AMDになってからのFireシリーズ
さて、ATIはこの後AMDに買収され、この結果としてFireシリーズのラインナップも整理(?)される。なぜ(?)が付くかというと、あまり整理されたように見えないからだ。
まず、従来長くプロフェッショナル用途として使われてきた、OpenGLでの高速・高精度描画向けにはFirePro 3Dシリーズが用意された。基本的にコンシューマー向けのRadeonと同一のハードウェアを利用し、ドライバーが専用のものになっている。
またATI FireMVはFirePro Multi Viewに改称された。こちらはATIの時代から専用ハードウェアが用いられており、これはFirePro Multi Viewも同じである。もっとも専用ハードウェアといってもGPUそのものは既存のもので、カードが特別というだけだ。
そしてATI FireStreamはAMD FireStreamとなり、こちらはGPGPU向けの製品、具体的に言えば既存のRadeonベースのカードから映像出力コネクターが省かれたものが発売された。
ここまでのラインナップはATI時代と変わらないのだが、このあと再度ラインナップが変更になった。現在は以下のラインナップがある。
FirePro Vシリーズ
結果からすれば低価格のFireProシリーズという位置付けになっており、正直次のFirePro Wシリーズとの製品差別化の要因がわかりにくくなっている。強いて言えばGCN以前のアーキテクチャーが全部ここに押し込まれている感じだ。
FirePro Wシリーズ
FirePro 3Dの後継というか同じ路線向けではある。ただし、FirePro 3DにFireStreamを足したようなラインナップで、3DだけでなくGPGPUとしての使い方もできますという売り方になっている。
これは、FirePro VシリーズのハイエンドであるV7900ですらRadeon HD 6900シリーズのCaymanコアなのに対し、FirePro W9100はRadeon R9 290Xと同じHawaiiコアになっているあたりからも見て取れる。
もっともそのWシリーズもローエンドのFirePro W2100はRadeon R5 250とほぼ同じ構成(若干動作周波数やメモリー速度が落とされている)で、どう考えてもGPGPU向けとは言えない。Vシリーズのところでも書いたが、どうもGCNアーキテクチャーの製品が全部Wシリーズということらしい。
FirePro Sシリーズ
FirePro Wシリーズの中でGPGPUに特化させたモデル。こちらはサーバーに組み込むのが前提(なのでSシリーズらしい)で、画面出力を持たない。例外はリモートデスクトップに対応したFirePro R5000という製品で、Sシリーズではないのだが他にファミリー製品がないためか、なぜかSシリーズに分類されている。
Radeon Skyシリーズ
NVIDIAが2013年に発表したNVIDIA GRIDというGPU仮想化技術向け技術の対抗馬として急遽用意されたものである。
→次のページヘ続く (高性能だが発売が遅すぎたFirePro)

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