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数学問題コンテスト結果発表 - 問題自動生成/共有クラウド「MathPub」

2014年12月28日 13時00分更新

文● 大河原克行

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 DynaxTが展開している算数・数学問題の自動生成/共有クラウド「MathPub」において実施した数学問題を募集し、評価する「MathPub AAA(Available and Adaptive Award)コンテスト」の結果が発表された(関連記事)。

計算問題からパズル、図形問題まで285点の応募
最終的に28点がノミネート

 204年8月1日〜11月25日に募集を行なったところ、計算問題からパズル、図形問題まで285点の応募があり、そのうち214点が公開可能な問題であると判断。最終的に28点がノミネートされ、最優秀賞として3点、幾何学賞として1点、優秀賞として3点が選ばれた。

 「問題の作り方に関する情報が少なかったにもかかわらず、どの問題もMathPubをよく理解して作成されていた。投稿された問題は、問題集などで見られるような一般的な問題が多数だったが、その中でもTeX(テフ)(LaTeX)で図形を描画した問題は書き方に工夫が見られ、MathPubの可能性を広げるものであると高く評価した。

 MathPub正式版公開以来、多くのユーザーから扱いたいという希望が寄せられていたのが図形問題であり、運営側よりも先にユーザー側から図形問題が投稿されたことは、MathPub Centerにとって非常にうれしい驚きだった」と講評している。

学校や塾での学習用として、自由に登録・利用できる

 MathPubは、今年2月からスタートした算数および数学の問題を登録、提供するクラウドサービス。問題作成サイトに、算数や数学の問題を生成するためのルールを登録すると、それをもとに問題を自動生成するのが特徴で、アクセスするたびに異なる数字の組み合わせによる数式問題が生成される。

 ユーザー登録をした小学校や中学校、高校の教員をはじめとする教育関係者や塾・予備校関係者などが、新たな問題を登録したり、問題をプリントアウトして、学校や塾での学習用として、自由に利用できる仕組みとなっている。

 今回実施したMathPub AAAコンテストは、「問題を作る新たな体験と、算数・数学に親しむきっかけを提供し、算数教育の発展に寄与していく」ことが目標で、MathPubの利用促進にもつなげることも狙っている。審査は、香川大学の本田道夫名誉教授をはじめとするMathPub Center評価委員によって行なわれた。主催はMathPub Center。後援は、公益財団法人かがわ産業支援財団、香川大学工学部、四国新聞社、KSB瀬戸内海放送。協賛は、学校法人高松高等予備校。

最優秀賞はmi氏「動点」、mtn氏「4×4魔方陣1」、
かずお氏の「分配算(数字3つ)」

 最優秀賞を受賞したのは、mi氏による「動点」、mtn氏による「4×4魔方陣1」、かずお氏の「分配算(数字3つ)」の3点。

 「『動点』は、TeXを利用した図形の問題であり、出力された縦・横の変数の値に応じて線の長さも変化。数式しか公開されていないMathPubにおいて作図にチャレンジした努力を高く評価し最優秀賞とした。

mi氏による「動点」で生成した問題例

 『4×4魔方陣1』は、解くのは簡単だが、作るのに手間のかかる問題であり、ランダムに出力しているように見えながら、MathPubが変数を出しやすい設定を作るかという工夫に注目した。

mtn氏による「4×4魔方陣1」で生成した問題例

 『分配算(数字3つ)』では、分配算は学校だけでなく、SPIなどの各種試験にも出題されることがある問題。作ってみることで理解が深まる」としている。

かずお氏の「分配算(数字3つ)」で生成した問題例

幾何学賞は、松岡氏の「面積(三角形2)」

 また、幾何学賞は、松岡氏の「面積(三角形2)」。講評では、「TeXを使った図形問題が複数のユーザーから応募されており、複数の図形問題がノミネートされた中で、最も早く図形問題を応募した問題を幾何学賞に選んだ」という。

松岡氏の「面積(三角形2)」による問題例

優秀賞

 優秀賞は、Charlie氏の「数の計算(数検5級2次)3」、kumanon氏の「連立方程式の文章問題(1)」、olaf氏の「根号を含む式の近似値1」の3点が受賞した。

Charlie氏の「数の計算(数検5級2次)3」による問題例

kumanon氏の「連立方程式の文章問題(1)」による問題例

olaf氏の「根号を含む式の近似値1」による問題例

不備を理由に非公開となる問題もあった

 MathPub Centerでは、「本来なら公開可としたい問題でも、不備を理由に非公開となる問題が多くあった。MathPubでは、問題生成時に乱数を発生させるため、一時的に問題として成立したように見えても、出力を繰り返していると不適当な数字の問題になる場合がある。何度もプレビューを繰り返して、設定した範囲内でどんな数字が出力されても問題が成立することを確認する必要がある。

 また解答部分では、解き方を示さず、解のみを記した問題が目立った。何らかの計算式を示した方がいいだろう」とした。

 このほか、「ユーザーが全員教員経験者ではないので、用語の使い方などに不備がある問題もある。学校などで利用する場合は、教育的な配慮に欠ける問題については、元の問題を手本にして、先生が使いやすいように変更して利用してほしい」としている。


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