(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は8日、ミッドレンジコンピュータ・ワークステーション(WS)事業委員会と市場専門委員会による調査を基に、サーバーおよびワークステーションの2001年度上半期(4月~9月)の出荷実績を発表した。
2001年度総出荷金額内訳 |
それによると、サーバーの総出荷金額は3431億9900万円で前年同期比8%増、総出荷台数は9万1634台で同22%増となった。UNIX系サーバーとNOS(Network OS:主にWindows NT/2000)サーバーを合計した“オープンサーバー”の出荷金額は、2960億8900万円で同14%増、出荷台数は8万7404台で24%増と伸長を示した。
これは各企業のTCO削減、より効率的な新規システムの構築、および業績向上や市場競争力の強化などの手段としてサーバー導入が求められ、基幹システムやワークグループ用途に至るまで、需要が続いているためであるという。またJEITAは、サーバーの需要が引き続き拡大している要因として、ネットビジネスの浸透による設備用途、インターネット活用のインフラ整備用途、セキュリティー管理を始めとするリスクマネジメント用途などといったサーバーの構築が、幅広い産業分野において早急に求められたことを挙げている。
出荷台数を金額クラス別に分類すると、300万円未満のクラスの出荷金額は同20%増、300万円から1000万円のクラスは出荷金額が同5%増、1000万円から4000万円のクラスでは出荷金額が同11%減、4000万円以上のクラスは出荷金額が同23%増となっている。これを見ると、他のクラスに対して1000万円から4000万円のクラスが減少しているのが見て取れる。これは、各企業の厳しい予算の状況下で、求められる製品が低価格サーバーと、高機能サーバーのどちらかとなり、両製品による二極化が進んでいるためであるという。
またOS別で見ると、UNIX系サーバーの出荷金額が2215億1900万円で同16%増、出荷台数が2万9581台で同54%増であるのに対し、NOSサーバーは出荷金額が745億7000万円で同10%増、出荷台数が5万7823台で13%増となっている。UNIX系サーバーは、特に300万円未満の価格帯で、出荷金額が同59%増と大幅な伸びを見せており、2000年度に続いて、低価格サーバーにUNIX系が進出してきていることを示している。
産業別出荷状況。赤が製造業、黄色がサービス業、肌色が公共関係となっている |
なお産業別出荷状況の構成比を見ると、1位が32%で“製造業”、2位が25%で“サービス関係”、3位が19%で“公共関係”となっている。製造業は、各企業や中小企業においてもサーバーなどの環境整備が急速に進んだことによって需要が高まったものとみている。詳しい事業者の内訳などについては明らかにされていないが、サービス関係は通信事業者など、公共関係は文教関連などの占める割合が多いということだった。
ワークステーションの2001年度上半期の総出荷台数は4万7503台で同9%増、総出荷金額は510億7400万円で同18%減となっている。これはワークステーションの低価格化によるものだが、2000年度上半期の前年度同期比が23%減だったことに較べて多少伸びており、価格も下げ止まりの傾向にあるということだ。
ミッドレンジ・WS市場調査委員長で、(株)東芝のコンピュータ・ネットワークプラットフォーム事業部ビジネス開発担当部長の大谷章夫氏 |
2001年度全体の見通しについて、ミッドレンジ・WS市場専門委員長であり、(株)東芝のコンピュータ・ネットワークプラットフォーム事業部ビジネス開発担当部長の大谷章夫氏は、「企業のシステム構築の事情や、ネットビジネスの展開におけるサーバーに対する需要は続くだろう。2001年度の総実績は、UNIX系サーバー、NOS系サーバーを合わせたオープンサーバー市場全体で、金額は前年度比11%増、台数は前年度比20%増の伸長を見込んでいる」と見解を述べた。
なおLinux系サーバーについては、「プレインストールした製品がようやく出始めたが、まだ数が少なすぎて集計は不可能。今後、各企業がLinuxサーバー製品を出してゆくのであれば、大きな割合を占める可能性はある」ということだった。