ポイント
- 90nmプロセスで低消費電力に!
- SSE3搭載でエンコードが高速に!
ついにSSE3に対応した
“本命”の90nm Athlon 64
“Veniceコア”Athlon 64。 |
4月下旬から、“Venice”コアを採用した新しいAthlon 64が市場に出回り始めた。
Venice/San Diegoコアの最大の特徴は、Athlon 64シリーズとしては初めてSSE3に対応した点だ。SSE3はインテルが2004年2月に投入した「Prescott」コア以降利用可能になった新命令群で、対応ソフトを使えばエンコード処理の高速化、特定のアルゴリズムの3Dの高速化、マルチタスク性能の向上などが見込めるものだ。
CPU-Zで見たCPU情報。Instructions欄の「SSE3」に注目! また、拡張モデル番号(中央のExt.Model)は2F。New CastleコアのF、Winchesterの1Fに続く順当なナンバリングだ。 |
今回はVeniceコアと、130nmプロセスの「NewCastle」について、ともに2.2GHzの3500+を用意し、SSE3による性能変化、および90nmプロセス化による消費電力の変化などを検証していく。
上の2つのグラフは、SSE3対応ソフトの代表格、エンコードソフトの「TMPGEnc 3」による圧縮時間比較だ。標準設定ではSSE3をオフにしたVeniceの速度はNew Castleとほぼ同じだが、SSE3をONにすると11%も高速化される。処理が重い「最高精度」では、このリードは14%に広がる。SSE3の効果は確かに大きい。
ただ、編集部で使っているテストデータの場合、「標準設定」ではSSE2を使った方が速いのだが、「最高精度」ではオフにしたほうが速くなる。そこで、その場合の性能も測ろうとしたのだが、TMPGEnc 3の仕様で「SSE2はオフ、SSE3はオン」という設定ができない。やむを得ず、VeniceではSSE2と3を両方オフにしている。
結果、New Castleは大きく性能が伸びたが、Veniceは、SSE3がオフになったことがマイナスとなり、性能はわずかに低下。ベストスコアで比べると両コアの差はあまりなくなってしまった。とはいえ、これはちょっと珍しいケース。多くのソフトではSSE2や3のオンオフなどできないから、SSE3で性能が伸びるVeniceは十分に魅力的だ。
消費電力は、90nmプロセスでは漏れ電流が多いというのを裏付けるように、アイドル時にはNew Castleのほうが消費電力は少なかった。ただ、負荷のかかった状態ではやはり、電圧の低いVeniceがクールだった。
プロセス | 130nm | 130nm | 90nm | 90nm | 90nm |
---|---|---|---|---|---|
コア | ClawHammer | New Castle | Winchester | San Diego | Venice |
キャッシュ | 1MB | 512KB | 512KB | 1MB | 512KB |
リビジョン | SH7-CG | DH7-CG | DH8-D0 | E4 | E3 |
4000+ | 2.4GHz | ―― | ―― | 2.4GHz | ―― |
3800+ | ―― | 2.4GHz | 2.4GHz | ―― | 2.4GHz |
3700+ | ―― | ―― | ―― | 2.2GHz | ―― |
3500+ | ―― | 2.2GHz | 2.2GHz | ―― | 2.2GHz |
3400+ | ―― | ―― | ―― | ―― | ―― |
3200+ | ―― | 2GHz | 2GHz | ―― | 2GHz |
3000+ | ―― | 1.8GHz | 1.8GHz | ―― | 1.8GHz |
5月上旬時点では、Veniceコアの製品は旧コア製品より2000~4000円ほど高いが、潤沢に出回れば差は縮まるだろう。SSE3というボーナスのついた“クールな90nmプロセッサ”、Venice/San Diegoは魅力大だ。