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アニメーション的手法を巧みに取り入れたハイレベルなCGが競い合う3DCGの祭典“WavyAwards 2004-2005”レポート

2005年04月11日 23時33分更新

文● 千葉英寿

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東京・有明のパナソニックセンター東京
『WavyAwards 2004-2005』は東京・有明のパナソニックセンター東京で実施された

東京・有明のパナソニックセンター東京において8日、『LightWave 3D』など3D CGアプリケーションを販売する(株)ディ・ストーム(D-STORM)主催のCGコンテスト“WavyAwards 2004-2005”が開催された。メインイベントである“WavyAwards 2004-2005授賞式”を中心に、著名なCGクリエイターによるトークセッションをはじめとするさまざまなイベント/セミナーが行なわれ、CGクリエイターには大満足の一日となった。

WavyAwardsが日本で初めて開催されたのは1996年だが、今回は6回目となる。これは2001年まで続けて開催されたあと休会していたためで、3年のブランクを経て、久々の開催となった。LightWave 3Dに代表される、米NewTek(ニューテック)社のCGアプリアプリケーションユーザーによる作品コンテスト“WavyAwards 2004-2005”やCG作成セミナー、トークイベントが行なわれたほか、会場エントランスではディ・ストームの最新CGアプリケーション『LightWave 3D [8]』など、協賛各社の展示ブースに最新ハードウェア&ソフトウェアが展示されたほか、ディ・ストーム取扱製品の即売も行なわれた。



ディ・ストームブースでは『LightWave 3D [8]』を大々的にアピール
ディ・ストームブースでは『LightWave 3D [8]』を大々的にアピール

WavyAwards 2004-2005の審査は、まず国内外のCG業界著名人による第一次審査が行なわれ、応募作品の中から“静止画部門”“アニメーション部門”で各10作品が第一次審査通過作品として選出。さらに第二次審査として、3月18日から今月1日まで、インターネット経由で一般視聴者からの投票を受け付けるなど、幅広い観点からの審査が進められた。最終的にはこのウェブ投票の結果を合わせて、各部門の最優秀賞作品1点と優秀作品2点が決定した。

【第一次審査審査員】

●国内
伊勢田誠治氏((有)さるちん 代表取締役 CGデザイナー)
ソエジマヤスフミ氏((株)ゴンゾ・ディジメーション GONZOデジタル部デジタルディレクター)
白井宏旨氏((株)ゴンゾ・ディジメーション GONZOデジタル部3DCGIセクションチーフ)
水崎淳平氏((有)神風動画 代表取締役 監督、クリエーター)
八木竜一氏((株)白組 Visual Effects Director/Director)
田川良典氏((株)白組 Visual Effects Chief Designer/Co. Director)
青山敏之氏(監督、アートディレクター)
●海外
Philip Nelson氏(NewTek)
William Vaughan氏(NewTek インストラクター、Industry Relationsディレクター)
Timothy Albee氏
Joshua Darling氏(米DAZ Productions社 Digital Artist)
Bill Kinder氏(米ピクサー・アニメーション・スタジオ(Pixar Animation Studios)社 シニア・マネージャー)
Wes “kurv” Beckwith氏(“Kaze, Ghost Warrior”の制作者)
Nicholas Boughen氏(“RainMaker”所属)
Robert Baldwin氏(NASA所属団体“JPL(Jet Propulsion Laboratory)”のクリエイター)
●出版社審査員
(株)ビー・エヌ・エヌ新社
(株)クリーク・アンド・リバー社
(株)アスキー(月刊MacPower)
(株)毎日コミュニケーションズ
(株)日経ビー・ピー(日経BP社)(日経キャラクターズ)
(株)ワークスコーポレーション(CG WORLD)

WavyAwards 2004-2005の受賞作品の発表は、トリを飾るプログラムとして、第一次審査通過作品の全編を上映する“作品上映会”として行なわれ、続いて静止画/アニメーションの各部門の最優秀賞と優秀賞の授賞式が行なわれた。

これまでのWavyAwardsは“CG作品のコンテスト”という傾向が強かった。もちろん、その本質であるLightWave 3Dなどの3D CGアプリケーションを使って制作されたCGクリエイター/CGアプリユーザーからの応募が中心になっているのは変わらない。が、この数年でCGはアニメや実写という垣根を越え、映像制作における重要な手法のひとつとして、業界全般に確実に根付いた感がある。その傾向を反映して、アニメーション部門ではアニメ的な表現や実写との合成はもちろん、静止画部門でもアニメ的な表現の作品が少なからずノミネートされていた。

静止画部門最優秀賞“イワンの部屋” 静止画部門最優秀賞を受賞した長谷川洋介氏
静止画部門最優秀賞“イワンの部屋”(長谷川洋介氏の作品)。座っている“イワン”⇒の人形を操る“人”⇒が映る“テレビ”⇒を見ている“イワン”⇒の“写真”⇒が座っている“イワン”の後ろに飾ってあり……と、8コマの絵が無限にループする静止画部門最優秀賞を受賞した長谷川洋介氏。静止画でありながらアニメーション的な演出を凝らした作品を作り上げたことについて、長谷川氏自身は「動画を考えていましたが、僕の力量では静止画がいいかな」と話し、動画を念頭にアイデアを固めていったことを明かした

静止画部門の最優秀賞は“イワンの部屋”の長谷川洋介氏が受賞した。長谷川氏には賞状とトロフィー、さらに副賞として日本ヒューレット・パッカード(株)よりカラー複合機が贈呈された。なお、優秀賞を受賞した“ハイビスカスの人”の川岡七郎氏と、“DOLL”の井上 巴氏は都合により欠席された。

静止画部門優秀賞“ハイビスカスの人” 静止画部門優秀賞“DOLL”
静止画部門優秀賞“ハイビスカスの人”(川岡七郎氏の作品)。南国の女性をイメージした人物描写だ静止画部門優秀賞“DOLL”(井上 巴氏の作品)。アニメタッチの作品。作者コメントでは「無限回廊を往く自動人形」とのこと

アニメーション部門の最優秀賞は、“きくらげ”を制作したメテオールの山田カズミ氏が受賞した。優秀賞は“ジャンク ジャック 第一話”の齊藤博一氏と、“まじん”の大森清一郎氏が受賞した。三氏には賞状とトロフィー、さらに副賞としてパナソニックSSマーケティング(株)よりSDマルチカメラと(株)エルザジャパンよりグラフィックスカードが贈呈された。さらに受賞者6名全員にはディ・ストームよりLightWave 3Dの無償バージョンアップと、日本AMD(株)よりモンブランの万年筆が贈られた。

アニメーション部門最優秀賞を受賞したメテオール 代表の山田カズミ氏
アニメーション部門最優秀賞を受賞したメテオール 代表の山田カズミ氏。「とにかくうれしいです。音楽もこの作品を制作したグループで作りました」と語った
アニメーション部門最優秀賞“きくらげ”1 アニメーション部門最優秀賞“きくらげ”2
アニメーション部門最優秀賞“きくらげ”。ハイテンポで「あなたのきくらげが見たい」と歌い上げる、とてもインパクトのあるヴォーカルサウンドに乗って、カラフルな世界を個性的なキャラクターが激しく動き回る作品
アニメーション部門優秀賞を受賞した齊藤博一氏
アニメーション部門優秀賞を受賞した齊藤博一氏
アニメーション部門優秀賞“ジャンク ジャック 第一話”1 アニメーション部門優秀賞“ジャンク ジャック 第一話”2
アニメーション部門優秀賞“ジャンク ジャック 第一話”。ロボット(?)と犬(?)の不思議な宇宙珍道中。第二話も制作中とか
アニメーション部門優秀賞を受賞した大森清一郎氏
アニメーション部門優秀賞を受賞した大森清一郎氏
アニメーション部門優秀賞“まじん”1 アニメーション部門優秀賞“まじん”2
アニメーション部門優秀賞“まじん”。日本昔話のような和の世界で、大森氏なりのカッコ良さでアレンジした
掲載当初、齊藤博一氏と大森清一郎氏の写真が入れ違っておりました。お詫びして訂正いたします。

審査員を代表して、(株)白組の八木竜一氏は「(静止画部門、アニメーション部門の)いずれもクオリティが高いと感じました。(アニメーション部門最優秀賞の)山田さんの作品はいまでも曲が頭の中をぐるぐるしちゃってます。白組のスタッフの間ではすっかりファンになってしまいました。DVDが出ると言うことですので、楽しみしています。全体としては、アニメーションがうまい作品が増えていると思います。リアルとアニメのどちらにも活かせるCGの器用さを発揮できていると思いました」と講評した。

ディストームの代表取締役会長の坂井常雄氏
ディストームの代表取締役会長の坂井常雄氏が挨拶し、授賞式を締めくくった

最後に主催のディ・ストームの代表取締役会長の坂井常雄氏が挨拶に立ち、「久しぶりの開催となりましたが、日本のWavyAwardsは変わらず“オリジナリティが高く”“作家性のある作品”ばかりでした。ぜひ来年もやりたいと思います」と、次回開催を宣言して締めくくった。



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