Lambda、Cognito、WorkDocsが今夏東京リージョンでスタート
モバイルやIoTでもAWS!マネージドサービスでビジネスは変わる
2015年06月03日 14時30分更新
6月2日、Amazon Data Services Japan(ADSJ)は年次のプライベートイベント「AWS Summit Tokyo 2015」を開催した。2日目の基調講演は、モバイルとIoTを大きくフィーチャーし、モバイルネイティブな新しいクラウドの活用が披露された。
アクティブユーザー100万越えを実現したAWS
ADSJで最大の年次イベント「AWS Summit」だが、今年は1万3900名という登録者を数え、ITベンダーのイベントとしても最大規模を実現した。クラウドがすでに当たり前の存在となり、スタートアップのみならずエンタープライズ企業での導入が相次ぐ昨今。最大手のクラウドベンダーであるAWSへの期待は、そのままクラウドへの期待となって表われているようだ。
クラウドのメリット、AWSの最新動向を紹介しつつ、ファーストリテーリング、リクルートテクノロジーズ、クラウドワークスなどのユーザー事例を披露したオール日本人による1日目の基調講演に引き続き、2日目は米Amazon Web Services(AWS) モバイル部門 ヴァイス・プレジデントのマルコ・アージェンティ氏が登壇。モバイルからIoT、そしてエンタープライズアプリケーションなどAWSのポートフォリオを、ユーザー事例を踏まえて紹介した。
アージェンティ氏は11のリージョン、30のAZ(Availabirity Zone)、53のエッジロケーションというAWSの規模をアピール。クラウドサービスで最多を謳う40に渡る機能を提供しつつ、2014年には516もの新機能やアップデートを提供したという。さらに直近の1ヶ月間使っているというアクティブユーザーもグローバルで100万を超えていると説明した。
CognitoやMobile Analytics、SNS Pushのアップデート
次にアージェンティ氏が自身が担当するモバイル分野の説明に移る。動画で紹介されたのは良品計画、すかいらーく、ガンホー、ウォンテッドリーなどの国内のユーザー事例。ここでもモバイルの活用はキーポイントとなっているという。「多くのユーザーにとって、モバイルは初めてのタッチポイントとなる。そのため、優れたユーザーエキスペリエンスを実現しなければならない」とアージェンティ氏は指摘する。
これに対して、AWSはモバイル開発者向けのサービスを拡充している。「お客様に対しては、御社のユニーク性はなにか? どこで時間をかけているのか?という質問を投げかけている。お客様には差別化できる部分に時間を割けるよう、モバイルとクラウドの開発を効率化できるようにしている」とアージェンティ氏は語る。
アージェンティ氏が最初に紹介したのが、ユーザー認証や同期、セキュリティを実現する「Amazon Cognito」だ。2015年はTwitterとDisitsのネイティブサポートやKinesis Streamsなどもサポート。Lambdaとの統合も図られ、デバイス間でのユーザーデータを同期をしなくとも、データが変更されるたびに実行され、最新のステータスを確保できる。
「Amazon Mobile Analytics」はユーザーの行動を分析するツール。短期間でアクティブユーザーやスティキネス、リテンション率などの情報を可視化できる。アージェンティ氏は、「ユーザー分析は1日単位でも長すぎる。Mobile Analyticsでは1時間以内にデータを出してくれる」とスピードをアピール。Mobile AnalyticsとRedshiftを組み合わせ、顧客のクラスターごとにA/Bテストを実現し、モバイルプッシュをどの頻度でやるのが最適かを調べたLifesumの事例を紹介した。2015年はデータをAmazon S3やRedshiftに直接エキスポートできるようになったほか、開発プラットフォームとしてUnity SDKやJava SDKサポートした。
また、「Amazon SNS Push」はモバイルプッシュを提供するサービス。ここでは米国のSNSサービス「Path」の事例を披露した。グローバルで500万のDAU(Daily Active User)を擁し、数十億のインプレッションを生成するPathでは、3日間で5億件に膨れあがったモバイルプッシュをAWSのセルフサービスで実現した。「モバイルの成功は突然来る。しかも予期しない形で来る。自社インフラでこれをやったら、何日、何ヶ月もかかってしまう。さまざまなワークロードをさばけるクラウドであれば、スケーラビリティを確保できる」とアージェンティ氏とアピールする。最新版では、Amazon CloudWatch経由での通知をサポートしたほか、コンソールも大きな改良が施された。
今夏、LambdaとCognitoも東京リージョンでスタート
昨年のre:inventにおいて、鳴り物入りで発表された「AWS Lambda」の説明にも時間が費やされた。LambdaはSNSのプッシュやデータの移動などのイベントをトリガーにし、特定のプログラムを呼び出すコンピュートサービス。「ワークロードはつねに実行されているわけではなく、コンピュートをドライブしているイベントだ。アプリケーションのリーチする前にデータを監査・変換する場合など、Lambdaを使えばよい」(アージェンティ氏)。
Lambdaは100ミリ秒単位という細かい時間課金で、アプリケーションが稼働している時間だけ料金を払えばよい。インフラも不要で、スケーラビリティ、デプロイ、モニタリング、ロギングなどはすべてAWS側で提供するため、モバイル開発者は差別化部分に注力できるという。
イベント駆動型のモバイルバックエンドを構築できるLambdaはデータトリガー、IoT、ストリーミング、インデキシングや同期、サーバーレスシステムなどさまざまな形態で利用されている。アージェンティ氏はユーザー事例も紹介。ニュースや画像の着信をトリガに、動的なコンテンツ生成に利用しているトマソン・ロイターズのほか、リアルタイムなログ管理を実現しているNativeX、ソーラーパネルの設置場所の写真を撮り、保守に役立てているvivint.solar、ブログコンテンツの分散検索を実現するファイアアイなどで用いられている。
Lambdaのアップデートも披露されている。Amazon Simple Notification Serviceがイベントソースとして利用できるようになったほか、従来node.jsのみだった言語も、いよいよJavaに対応し、プレビュー版がまもなく提供される。さらに、今夏にはLambdaとCognitoが東京リージョンで提供されることも新たに発表された。
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