Samsung対Lenovoの時代へ?
この買収で最も気になるのは、GoogleとSamsungの微妙な力関係にどのような影響を与えるのかだ。Samsungは「Tizen」の開発にはじまり、音楽配信やメッセージアプリなど独自のサービスを強化しており、その中にはGoogleのサービスと重複するものもある。Samsungが王者のポジションを維持するにはサービスへの拡大は必至であり、2013年にはSamsung単独では初のアプリ開発者イベントを開催するなどの動きに出ている。一方で、Googleは「Google Play Edition」など“純正な”Androidを広げる取り組みを展開している。
GoogleがMotorolaにLenovo売却を発表する直前、GoogleとSamsungは特許ライセンス合意を交わしたことを発表している。GoogleはSamsungが開発するAndroidオリジナルからは、かけ離れたユーザーインターフェイスを快く思っておらず、Googleのプレッシャーを受けてSamsungは最新のUI「Magazine UX」を修正、あるいは取りやめる可能性があるとRe/codeは報じている。
いつかはGoogleとSamsungは競合することになる、と見る向きは多かった。MotorolaをLenovoに売却するというGoogleの動きが、その契機となるのか。はたまたGoogleがMotorolaを買収した時点で蜜月関係は変わりはじめていたのか……Samsungがどのような回答を出すのかが注目される。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
この連載の記事
-
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? -
第331回
スマホ
2023年は世界で5Gが主役になった年 世界の5G契約数は16億に -
第330回
スマホ
iMessageが使えるAndroidアプリが作られ、すぐ遮断 そしてRCS対応 吹き出しの色を巡る攻防 -
第329回
スマホ
10月の世界でのスマホ市場は前年同月比5%増 なんと27ヵ月ぶりで暗黒時代を脱出したかもしれない -
第328回
スマホ
一時はウェアラブルの代名詞だった「Fitbit」が一部の国で販売停止 Pixelにブランド統一か - この連載の一覧へ