6月20日に一般販売が開始された、ソフトバンクのパーソナルロボット「Pepper」。これまでは人の感情を認識する機能のみを搭載していたが、あらたに外部から得た情報を元に、人間のホルモンバランスの変化を擬似的に再現して感情を生成する「感情エンジン」を採用するなど、発表から1年で大きな進化を遂げている。
先日行われた記者発表会では、Pepperの新機能だけでなく、提供形態に関しても興味深い情報があった。法人向けの販売も当然行なうのだが、さらに手軽にPepperを利用したいという企業向けに、時給制アルバイターとしてPepperを派遣する「アルバイト派遣」を7月1日からスタートさせるというものだ。
世界初の「アルバイト派遣ロボット」が誕生するわけだが、そもそもこのサービス、一体どういうものなのか。
時給1500円でロボットを借りられるなら安い?
まずは10体の配備が予定されているアルバイト派遣のPepperだが、時給1500円でティッシュ配りや受付、販売などの業務を任せることが可能とされている。現在は予約受付が実施されており、7月中は東京23区内の依頼のみを受け付ける。9時~14時、15時~20時、9時~20時の時間帯で、業務に応じてアプリをカスタマイズした状態のPepperを雇用できるようだ。あくまでアルバイト派遣のため、pepperのリース契約や故障した場合の修理対応など、通常想定されるような手続きは不要となる。
時給1500円という妙に生々しい数字のインパクトが大きかったためか、「人間の時給より高い」と話題になっていたりもするが、この値段で一応業務向けにカスタマイズされたPepperを借りられるなら安いものだと思う人も多いのではないだろうか。
たとえば9時から20時までの11時間ぶっつづけでティッシュ配りをさせても、コストは1500×11=1万6500円。賑やかな場所でティッシュ配りに活用すれば、物珍しさで多くの人を集められるだろうし、同程度のコストで人間2人をティッシュ配りに雇うよりも高い広告効果が期待できるかもしれない。イベントなどの「客寄せ」という視点から見ると、同じ値段で人間を雇うよりよほど効率がいい。受付や販売に関しても、こうした短期間での雇用だと、本格的な業務を任せるというよりは、人目を惹いたり、来客を楽しませる用途が大きいと思われる。
実際は4500円+αスタート
ただしこの「時給1500円」、あくまでPepper1台に支払われる給与だ。Pepperのアルバイト派遣事業を扱うcocoro SBが6月18日に公開した仮予約申し込みフォームには、Pepperのアルバイト派遣が2台から申し込み可となること、業務アシスト・サポートのためのスタッフ最低1名が同行し、同じく時給1500円となること、配送費用が別途かかることが明記されている。
すべての料金を含めた場合、払わなければいけない時給は最低でも3倍の4500円となり、追加で配送費用がかかるわけだ。ただ、Pepperが2台がかりでティッシュ配りをしていれば余計に人目は惹けるはずなので、この価格でも1日イベントの広告塔としてPepperを雇用したがる企業は多そうだ。
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