「理念」の見直しから再出発
サイトのリニューアルに際して柳田さんたちがまず見直したのは、商品の分類でもデザインでもなく、会社の理念だった。理念とは、会社のあるべき姿。ozieに当てはめれば、「ワイシャツという商品を通して、ozieがお客さんに何が提供できるか」を追求することになる。
理念は、会社の土台ともいうべきものだ。新商品の仕入れを検討するときも、既存商品の取り扱いを見直すときも、理念に照らし合わせれば、やるべきか、やめるべきか、自ずと答えは出るし、商品のラインアップにもブレがなくなる。当然、会社の姿勢にも一貫性が出る。それを、サイト作りに反映させていくことが肝心なのだ。
柳田さんは、2002年のオープン当時から、ワイシャツ=伝統的という固定概念に囚われず、もっと自由な発想で商品を提供したいと思っていた。伝統をきわめて重んじるシャツ業界では異色のことだ。
「シャツは、もともとイギリスで正装時の下着として生まれ、スタイルや着こなしには伝統的なルールが残っています。その良さは残しつつ、現代のファッションに合うシャツを模索したかったんです。日本では、シャツの代表格といえば、サラリーマンが背広の下に着るワイシャツですよね。いまだに、『どうせ、たいして見えない部分だから』と、消耗品感覚で購入する人は大勢いらっしゃいます。でも、毎日着るものだからこそ、ワイシャツを“選ぶ楽しみ”を提案したいと思いました」
最近は、クールビズの影響で、「吸汗、速乾」素材が広く認知されるなど、機能面でワイシャツがクローズアップされることが増えた。また、年間を通じてクールビズが常態化していることから、ノーネクタイに合うシャツを探す人も出てきた。ワークスタイル、ライフスタイルはどんどん変化する。そうした状況に臨機応変に対応しつつ、デザイン性に優れたおしゃれなシャツを提案していきたい――。
柳田さんは、この思いを理念に込めた。
――自由で快適なシャツスタイルの提案を通じて、ライフスタイルの変革・改善に貢献します――
ozieを再構築するうえで、揺るぎない土台ができあがった。
だがもう1つ、柳田さんたちにはサイトを構築し直す前にやるべきことがあった。それが、自社の強みを徹底的に考え抜くことだった。(続く)