DynaxTは、2014年2月1日から、数学計算問題の知を共有するクラウドサービス「MathPub」を提供開始すると発表した。現在、β版を公開している。
MathPubは、算数および数学の問題を登録できるほか、登録された問題をプリントアウトして自由に利用できるサービス。対象は、小学校や中学校、高校の教員をはじめとする教育関係者や塾・予備校関係者、自ら学習に使用したい生徒などで、これらの基本機能はすべて無料で利用できる。
「全世界の教育関係者が利用でき、まずは多くの人に利用してもらうことが目的。算数、数学問題におけるウィキペディアを目指していく」(DynaxT・大和田昭邦社長)とする。
問題を生成するためのルールを登録後、自動生成
MathPubは、簡単な登録だけで利用できるようになる。
問題作成サイトに、算数や数学の問題を生成するためのルールを登録。それをもとに、問題を自動生成する。ルールを登録する仕組みとしているため、アクセスするたびに異なる数字の組み合わせによる数式問題が生成される。
登録された問題は、有識者で構成されるフォーラムによって内容を精査。数学問題としての有効性とともに、どの学年の問題として利用できるかを認定し、その後、同サイトで公開されることになる。
「問題の品質を担保することができるとともに、先生をはじめとする問題を考える人たちが、問題の確認作業よりも、問題作成に時間を割けるようになる」(大和田社長)という。
一方、利用者は、問題をPDFによって印刷して、学校や塾での学習用に利用できるほか、児童や生徒もこれを利用できるようになる。
登録された問題は、「高校数学」や「因数分解」といった用語で検索が可能であり、求める問題に辿りつきやすくしている。
自動生成された問題を印刷する際には、解答ページも同時に出力することが可能であり、生成された問題ごとに解答が用意される。
MathPubでは、日本語、英語、ドイツ語、ロシア語で提供する予定で、設問などは、それぞれの言語で表示される。将来的には、それぞれの国の学習指導要領や、学習方法に準拠した形に対応するほか、教員などがほかの国の学習方法などを知るといった手段にも活用できるという。
「各国の教育水準の違いや教育文化の違いを吸収し、世界共通の数学的探究と共有を推進したい」とする。
現在は数式問題だけに対応しているが、将来的には図形問題、座標問題などにも対応できるようにする計画だ。
一方で、収益モデルに関しては、将来追加する様々な機能をもとに展開する考えだ。
解答入力機能を追加することで、それぞれの問題に対する正答率を導き出し、個人の学習向上に役立てることができるようにするほか、学習上、必要のある問題とそうでない問題を明らかにしたり、正答率による地域格差の是正などにも活用できる。
「解答に関するデータを大量に蓄積することで、数学問題における新たな発見や対策に活用できる。大量のデータを解析し、これらのデータを有料で活用してもらうことも考えている」(DynaxTの大和田博道副社長)という。
また、サイト内に設置したMathPubフォーラムを通じて、教員同士が議論ができる場を提供したり、登録された問題の中で特別な内容のものについては、問題作成者にインセンティブを支払うといったことも検討しているという。
「将来的には、スポンサーを募集し、参加者に賞を与えることができる、数学問題に関するアイデアオリンピックを開催したいと考えている」(大和田社長)という。