新生SAPの幕開けを告げる「SAPPHIRE NOW 2015」 第2回
クラウド企業のDNAを継承し、SAP買収から3年で大きく成長!
タレント管理のSuccessFactorsから見た日本の人事システム
2015年05月22日 07時00分更新
クラウドソーシングの台頭や若い世代の働き方
――今のSuccessFactorsのビジネスをみたとき、最優先課題は何か?
エトリング 人事の役割が急速に変わっており、デジタル化された世界になってきた。職場にはミレニアム世代が入ってきている。
変化に対応するために、どのようにわれわれのソリューションを変化していくべきかを日々考えている。人事は才能を可能にする、人々が個々の能力を開花できる、そして企業が自分たちの計画を実現していくのを支援するものであるべきだ。これがSucceessFactorsのフォーカスだ。
たとえばラーニング(学習)分野を大きく改造した。ラーニングはこれまでのように椅子に座ってトレーニングプログラムで学ぶというものから、TEDトークやYou Tubeなどから学ぶPtoP、ボトムアップの学習に変わりつつある。機械学習を取り入れて、何を学ぶべきかをどうやって決めるのかを支援するレコメンなどが特徴となる。
パフォーマンス管理についても、現在のソリューションはどれもランキングベースが主流だが、若い世代は定期的なフィードバックを求めている。今年はパフォーマンス管理に革新を取り入れたものを提供したい。
――働き方が変わっている。企業に勤務する形態から、フリーランスが増えるという予測もある。このような働き方の変化にどう対応する?
エトリング 確かにフリーランサーはブルーカラー、ホワイトカラー、専門職とあらゆる分野で急速に増えている。SAPはそこでFieldglassを買収した。
社員、派遣、フリーランサーなど境界があいまいになっており、フリーランサーをもっと戦略的に活用する方向にある。後継者プランニング、採用プロセスなどに入れる必要があり、われわれとしてもFieldglassを人事システムに深く統合していく計画だ。企業の幹部の多くは、正社員の数はわかっていてもフリーランサーや一時雇用の数は把握していない。
これに加えて、クラウドソーシングも台頭しており、クラウドソースとフリーランサーが重なりつつある。現在、この2つは期間で分かれており、クラウドソースは短期間、フリーランサーはより期間が長いという区分だが、今後この2つはコンバージするだろう。日本は生涯同じ会社に勤務するという文化がある。だが世界的なトレンドは、会社ではなく自分のために生涯働くという方向性だ。自分のブランドが会社のブランドより重要になる。このシフトが加速している。
個人の生産性の問題は今後日本でも深刻になる
――日本は一人当たりのGDPが低い。個人レベルの生産性アップに人事ができることはあるか?
エトリング 日本は工場レベルでは素晴らしい生産性を持つ。カイゼンモデルは世界的に知られている。
だが、それ以外の営業などの領域では生産性と効率という点からみて完全に逆のようだ。人口減などの問題もあり、日本では個人の生産性は今後もっと深刻な問題になってくるのではないだろうか。しかし、営業と工場とで同じアプローチではダメだ。人事システムはさまざまなデータを得ることができ、生産性向上を支援できるだろう。
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