性能を発揮するのは”処理負荷が高い場面”
「dynabook Tab VT484」を支えるCPU、BayTrailとは?
2014年02月21日 11時00分更新
dynabook Tab VT484のCPUはAtomシリーズで、BayTrailと呼ばれる世代のプロセッサーだ。今回は、dynabook Tab VT484を支える主要なパーツであるこのBayTrailプロセッサーを見ていくことにしよう。
Atomプロセッサーとは
Atomシリーズはもともと「LPIA(Low Power Intel Archtecture)」としてx86命令を実行する省電力のプロセッサーとして開発された。このため、ノートPCやデスクトップPCに使われるCore iシリーズとは同じくWindowsが動作するものの、内部的には違ったアーキテクチャとなっている。大きな違いは、性能よりも省電力性を重視していること。ベンチマークなどで比べれば、Core iシリーズのほうが高性能だが、Atom系のプロセッサーのほうが消費電力が小さく、より長い間バッテリーで動作できる。
Atomシリーズには、用途に応じて、タブレット向け、デスクトップ向け、ノートPC、スマートフォン、組み込み用途、サーバー向けなどの製品が用意されている。これらの製品の違いは、プロセッサーナンバー先頭のアルファベット1文字に対応しており、タブレット向けには「Z」で始まる製品が使われる。
BayTrailとは
AtomシリーズのBayTrailは、タブレットなどのPC向けとしては4世代目にあたる。大きな変更点は、新たなマイクロアーキテクチャである「Slivermont」コアを内蔵したこと。
Atomシリーズは、初代から前世代のCloverTrailまで、同一のマイクロアーキテクチャであるBonnel/Saltwellというマイクロアーキテクチャを採用していた。マイクロアーキテクチャとは、CPUコアの設計のことで、マイクロアーキテクチャが改良されることで、クロックあたりの命令実行数が増えたり、コアの動作周波数を高くできるようになる、新規の機能が追加されるといった違いがある。
dynabook Tab VT484に採用されているのは、Atom Z3740と呼ばれるプロセッサーだ。このプロセッサーは、クロック周波数が1.33GHzで4つのプロセッサーコアを内蔵しており、同時に4つのプログラムを並行して実行できる。もちろん、不要ならば、プロセッサーは休止状態に入り、消費電力を増大させないような仕組みを持つ。
また、Atom Z3740は、内部にインテルHDグラフィックスを搭載している。その他、USBやハードディスク/SSDなどのインターフェースなど、PCを構成するのに必要な周辺回路も組み込まれている。搭載されているグラフィックスコア(GPU)は、ノートPCやデスクトップPCで使われているグラフィックスコアと同系統でインテルの設計によるものだ。Ivy Bridgeと同等の第7世代のインテルHDグラフィックスをベースに、Z3000シリーズ用に改良したGPUとなっている。
クロック周波数の1.33ギガヘルツは、Z3740に含まれる4つのコア(プロセッサー)が同時に動作するいわゆる「平常時」のクロック周波数で、Z3740では、プロセッサーの発熱状態やグラフィックス側を含めての消費電力などの状態を見て、仕様的に余裕がある場合には、最大1.86ギガヘルツまでクロック周波数を上げることができるインテルバースト・テクノロジーを搭載する。これにより、スリープからの再開など、処理負荷が高い場面で、より高い性能を発揮する。
BayTrailプロセッサーは、CloverTrailに対して、処理性能で2倍、グラフィックス速度が3倍と大きく改善されている(インテルの調査による結果)。また、高性能化するだけでなく、電力消費も小さくなっており、インテルの標準的な設計ではタブレットで10時間程度のバッテリ寿命があるとされている。
(次ページ、「dynabook Tab VT484とBayTrail」に続く)
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