日本エイ・エム・ディ(株)は17日、都内ホテルで“AMD64+Windows x64 プレス・カンファレンス”を開催し、64bit CPU“AMD Opteron プロセッサ”や、マイクロソフト(株)の64bit版Windowsを中心とした、64bitコンピューティング環境の普及に向けた取り組みについての説明を行なった。同カンファレンスには、マイクロソフトをはじめとする日本AMDのパートナー企業各社が参加し、各社の64bit製品の紹介や今後の展開などを紹介している。
日本AMD代表取締役社長の堺和夫氏 |
カンファレンスの冒頭に挨拶を行なった日本AMD代表取締役社長の堺和夫氏は、64bit CPUの展開を2004年来強化しており、「AMDが64bit環境を牽引する」と述べた。また、64bit環境の普及には「マイクロソフトによる(64bit環境の)サポートが重要」だと述べ、64bit版Windowsの登場により、2005年は本格的な64bit環境への移行が始まるとした。このほか、CPUの次の大きな進化のステップとしてデュアルコアCPUの投入を挙げ、日本HPや日本IBMなどといったパートナー企業との協力体制のもと、準備が進んでいるという。
CPGマーケティング本部フィールドマーケティング部部長の秋山一雄氏 | x86サーバー市場におけるCPUシェア |
続いて登壇した同社CPGマーケティング本部フィールドマーケティング部部長の秋山一雄氏は、まずx86サーバー市場におけるOpteronのポジションと、14日に発表したOpteronの新ラインナップについて説明した。これによると、2004年第3四半期のグローバルのx86サーバー市場におけるOpteron搭載製品のシェア(出荷台数ベース)は約4.7%、米国の4Wayサーバー市場では20%に到達したとし、64bit CPUビジネスの立ち上げ以降、順調にそのシェアを拡大していると述べた。
新たに追加されたOpteronシリーズ3製品の概要 | Opteronの基本構造とスペック。今回の製品では、図中のコア部分とHyperTransportの部分を中心に強化されている |
Opteronの新ラインナップは、
- 『AMD Opteron プロセッサ モデル852』
- 最高8Wayをサポート、14日から30日以内に出荷開始、1000個ロット時単価16万6540円
- 『AMD Opteron プロセッサ モデル252』
- 最高2Wayをサポート、14日から30日以内に出荷開始、1000個ロット時単価9万3610円
- 『AMD Opteron プロセッサ モデル152』
- 1Way用CPU、4月30日出荷予定、1000個ロット時単価7万70円
の3製品。プロセスルールは90nmで、動作クロック周波数はいずれも2.6GHz。新たに追加/強化された機能は、以下のとおり。
- 消費電力を最適化する機能“AMD PowerNow! テクノロジ”の追加
- “HyperTransport”バスの周波数を1GHzに引き上げ、バス1本あたりの最大転送速度を毎秒8GB、CPU1個あたりの最大転送速度を毎秒24GB(OpteronはHyperTransportバスを3本備える)に向上
- SSE3(Streaming SIMD Extension 3)と完全互換が図られた命令セットの追加
PowerNow!による消費電力低減の効果 | Opteron各シリーズおよびインテル製のサーバー向けCPUの消費電力の比較 |
“AMD PowerNow! テクノロジ”の追加にも見られるように、消費電力対策は今後の展開の中の重点ポイントとしているといい、低消費電力版の“AMD Opteron HE プロセッサ”“AMD Opteron EE プロセッサ”各シリーズの展開もプレゼンテーションの中で挙げた。
また、同社64bit CPUに対応したアプリケーションは、CPUの普及に併せて順調に増えているものの「Windowsアプリケーションはまだまだ少ない」とコメントしているが、国内サーバー市場で82%(2004年第3四半期)をWindowsプラットフォームが占めていることから「64bit版Windowsの登場で今後は急速に増えていく」との期待感を示し、同社および同社とマイクロソフト(株)との連携による64bitアプリケーション開発およびISV支援活動を継続して実施していくとしている。
日本国内のプロセッサー別サーバー市場の台数予測。2006年に32bit版x86サーバーと64bit版x86サーバーのグラフが交差している |
日本国内のサーバー市場の予測によると、32bitのx86サーバーから64bitのx86サーバーへのリプレイスは今後も順調に進行し、2006年ごろには台数シェアが逆転すると見られているという。同社では、HPC分野からスタートしたOpteronの展開をデータベースやインフラの分野へと順次広げ、「サーバーのすべての領域で64bitソリューションの提供を展開」していくとした。
クライアントパソコン市場での64bitプラットフォームの展開。図の上段はビジネス向け、下段はホームユース向けで、図の左から右方向へと展開を広げていくことを示している | “デジタルホーム”における64bit化のメリットと取り組み |
さらに、クライアントパソコン/コンシューマー向けの64bit CPUのラインナップも着々と進んでいるとして、今後は同市場の64bit化も大きく進展し、“デジタルホーム”の実現に向け、64bit環境のホームユースへの提供を目指していくと述べた。