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日本HP、エンタープライズビジネスの戦略説明会を開催――「市場でぶつかっていたメーカーが撤退するのは棚からぼた餅」

2005年01月11日 22時06分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本HPのエンタープライズ市場における戦略説明会

日本ヒューレット・パッカード(株)は11日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京にプレス関係者を集め、“エンタープライズ市場における2004年度の総括と2005年度の方針”に関する戦略説明会を開催した。会場には、代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の樋口泰行(ひぐちやすゆき)氏、常務執行役員 テクノロジーソリューション統括の石積尚幸(いしづみなおゆき)氏、エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武(まつもとよしたけ)氏らが出席し、64bit IAサーバーへのシフトと仮想化技術の普及促進を柱にした事業戦略を説明した。



代表取締役社長兼CEOの樋口泰行氏
代表取締役社長兼CEOの樋口泰行氏

最初に挨拶に立った樋口氏は、「いつもこうした機会では“合併して何年になる”という話から切り出すことになるが、そろそろやめにしたい」と言いつつ、日本で2年強、米国では2年半になる米コンパックコンピュータ社との合併を振り返り、「ほとんど同じサイズ(企業規模)の会社がひとつになるということは、内部の消費エネルギーが高い状態が続く。これから大型合併を行なう会社もあるが(米シマンテック社と米ベリタスソフトウェア社を指すと思われる)、つくづく大変だと思う。(HPについては)もうこれ以上の大きな合併はなく、いよいよ攻めに転じられると考えている」と切り出した。

さらに、HPの成長戦略について、「ITバブルを経て、もはや市場自体の大きな成長は望めない状況になった。その中で企業価値を高めるには、自社自身の成長だけでなく、M&Aで不採算部門を切り捨て、伸びる部門を成長させていくこと。IT業界でのサバイブ(生き残り)を目標に合併を繰り返してきたが、いよいよ(HPには)明るい未来があると革新している。つまり、企業規模が重要な状況になってきた。そこ(大きな企業規模を構えたうえ)で“顧客第一”を徹底し、SIやエンジニアを多数集めた。日本だけでも4000人のエンジニアを抱えている。特に今年はオープンで“アダプティブ”なサーバー、64bit、仮想化などを強力に進めていく。先日も市場でぶつかっていた企業がPCから撤退するという話があったが、これは“棚からぼた餅”になると思う。また、36億ドル(約3744億円)のR&D投資も継続していく。技術者魂の具現化であるR&Dには、今後も積極的に(資金を)投入していく。今年もHPは元気いっぱいに動いて、日本市場で認められる存在になるようがんばる」と年頭の挨拶を締めくくった。



“標準64bitコンピューティング”と“仮想化イノベーション”で、
HPは2005年を攻めていく

常務執行役員 テクノロジーソリューション統括の石積尚幸氏
常務執行役員 テクノロジーソリューション統括の石積尚幸氏

続いて、石積氏と松本氏が同社のエンタープライズ事業の目標を掲げ、それらの具体的な内容を紹介した。日本HPが2005年の目標として掲げた具体的な内容は以下のとおり。

x86サーバー
出荷台数No.1獲得
ブレードシステム
出荷台数シェア30%以上を獲得
Linuxサーバー
売り上げ金額倍増(対前年比)
UNIXサーバー
売り上げ金額シェアNo.1 50%以上を獲得
HP Nonstopサーバー
売り上げ金額+30%成長達成(対前年比)
SANストレージ
売り上げ金額No.1獲得

石積氏は、2004年度のエンタープライズビジネスの総括と2005年度の方針について、「以前から打ち出している“アダプティブエンタープライズ”を推進する。これはHPの製品を導入することを差すのではなく、状況の変化に俊敏に対応できる体制を示す。そのための助力としてHPの製品を提案している。成功している企業ほど、いち早くオープンシステムに移行しており、すでに次のステップとして“IT資産をどう運用するか”“コスト削減を達成するか”というフェーズに踏み出している」「市場でのポジションは好調に推移している。(米IBMが)PCを別のベンダーに移行するという話については、IAサーバーがPCとセットで売れるケースが多く、パートナー企業はそうした動き(別ベンダーへの移行の話)に不安を抱いている。そこでうちに声がかかるケースも多い」と市場動向を分析した。

2004年の日本HPにおけるエンタープライズビジネスの総括 日本市場での日本HPのポジション
2004年の日本HPにおけるエンタープライズビジネスの総括日本市場での日本HPのポジション
Itaniumへの取り組み
Itaniumへの取り組み

またItaniumサーバーへの取り組み強化についても強調し、「HPはItaniumから撤退することはない。元々米インテル社のCPU開発にHPが協力するという形で話し合いがもたれていたもので、HPとしての開発支援が終わり次第、CPUやチップセットはインテルが、搭載サーバーはHPが開発・提供すると宣言していたがこれを実行に移しただけのこと。撤退というニュアンスではない。実際、Itaniumサーバーについては今後3年間で3000億円を投資し、サーバーソリューションを展開していく」と語った。



日本HPが提案する新たなIT基盤とその必要性 64bitコンピューティングへのシフトと、リソースをプールして必要な分野に適宜振り分ける仮想化技術の重要性を訴求
日本HPが提案する新たなIT基盤とその必要性64bitコンピューティングへのシフトと、リソースをプールして必要な分野に適宜振り分ける仮想化技術の重要性を訴求

エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武氏
エンタープライズストレージ・サーバ統括本部長の松本芳武氏

松本氏は、各製品群の戦略などを説明したが、重点施策として64bitコンピューティングと仮想化技術のイノベーションを挙げ、「Windows/Linux/UNIX/ノンストップシステムのすべてにおいて64bitサーバーを展開する。これはItaniumをはじめ、EM64T対応Xeonプロセッサー、AMD Opteronプロセッサー搭載サーバーと広く展開し、春にも登場予定と言われる64bit対応Windowsに向けたアライアンスを組んで、現在検証プログラムなどを進めている。HP-UXの分野でもRISCからItaniumへの移行が順調に進み、昨年までで30%程度まで伸びた。2005年度の下半期には過半数に達するよう施策を打っていく」「仮想化技術については、当初PA-RISCという独自CPUの上に自社のHP-UXを搭載する形で実現してきたが、CPUにItaniumを採用し、さらにパーティション(搭載OS)にもWindows/Linuxなどを対応させて現在に至る。2005年の後半には物理/論理パーティションも仮想化して、リソース管理を統合するような製品を投入していくつもりだ。一方、IBMが提唱する仮想化技術は、我々から見ればまだ第1段階(自社の特定製品のみで完結した仮想化技術)に過ぎないと踏んでいる」と強気に発言し、2005年度のシェア拡大に自信を見せた。



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