松下電器産業(株)は25日、同社が運営するインターネット総合サービス“Panasonic hi-ho”の事業戦略を説明するプレスセミナーを開催した。同社は10月1日にhi-hoのウェブサイトをリニューアルするとともに、ブロードバンド時代に向けたさまざまな新サービスを開始する。
“Panasonic hi-ho”の新シンボルマーク |
同社は、ISP事業をブロードバンドに特化させるとし、ブロードバンド接続サービスおよびブロードバンド向けコンテンツの強化を図る。同社はブロードバンド向け有線接続サービスとして、現在ADSL接続サービスやFTTH接続サービスを提供しているが、モバイルインターネットサービス(株)(MIS)に事業参画し、IEEE802.11bを利用したモバイル向けの屋外無線LANサービスも展開するべく準備を進めているという。
この無線サービスは、ユーザーが手持ちのアクセスデバイスを利用して、IEEE802.11b経由で光ファイバーネットワークやxDSLネットワークにアクセスできるというもので、伝送速度は11Mbps、利用帯域は2.4GHz、端末の識別はグローバルIPで行ない、料金は定額制。MISが8月より三軒茶屋で実証実験を行なっているが、hi-hoとしても年末に実験サービスを開始するという。
また、10月1日にhi-hoウェブサイトをリニューアルし、ブロードバンド向けの新コンテンツサービスを開始する。同社は、放送のデジタル化や、インターネットのブロードバンド化により、デジタル衛星放送会社やケーブルTV会社、ISP事業者などがコンテンツを共同開発して利用できるようになるとしており、今後は各種コンテンツの開発と相互活用を推進していくという。
10月1日にリニューアルされる“Panasonic hi-ho”のトップページ画面 |
音楽コンテンツについては、同社はすでにエイベックス(株)と提携しているが、今回ビクターエンタテインメント(株)と新たに提携し、ビクターの音楽配信サイト“なあ! (na@h!)”のビデオクリップ番組“なあ! VISION”をオンデマンド配信(1楽曲45秒間、500kbps)する。
さらに、ネイバージャパン(株)(NAVER Japan)の動画ファイル検索エンジン“NAVER”を採用して検索機能を強化、動画検索を始め、総合検索、ウェブ検索、イメージ検索、音声検索がNAVERエンジンによって可能となった。なお、カテゴリー検索や翻訳検索、ニュース検索についてはエキサイト(株)と提携し、exciteエンジンを利用するという。
動画検索画面。検索結果をクリックすると、その動画を再生できる |
法人向けのインターネットサービス事業としては、動画の配信環境を整備し、ストリーミングやストアリングを提供する“特定キャストビジネスモデル”、個人ライブ中継やビデオアーカイブを提供する“パーソナルキャストビジネスモデル”、動画にCMをインサートする“広告ビジネスモデル”、IP電話やビデオチャットを提供する“コミュニケーションサービスビジネスモデル”を、年末に向けて開発中という。これらのサービスを提供するブロードバンドインターネット放送局の名称は“Panasonic Channel hi-ho”で、特定会員に動画をブロードバンド配信するといったサービスが可能という。
また同社は、今後ノンPCでのインターネット接続が本格普及するとみられることから、ネット家電関連事業にも力を入れていくとしている。デジタル放送を中心に放送や通信を融合したプラットフォーム“eプラットフォーム”向けに、hi-hoがインターネット接続サービスを提供するという。
IPv6対応も積極的に行ない、法人向けのIPv6専用線接続試行サービスを今秋に開始するという。さらに来年度は、インターネット電話などの個人向けIPv6常時接続サービスや、IPv6ハウジングサービスを開始するとしている。松下グループは、対応ハードウェアとしてホームルーター『SJ6』(松下電送システム(株))やIPv6対応冷蔵庫(松下冷機(株))、IPv6対応電子レンジ(松下電器産業(株)電化・住設社)などを試作しており、これらのハードウェアとhi-hoを利用してサービス実験を行なう予定という。
2002年におけるhi-hoのIPv6対応イメージ |
同社取締役eネット事業本部本部長の前川洋一郎氏は「ブロードバンドに続きノンPC時代が見えている。今こそhi-hoが立ち上がるとき」と挨拶 |