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mSATAモデルも展開? PLEXTORが語るSSDの未来

2012年07月18日 12時00分更新

文● 近江忠

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6月23日に行なわれたPLEXTORのイベント「超鉄板SSD PLEXTORを体感せよ!」で展示された8台のSSDをRAID構成にしたマシン。高速なSSDを数多く使うことにより快適な環境を入手できるが、いやはや、ざっと見積もると50万円以上の構成ということで、超超ハイエンドだ

人気の秘密は性能のほかに
出荷前の100%チェック

――ちなみに開発者は何人くらいいるんですか?

 約100人くらいいます。LinuxやMacOS、Windowsなどいろいろなプラットフォームでテストをしています。プロジェクトチームがいくつもあって、ファームウェア、コントローラー、NAND FLASHというようにずっとそれらの研究をしています。われわれはエンタープライズ向けの製品の開発も始めたところです。

――ちょっと気になるのですが、コンシューマーとエンタープライズ向けでは、製品のどこに差があるのですか?

 エンタープライズ向けの製品は信頼性にフォーカスして作られています。確実に動作するのが重要ですので、チームは信頼性のテストばかりしています。リテール市場に出す製品、いわゆるパワーユーザーが選ぶ製品ですが、こちらは性能重視となります。Read/Writeの時間などですね。ここが違いです。実際は性能と信頼性のバランスなんです。もしRead/Writeがハイスピードのものを選ぶのなら、信頼性が犠牲になります。このバランスを取ることで、エンタープライズ向けとコンシューマ向けの製品を分けています。例えば一般的なエンドユーザーは5年間も信頼性は必要としないかも知れないですが、エンタープライズ向けの製品はサーバーに使われます。よってより長期間の信頼性が必要とされます。速度的に最高のものは必要ではありません。

――信頼性の話が出たのなら、これは是非聞かないと。他社の製品はせいぜい3年保証までですが、PLEXTORは一部の上位モデルに5年も保証がついてきます。これだけの期間を保証できる理由を教えてください。

 製品を出すまでに信頼性がどれくらいかテストを重ねるというのは先ほど話した通りですが、その課程でクラッシュするまで5年間は問題がないということがわかりました。これが5年保証の理由です。

――ほかのメーカーが3年保証としているところを5年保証としているというのは、他社メーカーがそんなにテストをしていないように聞こえるのですが。

 他社のことはよくわかりませんが同じようなプロセスはしているはずです。でも我が社は製品出荷前に数多くのテストをしています。これが安心感に繋がっています。

――日本ではPLEXTOR以外にもIntel、Crucial、OCZが人気です。特にPLEXTORの「M3 Pro」と、Crucialの「m4」は人気が高く、どちらが最強のSSDかという話題でよくネットで騒がれます。PLEXTORが日本のユーザーに支持される理由は何だと思いますか? また、「m4」より優れていると思う部分はありますか?

 キーとなるものがあると思います。昔から製品がエンドユーザー志向にあるというもののほかに、それぞれの出荷製品を厳しくチェックしている点が受けている理由でしょう。あるメーカーは出荷前にある程度しかテストをしません。われわれは出荷前にすべての製品にテストをしてパスした製品を出荷すべきだと考えています。メーカーの中には、出荷する製品の中から数個だけ抜き出してテストをしているとこもありますが、我々は100%全部の製品をテストにかけます。

――100%ですか?

 ええ。出荷する全部をテストします。テストは性能に関わるすべての項目です。パッケージに入れる前に、すべての製品の性能が同等であるかテストをするわけです。これがユーザーから支持を受けている理由でしょう。すべてのコンポーネントを1つにしてから、ファームウェアをインストールし、それからテストをします。すべての製品が一定の基準に達しているわけです。
 メーカーの中には製品の中から1、2個だけ抜き出しテストをして、そのまま販売をしてしまうところもあります。でも我々の出荷過程では性能テストが一番重要なんですよ。これは強調しておきたいのですが、われわれが販売する前のSSDはすべて同じ性能です。エンジンのテストもしているんですよ。これは重要です。NAND FLASHは不安定だからです。ご存じのとおり、NAND FLASHはいくつかのセルが死んでいる場合があります。すべてのNANDをエンジンテストをすることにより、われわれの基準に沿っているかチェックするわけです。

PLEXTORの工場の様子。このように集荷製品の100%をチェックしている

――そんな細かなテストをしていると、1ヵ月の出荷量というのは限られてしまいますよね。どれくらいの製品を出荷しているんでしょうか?

 われわれはまだSSDのマーケットでは駆け出しですから。2009年から販売を始めましたから、まだ3~4年しか経っていません。ただ出荷量は以前に比べれば膨大なものになっています。インテルと比べるなら、まだ彼らの出荷量には達していませんが(笑)。

――ところで先ほど話に出てきたエンタープライズ向けのPCI Express接続の製品のほか、mSATAのSSDを発売する予定はありますか?

 はい。mSATAやPCI Express接続の製品に関してはマーケティングが調査しています。PCI Express接続の製品は計画の中に入っています。

――mSATAに関してはいつ頃われわれは入手できのでしょう。

 すぐにですよ(笑)。そんなに言うならすぐにマーケティングのために会社に戻らなきゃ(笑)。製品は出します。ただまだ正確なスケジュールは言えない状況です。でも、すぐにですよ。

――容量的にはどれくらいのものが登場するのでしょうか?

 コンシューマ向けに出荷しているものと同じ容量になると思います。

――256GB、512GB……もっと上のものはどうです?

 もう、1TBのものが欲しいのね! でもそれはないと思うわ。

――Macbook AirでmSATAが使えるので、載せ替えの需要はあると思いますよ。

 確かにそうですね。Macbook Airは内部にSSDが内蔵されていますよね。多くのmSATAはノートブックベンダーに提供されています。でも、リテールマーケットからはほとんど需要が無い状態です。これが理由でmSATAの製品を出そうかどうか迷っています。

――すごい勢いで容量が増えていますが、いつかHDDを超える時が来ると思います。クロスポイントができる時期というのはいつ頃だと思いますか?

 今年ではないのは確かね。NAND FLASHを作っているメーカー次第ですから。現状、NANDフラッシュは高価ですから。フラッシュメーカーの技術は、われわれの要求に応えて進歩しています。2~3年では実現しないでしょうね。将来的にはあるでしょうけどね。

――これは個人的に聞きたいのですが、2.5インチサイズではなくて3.5インチサイズのSSDって登場しないのでしょうか? アダプターを噛まさないとデスクトップに組み込むことができないじゃないですか。

 そうは思わないけど……。

――PCケースの3.5インチドライブベイにそのまま差せるのなら、そっちのほうが楽だなぁと思いまして。

 ああ、そういうこと! 一度そういうのを開発チームが作っているのを見たわ。ケースだったわ。

――3.5インチのですか?

 詳細には覚えていないけど、専用ケースにSSDを差し込むタイプでした。で、それをPCケースに装着するわけです。こういう製品は市場ではまだないですし、1週間くらい前にこういったソリューションのものを見た覚えがあります。でもそれはケースに入っていて、拡張ベイに差すようなものだったわ。

――あ、あるんだ!

 開発部門から写真を見せられて「こういう製品って市場はある?」って聞かれただけなので。で、あたなも同じことを聞いたわけよ。開発部門はこういった製品を出そうとしているの。

――期待していますよ。

 昔、ケースの中にHDDが入っていて、PCケースの中に入れるタイプのものがあったじゃないですか。ほぼそれに似ている製品です。まだ私も出そうかどうか迷っている製品ですけどね。でもすぐ出るわよ(笑)。

――じゃあ、楽しみにしています。最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

 日本の皆様、いつも応援していただいてありがとう。われわれは品質の高い製品を提供することをお約束します。いつも他社より最高の品質の製品を出すことだけを考えています。

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