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うどん県の「新高松データセンター」は立地と電力供給が売り

2013年05月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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四国電力グループの通信事業者であるSTNetが建設中の「新高松データセンター」は、自然災害の少ない立地とラックあたり21kVAという大容量の電源供給力が大きな売りとなる。2013年12月サービス開始予定の同データセンターの概要について、STNetに聞いてきた。

総合SI企業STNetが手がけるデータセンター

 STNetは四国電力100%出資の通信事業者で、香川県高松市に本社を持つほか、四国各地や首都圏に支店や営業所を構える。個人向けのFTTH事業も手がけるいわゆる地域系通信事業者ではあるが、実際は通信、開発、システム構築まで三位一体で手がける全国でも数少ない総合SI企業だ。一般企業向けのデータセンター事業は2002年から手がけており、本社のある高松市と愛媛県松山市の2箇所にデータセンターを展開してきた。このSTNetが高松市内に建設しているのが、「新高松データセンター」だ。

2013年12月サービス開始予定の「新高松データセンター」のイメージ

 新高松データセンターは、ティア4クラスのファシリティ基準を持つ最新データセンターで、地上4階の建物に第1期は1000ラックを用意する。総敷地面積は1万8832㎡におよんでおり、第2期工事以降は3000ラック以上までの収容を実現する。

 新高松データセンター建設の背景は、既存の高松と松山のデータセンターが満床に近づいてきたという事情がある。また、東日本大震災の影響で首都圏以外のデータセンターのニーズが出てきたことも大きい。こうしたことから香川県高松市に西日本最大級かつ最新鋭のデータセンターを建設する計画を立案し、2012年11月に着工。2013年末の竣工・サービス開始を目指し、現在着々と建設を行なっている。

災害の少ない立地と大容量の電力供給

 新高松データセンターの最大の特徴は、地震や津波など自然災害が少ない高松という立地だ。STNet 常務取締役 新高松データセンタープロジェクト担任の浅田純史氏は、「過去80年で見ても、震度6以上の地震が起きていません。南海トラフの地震も懸念されますが、瀬戸内に面している高松では津波の高さも3m程度の想定です」とアピールする。

STNet 常務取締役 新高松データセンタープロジェクト担当 浅田純史氏

 香川県は首都圏の属する北アメリカプレートと異なるユーラシアプレート上に位置しているため、首都圏と連動した地震は起きにくい。津波の懸念のある太平洋側、冬期の豪雪が心配される北海道や日本海側、火山の存在する九州、非常時に陸路で行けない沖縄などに比べ、高松は災害リスクがきわめて低い国内でも希少な立地だという。

予想される津波の高さと巨大地震の震度

 データセンターの建物自体は、海岸線から6kmも離れた、海抜14.5mのところに位置しているうえに、1.5mの高床を施しており、液状化リスクもきわめて低い。建物自体も基礎免震構造をとっており、大地震が発生しても水平応答加速度を大幅に減衰できるという。このようにとにかく災害に強いというのが、新高松データセンターの売りとなっている。

 ファシリティ面で特徴的なのは、1ラックあたり最大定格21kVAという電源供給能力だ。一昔前は3~4kVAが主流だったことを考えると、未曾有の大容量といえる。しかも、床過重も1.5トン/㎡を確保した。浅田氏は「最近のクラウド用機器やサーバーは高密度な実装を前提としています。しかし、電力容量や床過重の問題で、ラックにサーバーをフル実装できませんでした。その点、新高松データセンターでは、大容量の電力供給を実現し、高密度化でコストパフォーマンスを最適化します」と語る。

海岸線から約6km離れ、海抜は14.5mを確保

 電力系の通信事業者だけに単に大容量というだけではなく、信頼性も高い。基幹系統から鉄塔経由で近くの変電所に電力を引き込み、地中のとう道を通って6万6000Vの特別高圧で受電。もちろん異なる変電所から二重に引き込まれており、UPSや72時間連続運用可能な非常用発電機も備えており、耐災害性にも優れている。

優れた受電環境

 省エネに関してももちろん配慮されており、外気冷却や太陽光発電装置などを導入する。「いろいろシミュレーションした結果、年間の約6割は外気冷却でまかなうことができます。チラー(冷凍機)を回すのは、夏期の数ヶ月のみになりそうです」(浅田氏)とのこと。とはいえ、高松市自体が瀬戸内の温暖な気候に恵まれた地域で、雪もほとんど降らず、湿度も低い。災害面だけではなく、省エネという観点でも、理想的な立地といえるわけだ。

(次ページ、抜群の利便性!うどん屋やコンビニ、ホテルもある)


 

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