コンプライのイヤーチップが合うかも?
マスタリングで音圧を稼いだような分離の悪いソースもよく解像しますが、情報量が多いので、単にうるさく平板に感じられる場合もあります。ある程度ダイナミックレンジが確保されたソースならいいのですが、普段聴く音楽ソースとの相性次第では、残念ながら好みの分かれ目となるかもしれません。
ただ、DN-2000Jは大量に付いてくるパーツで、細かいチューニングが効くことも魅力です。特に高域がうるさく感じられる場合は、付属するコンプライのイヤーチップを試してみることをおすすめします。
コンプライのようなフォームチップは、ノズル開口部にチップの一部が被ってしまうなどして、高域を減衰させてしまうこともあるのですが、逆にその特性を利用して、積極的に使ってやればいいということです。遮音を稼いで低域のボリュームを上げる効果もあるので、全体のバランスとしてもいい方向に持っていけます。
私はDN-1000のバランスが好きでいまだに愛用しているのですが、DN-2000Jには、タイトながらもローエンドから出ている低音域の表現に魅力を感じました。また、軽さや手触り、シックな外観など、日常的に使う道具としての魅力もあります。DN-1000、DN-2000、DN-2000Jと、キャラクターの異なる3機種が揃ったことで、これから選ぶ方には悩みが増えてしまったかもしれません。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ