7月9日、米エクイニクスは、関電エネルギーソリューション、ケイ・オプティコムと提携し、西日本で初めてとなるグローバルデータセンターを大阪に開設することを発表した。発表会では3社の代表に加え、支援を表明している大阪外国企業誘致センター(O-BIC)の事務局長も登壇した。
大阪初のエクイニクスのIBX開設へ
エクイニクスは「International Business Exchange(IBX) データセンター」と呼ばれる世界で100カ所以上データセンターを保有する事業者で、グローバルの顧客も4000以上に上る。また、コロケーションスペースだけでなく、通信事業者間のネットワークを相互接続するIXの機能を提供しているのも、IBXデータセンターの大きな特徴となる。日本法人のエクイニクス・ジャパンは東京にデータセンターを保有しており、2013年には東京の大手町に4番目のデータセンターを開設する。
今回発表された大阪のデータセンター(OS1)では、免震構造を備えた最新ビルに約3000㎡のコロケーションスペース、800超ラック相当の収容設備(開設時は320ラック相当)を備える。大阪のネットワークの中心である堂島と光ファイバーで直接接続されており、大阪の国際通信基盤を強化するという。他のIBXデータセンターと同じく、キャリアニュートラルなIX機能を提供。また、日本語と英語のバイリンガルサポートを提供し、多国籍企業のグローバル化を促進するとのこと。
また、今回のOS1開設において、エクイニクスはケイ・オプティコムと関電エネルギーソリューションと提携する。ケイ・オプティコムは高い品質の回線サービスを提供し、ルーターやサーバーを用いたシステム構築から運用保守までを提供する。一方、関西電力グループの関電エネルギーソリューションは、電力設備の設計、調達・建設などをユーティリティサービスとして提供するという。大阪・関西圏とグローバルを結ぶべく、関西圏で高い知名度を持つ2社がエクイニクスのグローバル誘致を支援するという形になる。
グローバル企業から見れば大阪も東京と同じ価値を持ちうる
大阪市内の大阪商工会議所で行なわれた記者発表会の冒頭、大阪外国企業誘致センター事務局長の丸山新二氏が挨拶。同センターが10年近くに渡って外国企業の誘致を進め、累計で300社の外国企業誘致を実現した実績をアピール。今回のIBXデータセンターの開設については、「都市としての大阪のポテンシャルを高く評価してもらった。また、エクイニクスの方で、アンケートをとっていただいたところ、大阪にデータセンターがほしいという声も数多く得られたと聞いており、非常に心強い」と語った。また、地元企業のケイ・オプティコムや関電エネルギーソリューションが参加したことに対しては、「理想的な外国企業の誘致」と高く評価した。
続いて登壇したエクイニクス アジアパシフィック プレジデント サミュエル・リー氏は、データセンター分野でのエクイニクスの実績やアジア太平洋地域での市場の成長を説明し、「(日本第2の経済圏である)大阪に参入したいという企業にとって、今回のIBXデータセンター開設は大きなメリット。また、グローバルに展開したいローカルの企業にとってもプラスだ」とアピール。また、エクイニクス・ジャパン代表取締役 古田敬氏は、海底ケーブルが引き上げられている三重が至近である点を指摘し、ネットワークという観点から見た大阪のポテンシャルを評価。「世界から見れば、東京も大阪も同じように見える。グローバルから見た企業側から見れば、大阪も東京と同じ価値を持ちうる」とIT分野での大阪というロケーションに期待を示した。
さらに、ケイ・オプティコムの提携について、古田氏は「関西圏で自前の光ファイバー網を持っており、(誘致したグローバル企業から)顧客へのアクセスを提供するのに必要なパートナーだろうということで、長い時間をかけてお話しさせていただいた」と述べた。ケイ・オプティコム、関電グループともデータセンター事業を展開しているが、今回はエクイニクスのIBXデータセンターのパートナーとして大阪ひいては関西圏の活性化に寄与する。また、「私たちと普段接している企業とは異なるグローバル企業にもリーチし、回線サービスを提供できる」(ケイ・オプティコム 代表取締役副社長 山崎幸郎氏)と、ビジネス拡大も背景にあるようだ。
開設は2013年内を予定。投資額は約12億円になる。