WavyAwards 2004-2005の発表に先駆けて、第一次審査審査員を務めた日本のトップCGクリエーターたちを中心に、“コンピューターアニメーションの新時代”というテーマのトークセッションが行なわれた。
パネラーには、フリーランスの監督/アートディレクターの青山敏之氏、(有)さるちんの代表取締役でCGデザイナーの伊勢田誠治氏、ウモトサチコ氏と“うさぎ王”として活動しているうもとゆーじ氏、(株)アニマの取締役・エグゼクティブディレクターを務める笹原和也氏、午前中にもキャラクターに関するセミナーを行なった(有)ケイカの由水 桂氏が登壇した。そこに、CGクリエイター出身者の中にあって異色の存在と言えるアニメーション作家の新海 誠氏が加わって、現在の活動や今後の展開、さらにはCGクリエイターとしての身の振り方に至るまで、さまざまな話題が繰り広げられた。モデレーター・進行は、CG WORLD編集長の大出裕之氏が務めた。
パネラーの面々。左より青山敏之氏、伊勢田誠治氏、うもとゆうーじ氏 | 左より笹原和也氏、新海 誠氏、由水 桂氏 |
まず、CGの最近10年の傾向について、それぞれの意見が述べられた。
さらに会社組織にしたこと、あるいはフリーで仕事を続けることについて、それぞれの考え方や状況が話題になった。
それぞれの微妙な立場があるようだが、傾向としては、会社組織にした方は、組織力を活かしたパワフルな創作活動を行なっている傾向にあり、作家性を重視する方は法人化はしても組織化には向いていない、ということのようだ。
これまでの作品と活動、さらに今後どのようなことをやりたいかをそれぞれが語った。
青山氏
これまでの仕事は、GAMECUBEの『カスタム・ロボ』のようにゲームムービーが多かったですね。これはE3用に制作したのですが、評判がよく、結局オープニングムービーに採用されました。演出をやらせてもらっているがアニメや映画ほど、一任されることは少ないのが実情ですので、ぜひほかのジャンルの監督と肩を並べるぐらいになりたいですね。
『カスタムロボ バトルレボリューション』 (C)2004 NOISE/Nintendo |
伊勢田氏
さるちんとしてですが、アニメの仕事が多いですね。このPostPetは角川書店(株)、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントのお仕事として、朝の番組の3分ほどの枠で放送されていたものです。ほかには公開中の映画“ワンピース”の背景動画、プロダクション・アイジー(株)が手がけるロボットレースアニメ“IGPX”の制作などもあります。ゲームは『さるゲッチュー』ぐらいです。これからの仕事としては(企業規模が)小さいので、できることも限られますが、オリジナルのキャラクターの映像作品を作りたいですね。オリジナルもやりつつ、仕事もきっちり、と。
『Post Pet』 |
うもと氏
今までもこれからも、“PIX”のような実験的作品を作っていきたいですね。“ウゴウゴルーガ”のようなものが大好きで、自分のテイストでかわいい系キャラを作りたいです。今後もいろいろなお仕事をこなしつつ、人とは違う何かを目指したいと思います。
笹原氏
(株)テレビ東京と(株)スクウェア・エニックスの『HEAVY METAL THUNDER!』で、アニメとゲームムービーの両方をやりました。2Dアニメをコントロールするのは大変だと思いました。これまでずっと受け仕事をやってきましたので、そろそろそのスキルを生かして、オリジナルを作りたいというのはあります。
『HEAVY METAL THUNDER!』 |
新海氏
これまでオリジナル作品の著作権収入だけでやってきました。NHK“みんなの歌”と美少女ゲームのオープニングをやった程度です。ですので、今後もそのようにしていくと思います。もし、受け仕事があってもこなせないと思います。今後、どうやっていくかは、もしかしたら小説がいいのかもしれないと考えたり、本当にこのまま映像でいいのか、ということも考えます。
『雲のむこう、約束の場所』 |
由水氏
ゲームではPSPの(株)ナムコ『RIDGE RACER』のE3向けオープニングムービーを作りました。アニメ関係は『あめふりゆうれいのさがしもの』などをやりました。今後はオリジナルを作ることに尽きます。まだまだ演出も駆け出しだし、いろんな業界の人と仕事して得ていきたいと思っています。
『あめふりゆうれいのさがしもの』 |