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全118種類を解説!元素が実物で見られる『元素のふしぎ展』

2012年07月21日 15時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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後半はテクノロジーの申し子、レアアース&レアメタルへ

 展示は後半、レアアースコーナーへ。スカンジウム・イットリウムの2元素をはじめとした、あまりなじみのない、しかしLED発光体や強磁性物質、などテクノロジー好きにとってはこれ以上ないほど重要な元素が並んでいる。

 スマホの液晶画面やBlu-ray Discの盤面など、今をときめく電子部品もまさにレアメタルが使われており、見た目は地味だがここが本懐と言ってもいい。体験スペースでは強磁性体の強さを実際にさわって確かめられるところもあり、あまりに磁力が強いため、ケータイ/Suica/デジカメを展示の担当者さんに預けてさわるようになっていた。

地球上にある量が少なく、もしくは経済的な意味でとれる量が少ない鉱物、それが「レアメタル」。鉄・銅などの卑金属、金・銀などの貴金属と対比されるような存在で、あったらナイスという意味で「産業のビタミン」と言われている

黄色LEDに使われるイットリウム。パナソニックのLED電球が展示されている

かわいい名前のテルル。DVD-RWやBlu-ray Discといった相変化型ディスクの部材として、体温駆動腕時計(セイコー)などでも使われている

強磁性を持つネオジム磁石。HDDの部材として使われたり、スピーカーのマグネットとして使われる

原発事故からイヤなイメージがついてしまったセシウム。電子が飛び出しやすい特性を持っているため、セシウム光電管という真空管では陰極の素材として使われている

 最後は人工元素だ。人間が研究所で作り出し、一瞬で消えてしまうものが多いため、ここはほとんど実物展示なし。ごく微量のウランを塗料として使ったガラス、ウランガラスでできたネックレスとイヤリングという、とても珍しいものが見られたのがうれしかった。

 そして、展示の最後にかかげられていたメッセージは、地球上の純粋な元素は限りある資源だということ。生物とおなじように、地球上にはとても多様な元素があるのだが、化学反応をさせることで、その姿はたやすく変化してしまう。ヒトはつねに元素の機能性を活かし、テクノロジーを発達させてきた。そのとき「元素の多様性」を保っていけるかどうかが、これから地球とヒトが共存していけるかを決めるカギになるのかもしれない。

 むむむ、それではどうすれば……と、思わず最後に考えさせられてしまった。

ウランで色をつけたガラス、ウランガラス。地味ながらとてもきれいな黄緑色で、かつては食器や花瓶などに使われていた

最後の展示は人工元素。研究室で生まれ、一瞬で消えてしまうはかない元素たちだ。フレロビウム、リバモリウムという、新たに命名されたばかりの元素も入っている

 駆け足でまわってきたが、かなーり濃密な展示だった。Wikipediaを歩いてまわってきたようで、まともにすべてを見ていくとめちゃくちゃ手ごわい。科学好き小学生の自由研究としては異常なほど取り組みがいがありそうだ。もちろん大人にもおすすめで、元素の特質を知ることで、普段のニュースもちがった角度からとらえ、考えられる。世代を問わず楽しめて、日常を変えるきっかけになる。それが元素のふしぎ展なのだった。

 というわけでこの夏は元素が熱い! 科学好きならぜひ行ってみて!


特別展・元素のふしぎ

会場 国立科学博物館
会期 7月21日~10月8日
入場料 一般1300円、大学生1000円、小中高500円
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
(ただし、7月23日、7月30日、8月6日、8月13日、8月20日、8月27日、10月1日は開館)

http://www.tbs.co.jp/genso-ten/

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