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一太郎12

一太郎12

2001年12月22日 05時56分更新

文● culi

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一太郎12

ジャストシステム

2万円(アップグレード版8000円)

ジャストシステム「一太郎」の最新バージョン「一太郎12」では、文書の表現力そのものに関わる機能より、むしろ文章の内容に関わるデータの収集と作成を支援する機能の強化に重点を置いたのが特徴だ。なお、同梱される最新日本語IME「ATOK15」の詳細については別途レビューしているので、そちらを参照していただきたい。

「インターネットへの窓」になった
ナレッジウィンドウ

一太郎12のメイン画面。右にナレッジウィンドウが並ぶ。一番上のTechniqueには、関連する項目を自動選択して、使い方を提案してくれる。
 機能面の競争では行き着くところまで行ってしまった感もある、一太郎 vs. Microsoft Wordの「ワープロ対決」。シェア的にはご存じのようにWordの優勢が続いている。しかし、これらの「多彩で細かな機能」を熟知して使いこなせるワープロユーザーなど、ほんの一握りというのが現実だろう。

 ――にもかかわらず、筆者などは、今のワープロの使い勝手に対しては、まだまだ不満がある。ユーザーが欲しているのは、表現したい内容を効率的に文書にまとめられる「ツール」なのであって、ひとつの表現をするために複数のメニュー、コマンドの学習を強制される「アプリケーション」ではない。一太郎12の特徴を確認したとき、ようやく「ユーザーの目線」を重視した機能強化や改善が行われるようになった、という感を強く持った。



最大4つまで同時表示できるナレッジブラウザ。レイアウトは縦に並べるか横に並べるかのどちらかしか選べない。鍵型(』)などより自由なレイアウトが選べればもっと便利なのだが。
 その最たるポイントは、「ナレッジウィンドウ」の強化だ。前バージョン「一太郎11」では、ナレッジウィンドウで辞書引きやメモ、「一太郎の使い方」の参照といった機能を利用できたが、一太郎12では、新たにWebページをウィンドウの内に表示するブラウザ機能、「iATOK」「InternetDisk」といったジャストシステム製ユーティリティへのアクセス機能が追加された。

 中でも便利なのが、Webブラウザ機能だろう。現在、ビジネス文書作成のシーンでは、Web情報の活用が不可欠だ。複数のサイトに分散している最新のニュースや公的機関の公開データを引用し、まとめることで報告書やプレゼン資料を作るのは、今や多くの企業で「普通の仕事」になりつつある。

 そんなとき、ワープロとWebブラウザを別々に起動していると、いったんコピーしてからアプリを切り替えて貼り付けるという3段階の作業が必要だった。一太郎12のナレッジウィンドウには最大4つまでブラウザを表示することができ、横でWebページを参照しながら文書を作成したり、引用したいテキストをドラッグ&ドロップすることで一太郎上に貼り付けできる。



「ネットレポート」機能。テキストを範囲指定してドラッグ&ドロップすると、ページのタイトル、URL、画面イメージなどと一緒に貼り付けられる。

iATOKとの連動。一太郎文書中のキーワードから、国語、英和、和英辞典やサイト検索、BizTechニュース、TSUTAYAの映画・音楽情報などを検索する。
 iATOKについても、一太郎の文書中で入力した語句を指定して、すぐ横のナレッジウィンドウで直接iATOKのサービスを呼び出せるので、独立したウィンドウで参照していた従来のiATOKより、かなり使い勝手が向上する。

 InternetDisk(インターネットディスク)関連では、ナレッジウィンドウに表示したファイルを一太郎にドラッグ&ドロップすれば、直接インターネットディスクから開いて編集できる。編集した文書をインターネットディスクに直接保存する機能も追加されている。さらに「修太」(Syuta)の文書チェックをこのウィンドウ中から実行したり、あいさつやお礼、お詫びなどの定型句の文例を選んで文書に入力することもできる。

 また、ナレッジウィンドウに表示させたWebページの情報を、URLごと一太郎の文書中に取り込み、記憶させておくことも可能だ。その文書を人に送ると、相手のPCで開いたときに指定したWebページを呼び出し表示させられる。株価や為替相場などリアルタイムで変動する情報のURLを添付して送ったり、会社の出張伺フォーマットに乗り換え案内、航空会社、旅行会社サイトを記憶させておき、書類を作るときにすぐこれらのサイトを参照できるようにする、といった使い方ができる。

 残念ながら、一太郎12にバンドルされているスケジューラ「Sasuke 2.1」やメーラ「Shuriken 2.2」のデータをナレッジウィンドウに表示することはできない。だが、この方向性を追求すれば、近い将来、SasukeやShuriken、あるいは他社製のユーティリティやフリーウェア/シェアウェアをナレッジウィンドウと連携させることも可能だろう。要するに、一太郎12のナレッジウィンドウは、これまで独立したアプリとしてウィンドウ形式で存在するか、アプリに密着したアドオンとしてダイアログ形式で利用されていたツールやユーティリティを、文書作成環境の中に統合する場としての可能性を秘めている。



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