Software Defined Application Serviceに惹かれ新社長就任
L4-7で差別化されたインフラを!F5の新社長が戦略を語る
2015年06月10日 14時01分更新
6月10日、F5ネットワークスジャパンは古舘正清新社長の就任会見を開催した。エンタープライズベンダーでの要職を歴任してきた古舘氏は、L4-7でのインフラの差別化を実現する「Software Defined Application Service」をベースにした統合プラットフォーム戦略を披露した。
サイロ化した日本はグローバルから遅れている
先月、F5ネットワークスジャパンの代表取締役社長に就任した古舘正清氏は、日本IBM、マイクロソフト、レッドハットなどで要職を歴任した人物。「IBMではアプリケーションやSIer寄りのビジネスを担当してきたが、直近の10年間はMicrosoft AzureやOpenStackなどクラウドインフラの立ち上げに関わってきた」(古舘氏)ということで、アプリケーションとインフラの両面を手がけてきたという。「今後、ネットワーク分野はSDNでコモディティ化が進んでいく。こうした中、アプリケーション側から見て、果たしてインフラが差別化できるのかという疑問を持った」と古舘氏は語る。
こうした古舘氏から、アプリケーションを基点に最適なインフラを構築する「Software Defined Application Services」のコンセプトは魅力的に見えたという。今まではアプリケーション部門とインフラ部門が別々にシステムを手がけていたが、今後はL4-7で性能、可用性、セキュリティ、モビリティ、アクセス&ID管理など幅広い機能を提供するSoftware Defined Application Servicesで、差別化できるインフラを構築すべきだという。「アプリケーションとインフラがまだまだサイロ化している日本は、グローバルから3~5年は遅れている」と古舘氏は指摘する。
ポイントソリューションから統合プラットフォーム化へ
F5はワールドワイドで対前年比17%の成長を遂げており、業績は引き続き好調に推移している。この背景の1つはセキュリティだ。標的型攻撃が激烈になる中、アプリケーションのレベルで攻撃を防御するWAF(Web Application Firewall)やSSL VPN、NGFWなどのユニファイドセキュリティのビジネスが拡大しているという。「グローバルでは1/3がセキュリティビジネスになっている」と古舘氏はアピールする。
また、ソフトウェアの面でも強みを持つ。F5ネットワークスのハードウェア型ADCである「BIG-IP」ではモジュラー化されたソフトウェアをユーザーのニーズに合わせて導入できる。「ハードウェアの会社かと思ったら、すでにソフトウェアの会社になってきた」(古舘氏)。さらに最近はDDoS攻撃対策などを提供する「Silverline」や、ロードバランシングを提供する「LineRate」などのサービスビジネスも好調だ。
今後、F5では統合プラットフォーム化でより高い成長を実現していくという。「みなさんが今データセンターに行くと、数々のアプライアンスが並んでいる。しかし、ADC、ファイアウォール、WAF、アクセスコントロールなどのポイントソリューションだ」(古舘氏)。しかし、ベンダーが異なるために、運用管理が煩雑になり、変化への対応が後手後手に回ってしまう現状があるという。また、アプリケーションの増加によって、セキュリティリスクも高まる。
こうしたポイントソリューションを単一プラットフォームに統合し、アプリケーションに最適なインフラを実現するのが、F5の戦略。古舘氏は「統合プラットフォームであるBIG-IPでソフトウェアをアクティブしていくという考え方。仮想アプライアンスやクラウドサービスとも連携し、オーケストレーションと自動化を推進していく。こうしてインフラ競争力を上げるのが、統合プラットフォーム化というF5のビジョンだ」と語る。
2019年度までに売上倍増を目指す
こうした点を踏まえ、古舘氏はF5ネットワークスジャパンとしての売上を年ごとで20%をずつ向上し、2019年度までに売上を倍増させる目標を掲げる。このため、ADCのシェアをグローバル並の50%以上に拡大するほか、サービス事業の売上比率を15%にまで引き上げる。また、現状一桁台のセキュリティビジネスの売上比率を二桁台に拡大させるという。
このための戦略として、古舘氏は4つの成長戦略を掲げる。ソリューションモデルを拡充する。よりビジネスに貢献できるL4-7の使い方を提案できるよう、成熟度をチェックするツールを開発。差別化できるインフラの成熟度ステージを明示しつつ、どういった施策が最適かのアセスメントとプランニングを実施する。その上でパートナーと連携し、ソリューションのエコシステムを構築していく。
また、ハイブリッドクラウドの普及に向け、サービス事業も本格的に立ち上げる。さらに日本の高い品質を本社の品質管理/製品開発として展開すべく、日本でも品質管理を担当するCQO(Chief Quality Officer)を設置するという。