野の8駅・原則として各駅改札口を出てすぐの屋外で計測
・端末はAQUOS SERIEとLUCEで計測
・OOKLAとRBB TODAY SPEED TESTで上下3回ずつ計測し、それぞれ平均値を求める
・計測時間は平日の昼間(13~17時)
普段使いが不可能だった駅はなし!
混雑する駅は、通信も増強されている
山手線のなかでも駅前が混雑していそうな8駅を回ってみたが、結論としては乗降客が多いからと言って速度が遅いわけでもなく、反対に乗降客が少ないからといって速度が出るわけでもなかった。つまり、人の多い駅ならば見合った増設がすでになされていることと想像される。そのため、実用にもならないほどの速度低下は今回の計測の範囲ではなかった。
なお、周波数帯の対応が多いこともあり、機種別ではAQUOS SERIEの圧勝と予想していたが、場所によっては逆転されていることもあった。周波数帯の対応の広さは全体的な速度アップの傾向はあるものの、いつ何時でも速いという保証ではない。なかなか通信の奥深さを感じたテストだった。
なお、軽く注意事項を。今回は、1つの端末につき各駅で計6回ずつ計測したが、その計測だけで1.5GB弱消費した。つまり、容量が限られる格安SIMでは、安易な通信速度計測はご法度だ。
そして見知らぬ土地では、お目当ての場所にたどり着くために地図アプリを多用しがちだが、リアルタイムの道案内機能は想像以上に容量を消費する。観光の際は、できるだけ紙の地図も併用するのが、賢い格安SIMの使用法と言えよう。適材適所で夏休みを満喫してほしい!
次は、8駅それぞれの結果と感想を簡単に。
池袋駅――さっそく上り速度で端末差が!
最初に足を運んだのは池袋。昔であればサンシャイン60で空から東京見物……という街でもあるが、今は二大家電量販店の競合の場であったり、水族館、駅前大型百貨店などと人の集まる要素は十分に揃っている。一方で私鉄からJRへの乗り換え駅として、通勤通学者の通過点としての混雑もたいへんなものである。
早速、速度を計測してみると、AQUOS SERIEで約25Mbpsという数値を記録した。対応周波数帯が少ないLUCEは下りのトップスピードこそ振るわないが、上り速度はAQUOS SERIEよりも約2倍速く、写真や動画のアップロードという面ではむしろ好都合な高速ぶりだ。昼休み混雑も残る13時30分ごろの測定でこの数値は優秀だ。これなら下調べが不十分でも安心して街の情報を検索できる。
新宿駅――意外!? 厳しいが必要十分の速度は出ている
ショッピング、エンターテイメント、ビジネスと街の要素がすべて詰まった新宿。しかも、すべて国内でも最高クラスの規模を備えており、その混雑ぶりから携帯電話の利用にはたいへん厳しい街と言えることもできる。
数値的にもそれが現われており、AQUOS SERIEで計測する下り速度では今回の計測ポイントのなかでも最低の数値を示している。とは言っても10Mbpsに近い数値が出ていることから、必要な速度は出ていると考えられる。極端な速度ムラがあるわけでもないので、スマートフォン上でWebブラウザや地図アプリを使っていたとしても、速度低下は感じられない。
原宿駅――下りはコンスタントに良好な数値が!
若者の街、原宿。買い物にやってくる若年層が非常に多いところであるが、平日昼間ということもあり、修学旅行風の学生を除けば、学生よりも少し上の年代の人たちが多いように見える。
しかし、逆に測定結果は非常に高速となっている。単に女子高生たちの通信のピークとは違う時間帯なのかもしれないが、このくらいの速度を出せるほど電波が飛び交い、きちんと通信ができるよう、増設されている可能性もある。また、今回計測したのは有名な駅舎がある表参道口改札の前。若者がごった返すのは竹下口の改札なので、竹下通り側ではまた違った結果が出る可能性がある。
渋谷――絶望的かと思われたが……
人が多いハチ公前広場で計測。待ち合わせのメッカだけに、携帯電話で連絡をとり合う人が昔から多い場所でもある。その分、幾重にも重なりあった電波が飛び交い、逆に通信は良好な可能性がある。果たして速度を測ってみると、そこそこの数値が出ている。実際、速度テストにおいてもひっかかりもなく、スムースに計測できた。
AQUOS SERIEとLUCEで速度の違いが読み取れるが、特に注目は上り。AQUOS SERIEは下りは速いものの上りが遅いという結果になっている。連続的にダウンロードするならAQUOS SERIEだが、検索を重ねるような場面や、写真のアップロードなど上り回線が重要という場面ではLUCEが速い可能性がある。
計測表には載せていないが、駅前でも少し場所を移動すると、速度や快適度が大きく変化する。混雑対策で複数の基地局が密集していることもあり、速度が遅かったりした場合に少し場所を変えると改善する可能性もある。
(次ページでは、「品川・東京・秋葉原・上野の速度も計測!」)
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