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WinRip ARENA

WinRip ARENA

2001年08月10日 00時00分更新

文● 及川晴生

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WinRip ARENA

インフォマジック

3980円

MP3ファイルは、いまやPCや携帯型メモリプレーヤだけでなく、CD/DVDプレーヤやカーオーディオの最新モデルでも再生可能となるなど、その守備範囲を広げている。このMP3の規格を拡張し、さらに利用範囲を広げようというのが、米MP3.comと米InterVideoから2001年3月に発表された「Enhanced MP3」である。この規格に対応するMP3エンコーダ/デコーダとして、InterVideoは音楽ソフト「WinRip」を用意している。8月上旬にインフォマジックから発売される「WinRip ARENA」は、WinRipを日本語化し、同社が販売しているWinCinema ARENAシリーズ共通のユーザーインターフェイスのほかに6種類のスキンを用意、さらにCDライティング機能、WMA形式のサポートなどを機能拡張を行ったパッケージ版ということになる。

MP3で簡単カラオケ

Enhanced MP3形式のファイルを再生したところ。自動的に画面中央に、MP3ファイルに埋め込まれたURLのWebサイトが表示される。入っているのは単純なURLで、毎回インターネット経由でダウンロードするのは難点だが、常に最新の情報が表示されるという利点もある。
 Enhanced MP3は、MP3ファイルに歌詞情報やアーティストのWebサイトのURL、さらにはメッセージやディスコグラフィなどさまざまな情報を「InterVideo Data Injection (IDI)」というテクノロジーを使って埋め込むというもの。MP3再生中に歌詞を表示させたいというユーザーの要望は(万国共通で)強く、オンラインソフトの世界ではMP3ファイルのほかに歌詞と表示させるタイミングを記述したファイルを用意することで、カラオケのBGV(カラオケビデオ)のようにMP3を楽しめるソフトウェアが多数登場している。それらとEnhanced MP3の大きな違いは、

  • MP3ファイル自体に情報を埋め込んでいる
  • 歌詞以外にも多くの情報を持たせられる

――という2点が挙げられる。こうした利点を利用して、レーベル(レコード会社)等から配布するMP3ファイルにも付加情報を埋め込んで一種の“広告ツール”として利用するなど、さまざまな用途が考えられている。
 このEnhanced MP3は、MP3.comのWebサイトにアップロードされているいくつかのMP3ファイルですでに採用されている。Enhanced MP3形式のファイルを再生すると、画面中央の領域にMP3ファイル内に埋め込まれたURLにあるWebサイトと、その下にアーティスト名や歌詞が表示される。常時接続での視聴が前提になるが、MP3ファイルを再生するたびにアーティストやレーベルの最新情報が載っているWebサイトが自動的に閲覧できるというのは、配信側にも、リスナーにも、双方にメリットがあるだろう。

MP3ファイルに歌詞を付けているところ。音楽を聴きながら、クリック1つで歌詞を表示するタイミングを指定できるのが便利。
 WinRip ARENAでは、この歌詞を埋め込んだEnhanced MP3形式のファイルを作成する機能も搭載している。編集画面は「時間」「形式」「内容」と3つの列を持つ表で構成されており、まず内容(歌詞)を入力し、続いてそれが表示される時間=タイミングを設定、といった具合に作業を行う。こうして歌詞とそれが表示される時間を入力していき、最後に「録音」ボタンを押すとその内容がMP3ファイルに反映される。こう聞くと面倒そうな作業に思われるかもしれないが、あらかじめ使い慣れたエディタ/ワープロソフトで記述した歌詞のテキストファイルを読み込む機能や、いちいち時間を数値で入力せずとも再生中の音楽に合わせて「時間設定」ボタンをクリックしてタイミングを合わせる、といった簡易入力機能もあるので、意外にサクサクと作業を進められる。
 MP3エンコードエンジンはInterVideoオリジナルのもので、筆者のテスト環境(自作PC、CPU:Celeron-900MHz、メモリ:256Mbytes、OS:Windows 2000、32倍速CD-ROM)で音楽CDから直接リッピング→MP3エンコードを行ったところ、4分23秒の曲が約43秒で変換できた。
 また、MP3デコーダ/プレーヤとして一番の特徴的なのは、

  1. 劇場のような音響効果を生み出す「HALL」
  2. 高音と低音を強調する「ROCK」
  3. 低音を特に強調する「BASS」
  4. 軽い音質になる「SOFT」
  5. 中~高音域の厚みが増す「VOCAL」
  6. 音声部分の音域のみをカットする「KARAOKE」

という6パターンのサラウンドやエコーを効果的に使った音質変更機能の搭載だ。さらに音の高さを変える「キーシフト」機能もあるので、歌詞を埋め込んだMP3ファイルを用意して、さらにKARAOKEでボーカルを消せば簡単に“PCでカラオケ”が楽しめる。



WinRipは、エンコードなどを行う「ジュークボックスモード」と、音楽の再生に特化した「プレーヤーモード」と、2つのインターフェイスを持っている。こちらはプレーヤーモードで、スペクトラムアナライザの部分にKARAOKEなどのサウンド効果ボタンやキーシフトボタンが並んでいる。

エンコードを行うときは、ジュークボックスモードのこの画面から行う。エンコードしたファイルを保存するフォルダやファイル形式(WAVE/MP3/WMA)、ビットレートを選択などはあらかじめ設定しておき、録音ボタンを押せば自動でエンコードが始まるのは手軽で嬉しい。
 このほか、インターネットから曲のタイトルやアーティスト名をダウンロードできる「CDDB2」への対応、ID3タグを使ったMP3ファイル管理機能、スキンを使ってのインターフェイスのカスタマイズ、CD-Rドライブを使いMP3/WMAファイルから音楽CDの作成など、MP3ソフトとしての基本は押さえられている。ちなみにMP3のほか、WMA(Windows Media Audio)形式のファイルのエンコード/デコードも可能だ。
 簡単にカラオケを楽しむための機能が充実しているのがWinRip ARENAの最大のウリだろう。特に歌詞を埋め込むことができる点に魅力を感じるなら、価格も手ごろなのでぜひ一度使ってみてほしい1本だ。



MP3プレーヤは毎日使うものなので、本物(AV機器)志向のソリッドなデザインもいいけど、たまには楽しげな“顔”に変えてみたい気分にもなる。WinRip ARENAにはこのようなポップでカラフルなスキンデータが収録されている。

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