このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

アニメーション的手法を巧みに取り入れたハイレベルなCGが競い合う3DCGの祭典“WavyAwards 2004-2005”レポート

2005年04月11日 23時33分更新

文● 千葉英寿

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

WavyAwards 2004-2005の発表に先駆けて、第一次審査審査員を務めた日本のトップCGクリエーターたちを中心に、“コンピューターアニメーションの新時代”というテーマのトークセッションが行なわれた。

パネラーには、フリーランスの監督/アートディレクターの青山敏之氏、(有)さるちんの代表取締役でCGデザイナーの伊勢田誠治氏、ウモトサチコ氏と“うさぎ王”として活動しているうもとゆーじ氏、(株)アニマの取締役・エグゼクティブディレクターを務める笹原和也氏、午前中にもキャラクターに関するセミナーを行なった(有)ケイカの由水 桂氏が登壇した。そこに、CGクリエイター出身者の中にあって異色の存在と言えるアニメーション作家の新海 誠氏が加わって、現在の活動や今後の展開、さらにはCGクリエイターとしての身の振り方に至るまで、さまざまな話題が繰り広げられた。モデレーター・進行は、CG WORLD編集長の大出裕之氏が務めた。

パネラーの面々。左より青山敏之氏、伊勢田誠治氏、うもとゆうーじ氏 左より笹原和也氏、新海 誠氏、由水 桂氏
パネラーの面々。左より青山敏之氏、伊勢田誠治氏、うもとゆうーじ氏左より笹原和也氏、新海 誠氏、由水 桂氏

まず、CGの最近10年の傾向について、それぞれの意見が述べられた。

[笹原氏] CG人口は確実に増えたと思います。ある程度(仕事が)できないと使えなくなったと思います
[伊勢田氏] 10年前とは違いますよね。学校なんかなかったし。その点、最近は恵まれていると思います
[由水氏] 受け手が変化してきたと思います。いまは自然に(CGが)受け入れられる素地ができた。CGだから見てもらえるのではなく、作品として、作家として見てもらえるようになってきたと思います
[新海氏] LightWave 3Dを使ってはいますが、今でも手書きでやっているので(すべて)CGというわけではありません。そういう意味では、個人的には10年の変化は感じていないんです

さらに会社組織にしたこと、あるいはフリーで仕事を続けることについて、それぞれの考え方や状況が話題になった。

[笹原氏] 人数がいないと大きい仕事が受けられない。会社組織でなければ“HEAVY METAL THUNDER!”のような仕事はできなかったと思います
[伊勢田氏] 組織力があってはじめて受けられるということがありますね
[青山氏] 会社にしたいなとは思っていますが、スタッフが固定化され、常に仕事を回さなければならないということに対して、面倒くさいというのもあります
[由水氏] 僕の場合は、親の会社を借金もろとも譲り受けたという事情があったのですが、結果としては会社にしてみてよかったなと思っています
[新海氏] 会社にはしているのですが、スタッフはいません。あくまで法人にした方が税務上有利だという理由で会社組織にしました。スタッフィングを自分でやる自信はありませんし。自分の管理ですら、コミックスウェーブに個人作家として契約して管理してもらっています。気持ち的にはフリーなんです
[うもと氏] “うさぎ王”は会社ではないんです。“PIX”の方は作家と契約するためにつくったもので、ひとりしかいない会社です。そういうわけで僕の場合は、微妙に半分は法人、半分は個人という事です

それぞれの微妙な立場があるようだが、傾向としては、会社組織にした方は、組織力を活かしたパワフルな創作活動を行なっている傾向にあり、作家性を重視する方は法人化はしても組織化には向いていない、ということのようだ。

これまでの作品と活動、さらに今後どのようなことをやりたいかをそれぞれが語った。

青山氏

これまでの仕事は、GAMECUBEの『カスタム・ロボ』のようにゲームムービーが多かったですね。これはE3用に制作したのですが、評判がよく、結局オープニングムービーに採用されました。演出をやらせてもらっているがアニメや映画ほど、一任されることは少ないのが実情ですので、ぜひほかのジャンルの監督と肩を並べるぐらいになりたいですね。

『カスタムロボ バトルレボリューション』
『カスタムロボ バトルレボリューション』 (C)2004 NOISE/Nintendo

伊勢田氏

さるちんとしてですが、アニメの仕事が多いですね。このPostPetは角川書店(株)、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントのお仕事として、朝の番組の3分ほどの枠で放送されていたものです。ほかには公開中の映画“ワンピース”の背景動画、プロダクション・アイジー(株)が手がけるロボットレースアニメ“IGPX”の制作などもあります。ゲームは『さるゲッチュー』ぐらいです。これからの仕事としては(企業規模が)小さいので、できることも限られますが、オリジナルのキャラクターの映像作品を作りたいですね。オリジナルもやりつつ、仕事もきっちり、と。

『Post Pet』
『Post Pet』

うもと氏

今までもこれからも、“PIX”のような実験的作品を作っていきたいですね。“ウゴウゴルーガ”のようなものが大好きで、自分のテイストでかわいい系キャラを作りたいです。今後もいろいろなお仕事をこなしつつ、人とは違う何かを目指したいと思います。

笹原氏

(株)テレビ東京と(株)スクウェア・エニックスの『HEAVY METAL THUNDER!』で、アニメとゲームムービーの両方をやりました。2Dアニメをコントロールするのは大変だと思いました。これまでずっと受け仕事をやってきましたので、そろそろそのスキルを生かして、オリジナルを作りたいというのはあります。

『HEAVY METAL THUNDER!』
『HEAVY METAL THUNDER!』

新海氏

これまでオリジナル作品の著作権収入だけでやってきました。NHK“みんなの歌”と美少女ゲームのオープニングをやった程度です。ですので、今後もそのようにしていくと思います。もし、受け仕事があってもこなせないと思います。今後、どうやっていくかは、もしかしたら小説がいいのかもしれないと考えたり、本当にこのまま映像でいいのか、ということも考えます。

『雲のむこう、約束の場所』
『雲のむこう、約束の場所』

由水氏

ゲームではPSPの(株)ナムコ『RIDGE RACER』のE3向けオープニングムービーを作りました。アニメ関係は『あめふりゆうれいのさがしもの』などをやりました。今後はオリジナルを作ることに尽きます。まだまだ演出も駆け出しだし、いろんな業界の人と仕事して得ていきたいと思っています。

『あめふりゆうれいのさがしもの』
『あめふりゆうれいのさがしもの』

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン