アドビ システムズは4月11日、プロクリエイター向けのソフト製品群「Adobe Creative Suite 5.5」(CS5.5)を発表した。価格は、DTPデザイナー向けの「Design Standard」が19万8450円、DTP/Webデザイナー向けの「Design Premium」が24万9900円、Webクリエイター向けの「Web Premium」が23万6250円、映像クリエイター向けの「Production Premium」が26万1450円、“全部入り”の「Master Collection」が39万7950円。発売は5月下旬の予定で、アドビ ストアでは同日から予約を受け付けている。
Adobe CSシリーズは従来、18か月のサイクルで新バージョンを発表してきたが、今回からメジャーバージョンアップのリリース時期を24か月へ伸ばし、代わりに12か月ごとに中間バージョンをリリースする方針へ転換した。今回発表されたCS5.5は、新しい製品サイクルでリリースされる第1弾となる。
製品サイクルの短縮に合わせて、新たに「サブスクリプション」(月額払い)方式での提供も開始する。料金は月額1万4000円から(Design Standard/月々プランの場合)と安価とは言えないが、従来の「買い切り」に比べると、(1)契約期間中は常に最新版を利用できる、(2)特定の製品を必要な期間だけ利用できる、(3)固定資産ではなく経費扱いで導入できる、といったメリットがある。
スマホ、HTML5、電子出版へ対応
PhotoshopやIllustratorはバージョンアップせず
CS5.5の目玉は、(1)HTML5/CSS3の本格的なサポート、(2)スマートフォンを中心とするマルチスクリーン環境への対応、(3)電子書籍/電子雑誌の制作を強化――の3つだ。たとえば、「Dreamweaver CS5.5」では、HTML5/CSS3のコードヒントやプレビューに対応し、jQuery Mobileを使ったスマートフォンサイト制作支援機能が搭載された。HTML5/CSS3+JavaScriptで作ったWebアプリを「PhoneGap」と連携してスマートフォン向けのネイティブアプリに変換する機能も用意され、ちょっとしたアプリ開発にもDreamweaverが使えるようになった。
「Flash Professional CS5.5」は、AndroidおよびiOS(iPhone/iPad)アプリの開発に対応した。複数のプラットフォームや画面サイズが異なる端末用に素材(シンボル)を共有したり、ステージに合わせてコンテンツを拡大・縮小したりできるようになった。
「Flash Builder 4.5」も、売りはスマートフォン向けのアプリ開発機能だ。Flexフレームワークの新版「Flex 4.5 SDK」を利用し、AndroidやiOS、BlackBerryのアプリ開発に対応する(iOSやBlackBerryへは2011年下半期以降対応)。「Flash Catalyst CS5.5」との連携も強化され、ラウンドトリップ型の開発フローに対応した。
CS5.5ではこのほか、EPUB3.0の縦書きをサポートした「InDesign CS5.5」、iPadやAndroid端末向けの動画出力を強化した「Premiere Pro CS5.5」、S3D立体視映像に対応した「After Effects CS5.5」などがラインナップされる。なお、Photoshop/Illustrator/Fireworksなどのグラフィックツールはバージョンアップせず、CS5のまま提供される。
詳しい製品構成や価格はアドビ システムズの購入ガイドを参照のこと。