競合製品はほとんどなし
MDR-ZX770BNは、騒音の成分を検知してA/B/Cの3モードを切り替える「AIノイズキャンセル機能」を持っています。これは騒音をカットするフィルターのカーブを切り替え、それぞれの想定する状況で、効果的に消音効果を得ようというものです。ハウジングのNCボタンを押すことで、騒音成分の分析を始め、その状況に応じたフィルターを選択します。
いずれもカットする成分は低域が中心で、たとえば地下鉄の車内の「ゴオーッ」という音を低減してくれます。また、静かなオフィスの場合、空調音のような低い持続音はカットしますが、中音域の透過率は低く、人の話し声などはむしろよく聞こえるように設定されています。
ここでライバル機種と比べてみましょう。アラウンドイヤー型のNCヘッドフォンとしては、BOSEのQuietComfort 25(関連記事)が消音効果では、あらゆる場面でダントツの性能です。ただし、Bluetoothには対応していない上に、価格も3万円台となかなかのものです。
BluetoothとNCに対応した製品という点で、競合製品に当たるのはDENONが今月末に発売を予定している新製品「AH-GC20」でしょうか。有線接続が可能でBluetooth 4.0、AACやaptXに対応するなど、スペック的にも近く期待が持てます。ただ、オープンプライスで販売価格は3万円台の半ばくらいになりそうなので、これもかなり価格差があります。
Bluetooth接続時にもハイレゾで聴けるLDAC対応の製品は「MDR-1ABT」ですが、価格は3万円台後半で、LDACで聞きたい場合はそれに対応した再生装置も必要です。
2万円台でBluetoothに対応し、かつNCが必要な状況では効かせられる点が、MDR-ZX770BNの魅力でしょう。
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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ