情報同士がつながり、新たな価値を生み出していく
効率化や合理化は敵? インターネットは無駄な情報に価値がある
2015年06月23日 10時00分更新
「情報編集術」は「情報整理術」ではない
必要な情報だけを「効率的」かつ「合理的」に取り入れてばかりでは、人間の知性は活性化しない。大学の授業で「受信のスキルと編集の重要性」などについて話すと、「情報整理術」的なニュアンスでとらえてしまう学生が多い。
けれども、「情報整理術」が「無駄」を排除して合理性と効率性を追求するものだとしたら、それはあくまでも「類別」であって編集ではない。
「編集」とは情報が本来持っている「多義性」や「曖昧性」や「流動性」といった一件ネガティブな側面をも、すべてポジティブなダイナミズムとして取り込んだデザイン術のことである。
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代都市・パリについてのベンヤミンの断片的な論考を集めた「パサージュ論」。「フラヌール」(遊歩)にまつわる記述は岩波現代文庫版の第3巻に収録されている |
ドイツの哲学者ヴァルター・ベンヤミンは草稿集「パサージュ論」の中で、「フラヌール」(遊歩)の重要性を説いているが、われわれもインターネットという迷路の中でいかに最短距離を探し出すかに血道を上げるのではなく、ときには迷路の中をあてどなく無目的に遊歩してみる必要があるだろう。
インターネットの黎明期、World Wide Webの革新性の中核には紛れもなくハイパーテキストの概念があり、リンクをたどっていくと「どこに飛んでいってしまうかわからない」という偶発性に多くのユーザーが魅了されていたことを忘れてはならない。
著者紹介――高橋 幸治(たかはし こうじ)
編集者。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、1992年、電通入社。CMプランナー/コピーライターとして活動したのち、1995年、アスキー入社。2001年から2007年まで「MacPower」編集長。2008年、独立。以降、「編集=情報デザイン」をコンセプトに編集長/クリエイティブディレクター/メディアプロデューサーとして企業のメディア戦略などを数多く手がける。現在、「エディターシップの可能性」をテーマにしたリアルメディアの立ち上げを画策中。本業のかたわら日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部にて非常勤講師もつとめる。
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