ポラロイドカメラは、米国がまだまだ元気だった頃の超注目企業だった。「どうして写真は撮影してすぐに見られないの?」という娘の至極当然な疑問からスタートしたプロジェクトだった。
ポラロイドの創業者でもあるエドウィン・ハーバード・ランド博士はアイデアを練り、最先端の技術を基礎に、撮影後すぐに写真を見ることのできる「インスタントカメラ」を発明し、開発者の名前を冠した「ランドカメラ」は爆発的に売れ、世界中に広まった。
しかし、栄枯盛衰は社会の常。デジタルカメラへの参入時期の誤算やいろいろな悪い事情が重なって、同社は21世紀に入って早々に経営破綻した。
しかし、その製品の魅力はデジタルカメラ全盛の今も健在だ。そんな商品を愛する元ポラロイドの社員や関係した有志が「インポッシブル・プロジェクト」というベンチャー企業を起こし、日本を含む世界中で、ランドカメラの整備再生品を販売したり、ランドカメラには絶対不可欠の新しく開発したインスタント・フィルムの再生産、流通販売などを行なっている。
筆者が月に2回は衝動買いの旅に出かける御茶ノ水の「ビレッジヴァンガード」でリファビッシュド(再整備)されたポラロイドのランドカメラを購入した。
リファビッシュドでよみがえる
「ランドカメラ OneStep」
高精度、高品質な撮影結果が誰でも簡単に手にすることのできる現代、それらとは対局に位置する「HOLGA」を代表とするトイカメラや、ピンホール(針穴)カメラなど、ゆるい結果を自然に表現できるアナログ系のカメラが人気なのは、現代の複雑な社会事情を反映しているようで極めて興味深い。
筆者が最初に持ち帰ったランドカメラは、撮影後のフィルムの排出が上手く行かないことが多く、再度、お店で別のリファビッシュド商品との交換となった。
1976年頃に世界中で販売開始されたこの普及版のランドカメラ「OneStep」は、先行発売された高級機である「ランドカメラ SX-70」の弟分に当たる。日本国内では「ランドカメラ1000」という名称で販売されていたモノだ。
兄貴分のSX-70は豪華な本革張りの外装を持ち、指先で上部のファインダー部分を引き上げることで、一瞬で立体的な形状にトランスフォームする。
コストは高いがGEEK好みのギミック(仕掛け)を採用しているのに対し、OneStepは、初めからSX-70のトランスフォーム後の形状に近いプラスティック一体成形の廉価版モデルだ。
撮影後のフィルム排出メカニズムや、側面からの見た機能デザインの形状は、だれが見ても同じコンセプトの兄弟プロダクトだと分かるだろう。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。

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