9月10日、アダプテックは同社のRAIDカード向けに、SSDをディスクアレイのキャッシュとして利用する「Adaptec Max IQ SSDキャッシュパフォーマンスキット」を発表した。パフォーマンスを最大5倍高速化できるという製品概要を紹介する。
SSDをディスクアレイのキャッシュで使う
今回発表したAdaptec Max IQ SSDキャッシュパフォーマンスキットは、同社のRAIDカード「Adaptec RAID 5/5Z/2」に対応する高速化オプション。RAIDカードに接続されたSSDをディスクアレイのキャッシュとして利用することで、ランダムリードのパフォーマンスを向上させるものだ。
「CPUやメモリの性能向上に対して、物理的にヘッドを動かして読み書きを行なうHDDの性能は基本的に横ばいのままです。一方、SSDはランダムアクセスに強いが、容量が小さく、コストも高い。そこで両者をハイブリッド化して、いいとこどりしようというのが製品のコンセプトです」(若山氏)。
具体的なパッケージは、RAIDカード用のソフトウェアとインテルの32GB SSD(Intel X25-E SLC SSD)で構成されている。ユーザーはRAIDカードにSSDをつなぎ、Windows上で動作する管理ツール「Adaptec Storage Manager」からRAIDカードのソフトウェアをアップデートすれば準備は完了。導入するとRAIDカードが自動的に学習を開始し、頻繁にアクセスするデータはSSDにキャッシュされる。そして、これらのデータの読み出しリクエストが来た場合は、SSDから読み出されるので、きわめて高いレスポンスを実現できるという。一方で、データ保護が重要な書き込みに関しては、今まで通りハードディスクに直接行なわれる。
1万5000回転のSAS HDD12台を用いた同社のテストによると、ない場合に比べて、ランダムリードで11倍の速度向上。Webサーバやファイルサーバの読み出しでは、最大4~5倍速度が向上したということで、その効果は劇的だ。ランダムリードを多用するWebのフロントサーバやデータベース、仮想化環境などでの利用が最適とのこと。実際に試してみると「時間が経つにつれ、HDDへのアクセスが減り、LEDが点滅しなくなってきます」(若山氏)とのことで、大容量で高速なSSDキャッシュの効果は大きい。
現在、同社はストレージとサーバ間のデータ転送を最適化し、消費電源の削減やデータ保護、パフォーマンス向上などを実現する「データコンディショニングプラットフォーム」という戦略を提唱している。今回のSSDキャッシングもこの戦略を体現した製品の1つで、今後もさまざまな製品が投入される予定となっている。