電卓は、一般人が最も手軽に入手できる“プロ向け機材”
シャープ「CS-D942」は、ビジネス向け経理仕様/実務電卓の主力機。
カード/ハンディ・手帳タイプと呼ばれるポケット電卓に対して、デスクトップ/セミデスクトップタイプと呼ばれる堂々の“卓上電子計算機”。
製品名にもしっかりとCOMPET(コンペット)と銘打たれており、これは同社が世界で初めて開発した電卓「CS-10A」から受け継がれているブランド名だ。
機能面を見ればいかにも実用で、税込み/税抜き、日数計算、累計ボタン(GT)、アンサーチェックといったファンクションのほかはメモリー演算程度と、余分な演算キーはまるでない(演算では√があるだけだ)。
とはいえ、素早く快適な入力のための工夫は、PCのキーボードとは比較にならないほど細かく作り込まれている。
見た目ではほとんど判別できないが、数字キー最下段は凸型、それ以外は凹型形状で、指を置いただけで位置が分かる(5に小さな突起があるのは当然)ほか、連続して打鍵した際、キーが戻りきらないうちに別のキーが押されても順番通りに数字が入る。
背面はほぼ全面がラバー貼りになっている。本体のサイズと重量(約450g)も相まって、少々ラフに叩いても机上で滑ったり、ぐらつくような感じはまるでない。
液晶部はチルトして見やすい角度に調整できるのだが、チルトする液晶部とボディ周囲のカバー部は独立しているので、剛性と安定感は変わらない。さらに持ち運び用のスリットが背面に開けられていて、室内で持ち運ぶ際にも安心。
シンプルながらしっかりとした作りは事務機器ならでは。デジタルガジェットにありがちなインターフェース面でのマイナス点が見当たらないのは、数十年に渡って作りこまれた機器の証といえよう。実際に触ってみると、“単にちょっと大きめの電卓だろ”という第一印象を払拭する“本格プロユース機材”であることを実感できるだろう。