12月5日、エクイニクス(Equinix)は大阪初のIntenational Business Exchange(IBX)データセンターである「OS1 データセンター」をオープンした。オープンニングイベントでは、キャリアニュートラルを謳う同社のデータセンターの特徴がアピールされた。
DR/BCPのニーズだけではない
OS1 データセンターは、国内5カ所目のIBXデータセンターで、グローバルではちょうど100カ所目になるという。エクイニクスだけではなく、大阪外国企業誘致センターの支援の元、ケイ・オプティコム、関電エネルギーソリューション(以下、KENES)と共同で開設している。国内で2番目の市場となる大阪にデータセンターを開設することで、海外企業の西日本への進出、もしくは西日本の企業の海外進出を積極的に後押しするという。
大阪でのデータセンター開設を検討し始めたのは、今から2年前だという。オープニングイベントで登壇したエクイニクス・ジャパン 代表取締役の古田敬氏は、「グローバルで見ても、大阪の需要は高い。開設候補をリサーチした都市ランキングでも5番目に入る」とその背景を語る。また、「弊社はグローバルで事業を展開しているが、北京やインドには(IBXデータセンター)はまだない。大阪に作ったのは、基本的に新しい市場と見ているから。BCPやDRのニーズのみを満たすデータセンターではない」と述べ、さまざまな調査の結果であることを強調した。
エクイニクスのIBXデータセンターの特徴は、通信事業者に依存しない“キャリアニュートラル”という点だ。グローバルで4400社の顧客のうち、950社が通信事業者で、エクイニクス自体は基本的にネットワークを提供していない。「われわれのデータセンターには通信事業者同士が相互接続しあう“ミートミールーム”がある。この点、一般のデータセンターと違う。データセンターとしてだけではなく、ネットワークのハブとしても使ってもらいたい」と語った。実際、OS1 データセンターは大阪のネットワークのハブとも言える堂島とも直結されており、接続性も良好とのこと。こうして通信事業者が相互に乗り入れ、グローバル企業、顧客、パートナーなどのトラフィックが集うことで、新しいビジネスを創出するのが、エクイニクスが目指すエコシステムだ。
10階建てのデータセンタービルに構築
OS1 データセンターは、昨年大阪市内に建てられた京阪神ビルディングのデータセンタービルの1フロアに構築されている。10階建てのビル自体が免震構造で、特別高圧電力の受電設備や非常時用のガスタービンが用意されている。
内部的には、グローバルで展開されているIBXデータセンターと同じ仕様で作られているとのこと。「ラグジュアリーなエントランス」「通信事業者同士が相互接続する“ミートミールーム”」「黒、赤、黄で色分けされたラック上のケーブルトレイ」「青色LEDによる照明」などは、東京のTY4のようなIBXデータセンターと同じだ。冷却に関しては、下から吹き上げ、上から排気する構造で、キャッピングなどは特に施されていない。都市型なので、静脈認証などのセキュリティも充実している。
コロケーションやIXなどのサービスは開始されており、すでに予約も始まっているとのこと。まずは320ラックでスタートし、2014年中には800超ラックまで増設。上下のフロアは予約済みであるため、需要が増えた段階で、迅速に増床できるという。同社の得意とするエコシステムを大阪ひいては関西圏でも拡げられるか、注目される。