T教授の「戦略的衝動買い」 第259回

整備再生したインスタントカメラ「OneStep」を衝動買い

まったく新しい原材料で作られた
「インスタント・フィルム」

リファビッシュドカメラと同じくインポッシブル・プロジェクトの手による新しいPXインスタント・フィルム

一旦は閉鎖された元ポラロイドのオランダ工場で、まったく異なる原材料で作られたPXインスタント・フィルム

　ランドカメラに使用するフィルムは、「インスタント・フィルム」という分かりやすい呼称が付けられているが、ポラロイドのオリジナルインスタント・フィルムならすでに“期限切れ”は確実だ。

　リファビッシュドのランドカメラ用として、前述のインポッシブル・プロジェクトが、オリジナルと同じ原理で現像処理を行なう別原料の新しいインスタント・フィルムも提供している。

　「PX」シリーズというインスタント・フィルムがその商品だ。以前のポラロイドと同じオランダの工場で、当時と同じ工場長の元で管理されて製造されているという。

撮影後のフィルムを排出するメカを動作させるための、バッテリーを内蔵したインスタント・フィルムのカートリッジ

　従来のポラロイドの時と同じく、ランドカメラのフィルム排出のメカニズムを駆動するバッテリーを内蔵した「PX70 Color Shade」という新世代のフィルムカートリッジは、その形状も往年のポラロイドのフィルムカートリッジとよく似ている。

　残念ながらフィルムを再生産するための原材料は当時とまったく同じ物はなく、新しい原材料で当時と同じ、いや当時より素晴らしい結果を出すべく作られているのだろう。

　オリジナル・フィルムより現像時間が多少長く必要であり、撮影後、排出されるフィルムの撮影面に強い光を当てないように遮光に関しても注意が必要だ。

インポッシブル・プロジェクトのリファビッシュド済みOneStepカメラはロールカーテンのようなイメージのIMPOSSIBLE PX SHADEを標準で備えてくれているので、撮影後の遮光対策は完璧だ

　遮光に関しては、インポッシブル・プロジェクトが提供している商品である「インポッシブル・PX SHADE」と呼ばれる、排出時の撮影面を遮光するフィルムサイズのカバーを使用することで確実性が増す。

　筆者の購入したインポッシブル・プロジェクトによるリファビッシュド商品であるランドカメラ OneStepには、ロールカーテンのようなPX SHADEがカメラ本体に組み込まれており、撮影後のフィルム排出時に、ロールカーテンが伸びるように撮影面をカバーして遮光を行なってくれる。

ノスタルジックなランドカメラを手に過ごす
ぜいたくな時間を満喫！

35年前とほぼ同じ、少しユルいけど、ノスタルジックで愛着の湧く写真が撮れる

新しい時代のポラロイド「Z2300」カメラ（左）も使っているが、いろいろな面でまだまだ35年前のOneStepには足元にも及ばない……

　技術革新の超早い昨今のデジタルカメラの世界。起動が速い、オートフォーカスが速い、ピントがビシバシ合って、すべてが速くて快適な高性能デジカメばかりがあふれる中、ランドカメラ OneStepは極めて風変わりな商品だ。

　一度、世の中からなくなったモノを再び出すことに関わった人々のエネルギーを感じながら、時には、まったりしたノスタルジックなランドカメラでぜいたくな時間を過ごすのはどうだろうか。

　約35年前のランドカメラ OneStepはどんなに高性能で高価格のデジカメでも体験できない、本当にぜいたくな時間を味わえる最も高級なカメラなのだ。

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• 製品情報

今回の衝動買い

アイテム：ランドカメラ OneStep

価格：ビレッジヴァンガード　御茶ノ水にて1万2800円で購入

T教授

　日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
　T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。