『ウイルスバスター 2005 インターネット セキュリティ』のパッケージを掲げる、執行役員 日本代表の大三川彰彦氏 |
トレンドマイクロ(株)は9日、東京・赤坂のホテルニューオータニで記者説明会を開催し、Windows XP SP2に対応する個人向けウイルス&個人情報漏洩対策ソフト『ウイルスバスター 2005 インターネット セキュリティ』(以下ウイルスバスター 2005)を10月22日に発売開始すると発表した。価格は1ユーザー向けのパッケージ版が8925円、ダウンロード版が5250円。家庭で一括導入するユーザー向けの“2ユーザーパック”と新たに“5ユーザーパック”が用意され、それぞれパッケージ版は1万3440円/3万3600円、ダウンロード版は7875円/1万9688円。なお、ISP(インターネットサービスプロバイダー)から提供される月額版/レンタル版についても順次バージョンアップ予定で、今年10~12月中にアップデートを行なう。また、既存製品の登録ユーザーは無償アップデートが可能となっている。
シニアグローバルプロダクトマネージャーの山崎裕二氏 | トレンド・ラボ ジャパン ウイルス解析担当の岡本勝之氏 | プロダクトマーケティングの瀬川正博氏 |
発表会には執行役員 日本代表の大三川彰彦氏、シニアグローバルプロダクトマネージャーの山崎裕二氏、トレンド・ラボ ジャパン ウイルス解析担当の岡本勝之氏、プロダクトマーケティングの瀬川正博氏らが出席し、製品の概要は新機能の特徴、開発の背景などを語った。
発表会に参加者へのお土産として配られた、トレンドマイクロ印の救急箱 |
最初に挨拶に立った大三川氏は、「従来のウイルス/ワームへの対応だけでなく、最近はスパイウェア、フィッシング詐欺などへの対策、無線LANなどワイヤレスインターネット接続環境への対応などが必要になってきた。今回の新バージョンでは、こうした個人情報漏洩対策に主眼を置いて開発しており、さらにパソコンの脆弱性診断やホームネットワーク管理などの新機能を追加した」「トレンドマイクロでは、今日9月9日を“パソコン救急の日”と設定し、セキュリティー対策への関心を高めるキャンペーンを行なうことと決めた。今回の発表会に参加された方へのお土産も、それにちなんだものになっています」と切り出した。
大三川氏が示したインターネット普及の動向を示す資料 | 同じくインターネットの世帯別普及率と人口割合、および利用用途 |
スパイウェアは、ユーザーの行動(視聴しているウェブサイトなど)や入力された個人情報を収集し、バックグラウンドでその情報を回収/送信するもの。それ自身がウイルス/ワームのようなパソコンやOS環境を破壊する行為はしないものの、個人情報漏洩につながる危険がある。
フィッシング(Phishing)詐欺は、著名なウェブサイトなどの名称/デザインなどをかたって個人情報やクレジットカードの番号などを聞きだすもので、「ご登録いただいた情報が誤って削除されました。お手数ですが再入力をお願いします」などの文面でメールを送りつけ、偽りのページに誘導して個人情報の取得を狙うもの。
セキュリティー面への不安に対する、総務省の調査結果 | 進化を続けるウイルス/ワームにより、感染規模と被害は拡大を続ける |
大三川氏は、総務省や各種調査会社の資料を引き合いに出しながら、「パソコンを複数台持っている人が6割近くに増え、大小を問わず事業所におけるインターネット利用率は80%を超えるようになった。また、駅や空港、都市部の各種施設/店舗などで公衆無線LANサービスの提供が増え、利用者も18%近くまで増えてきている。最近はインターネットに接続しているだけで感染したり、知らぬ間に加害者なっているケースもあり、それらへの対策が必要とされてきた」と、新機能追加の背景を説明した。
それを受けて山崎氏がウイルスバスター 2005の新機能の概要を説明した。主な新機能として、従来のウイルス/ワーム対策機能の強化に加えて、
- 個人情報漏洩防止
- スパイウェアの検出&駆除
- 無線LAN&パソコン本体の脆弱性診断
- ホームネットワークのセキュリティー管理
- 不正アクセス防止
- 有害サイトへのアクセス規制
という6つを具体例を挙げながら紹介した。
個人情報漏洩の危険性を示すパネル | 個人情報漏洩防止機能の説明パネル |
個人情報漏洩防止機能は、ユーザーが事前に指定したウェブサイト以外で名前やメールアドレス、クレジットカード番号などの個人情報を入力/送信しようとすると警告を促すメッセージが表示され、同時に送信した個人情報の内容と送信先を最長60日間ログとして保存するというもの。
スパイウェアの危険性と対策 | 従来までのウイルスバスター 2004の役割と、ウイルスバスター 2005のカバー範囲 |
スパイウェア対策は、ウイルス/ワーム対策と同様、特定のプログラムパターンをHDD内のファイルやレジストリーから手動/自動で検索して、発見次第対応するというもの。プログラムやコンポーネントの追加時にリアルタイム検索する機能ももつ。
無線LAN&パソコン脆弱性診断機能の説明。侵入や不正使用の危険性を見つけると、設定変更を促す | 脆弱性診断機能で、すでに配布済みにもかかわらず当てていないアップデートパッチを報告、警告する |
デモンストレーションで、実際に不正アクセスしているパソコンを検知したところ |
脆弱性診断は、家庭に設置された有線/無線のネットワークを検査し、接続されているパソコンが許可(認証)済みであるかどうかを一覧表示するもの。特に屋外から勝手に無線LANを利用(ネットワークに参加)しているパソコンがないかどうかを、手動/自動で検索して発見次第警告を出すというもの。セキュリティーの強化(ネットワーク接続のためのパスワード変更やセキュリティーレベルの向上など)はユーザー自身が別途行なう必要がある。また、これに加えて、配布済みのOSのセキュリティーパッチが当てられているかどうかを確認し、当てていない場合はそれによる危険性/危険度と感染の恐れのあるウイルス情報を表示しながらアップデートパッチを当てる必要性を警告(啓蒙)する。
ホームネットワークのセキュリティー管理機能 |
ホームネットワークのセキュリティー管理機能は、家庭内ネットワークに接続したパソコンにインストール済みのウイルスバスター 2005(台数分のライセンスが必要)について、事前にパスワードを同一に指定しておくと、各種設定の変更やパターンファイル/プログラムファイルの更新をネットワーク経由で遠隔操作できるというもの。1度に1台のパソコンに対してのみ設定変更を行なうもので、一括変更などのサーバー機能は持たない。
パーソナルファイアーウォールをより使いやすくしたという、不正アクセス防御機能 |
不正アクセス防止機能は、従来から“パーソナルファイアウォール”機能として提供していたもの。アプリケーション単位で外部へのパケット送出の可否が設定できるほか、インターネットへの接続環境に応じてプロファイル(設定)の切り替えが可能。例えば、ブロードバンドルーター越しで接続する家庭内やオフィスでは設定を緩めてパフォーマンス優先に、セキュリティーに不安ある外出先(公衆無線LANやホテルの公衆インターネット接続サービスなど)では安全対策のための設定を高める、といった使い分けができる。
パーソナルファイアーウォールをより使いやすくしたという、不正アクセス防御機能 |
有害サイトへのアクセス制限は、外部データベース(ルックアップテーブル)を参照して、入力されたURLからアクセス先のサイトの種別(カテゴリー)を参照し、特定のカテゴリーについては表示を行なわないというもの。指定できるカテゴリーは20種類で、設定はパスワードで保護される。アクセスブロックしたサイトへの参照行為について、ログ(履歴)を残すこともできる。
デモンストレーションでアクセス制限機能を試しているところ。“女子高生”と“制服”で検索した結果…… | 検索結果のサイトがルックアップテーブルではアダルトサイトとして分類されていたため、ウイルスバスターが表示不可の警告画面を表示したところ |
このほか、ウイルス/ワーム対策機能の強化として、許可していないメールソフトから一度に大量のメール配信を行なおうとすると自動的に中止/ブロックする“マスメールストッパー”、一度検索したファイルに変更がない場合、対象から外すことで検索時間の短縮を図る“スピード検索”、ウイルス検索の結果、ウイルスが見つからなかった場合に、自動的にパソコンの電源を落とす“自動シャットダウン”(ソフトウェアでパソコンの電源を落とせる仕様のパソコンに限る)、リアルタイム検索機能のみをインストールする“ライトモードインストール”などの新機能を追加している。
ウイルス対策の機能強化点 | 新たに“マスストッパー”“スピード検索”“シャットダウン機能”などが追加された |
なお、Windows XP SP2との機能的な競合について記者から質問されると、「両者の共存自体は問題ないが、例えばファイアウォール機能を重複して利用するのは負荷になる。なので、その場合はOS標準のファイアウォール機能を切って使ってもかまわない。これはマイクロソフトからもアドバイスをもらっている」(瀬川氏)と回答した。
ウイルスバスター 2005の動作環境は、対応OSがWindows 98/Me/2000(SP4以降)/Windows XP(SP1またはSP2)で、必要スペックはOSごとに異なる。Windows 98/Meの場合、CPUはPentium-233MHz以上(または互換CPU)、メモリーは64MB以上(128MB以上を推奨)。Windows 2000ではPentium-300MHz以上(または互換CPU)、メモリー64MB以上(128MB以上を推奨)。Windows XPはPentium-300MHz以上(または互換CPU)、メモリー128MB以上。HDDはいずれも120MB以上の空き容量が必要で、RAID環境は非サポート。