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悲劇のCPU・Pentium Proは復活できるか!? 後編

2001年08月07日 22時31分更新

文● 水野

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実験中のひとコマ
実験中のひとコマ。「すごい事してますね」と言われてしまったが、要はケーブルが差さって落ちないように固定できればいいわけで…

 前略、あまり間が開かないと予告しつつも何だかんだで開いてしまった「ジャンクでGO!」第6回、Pentium Pro後編でありますが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 前回、喜び勇んでCPU付きのPentium Proマザーボードを購入、というところで終わったわけですが、今回はその動作実験編。まあ順調だったと言えばそうなんですが、意外なところで手間取ったりしたわけで、詳しくは文中にて。



激安PenProマザー、正体はTyan製

Tacoma

 さて、右の写真が購入したPentium Proマザーボード。2000円なり。
 基板をよくよく見てみると、シルク印刷に「Tyan」の文字。「S1672」という型番も確認できる。早速Tyanのサイトで調べてみると、「Tacoma」というマザーボードがこの姿とぴったり一致。少なくともモノは確かそうだ。
 チップセットは440FX。Pentium Pro用としては第2世代にあたるチップセットである。Pentium Pro発売当初は第1世代の450GX/KXしかなく、完全にサーバ用で高価だったのに対し小規模サーバもしくはクライアント用として低価格化されたものである。
 拡張スロットはPCI×4、ISA×4。メモリスロットはSIMM×6。バックパネル部分のコネクタの並びが現行のATX規格とは似ても似つかないものになっているが、ATX規格が立ち上がった当初はこの辺りの仕様までは定まっておらず、わりと好き勝手に作られていたのだ。ちょうど、BabyATからATXに移行する時期の製品というわけである。
 このマザーボードにPentium ProとSocket 8用クーラーが付いて2000円。CPUはまだしも、一番レアなのは実はクーラーなのではないだろうか……。



Socket 8用クーラー
山洋製Socket 8用クーラー。実はこれが一番レア?

Pentium Proとは?

Pentium Pro-200MHz

 さてここで、今回の主役であるPentium Proについておさらいをしてみよう。
 コードネームは“P6”。それまでのPentium系CPUからアーキテクチャをがらりと変え、32bitOSにターゲットを合わせた新世代CPUとして生まれた……ものの、そのポテンシャルを生かせる環境が一般化した頃にはPentium IIに主役を譲ってしまっており、ついにメジャーになれなかった悲劇のCPUである。
 しかしその後、Windows NTが普及したこともあって、サーバ/ワークステーション用としては長期にわたって現役だったことはあまり知られていない。クロックは150MHzから200MHzまでで打ち止めになってしまった一方で、2次キャッシュは256kBから始まり後には512KB、1MBまでラインナップされ、Pentium II Xeon→Pentium III Xeon→Xeonと続くサーバ/ワークステーション用CPUの元祖となったのである。
 外観上の最大の特徴は、専用のCPUソケット“Socket 8”を採用したその巨大な姿。はじめて2次キャッシュをCPUパッケージ上に統合したためだが、当時の製造技術では歩留まりが悪く高価だったということである。
 ……ちなみに、その悲劇性と“いぶし銀”的な活躍ぶりのためか、カルト的なファンが多く、ごく少数の生産に終わった2次キャッシュ1GB版は、現在でもプレミア価格で取引されているという。



Pentium Pro-200MHz
Pentium Pro裏面。コアとキャッシュの部分でピンの並びが違っているのに注目

さて、マザーとCPUはいいとして……

たぶんSIMM
かき集めてみた「たぶんSIMM」の数々。激しく不安である

 さて、喜び勇んで買って来たはいいが、こいつをどう動かすかである。
 問題はメモリ。このメモリ価格大暴落のご時世も、SIMMとなると話は別。新品はごくたまに見られるのみとなって久しく、中古も高値安定である。それなのに、今時のOSを動かすのに十分な容量を積むとなれば目まいのしそうな出費になりそうである。
 そこでひとまずはパフォーマンスのチェックを第1の目的とし、メモリは編集部有志による提供で済ませることに。で、みんなどこにしまっていたのやら、とにかくSIMMということで集まる集まる。スロットを埋められる数は簡単に集まってしまった。
 ……何やら、一応規格上はSIMMというだけで私の知っているSIMMとはかなり違う形のものが混じってしまった。動作するかどうか激しく不安だが、とにかくやってみるしかあるまい。

 HDDは前回のジャンクHDDの回で購入したもののうち、比較的容量の大きいものを適当に選んで使用。ケースは編集部の片隅で廃棄処分になりかけていたものを引っ張り出した。ところがこのケース、電源がない。仕方ないのでベンチマーク用のものを1個拝借しよう。モニタ、ビデオカード、キーボード、マウス、CD-ROM、FDDも同様に調達し、これで「形」になるだけのものはそろった。
 果たして、動いてくれるものやら……?



Pentium Pro-200MHzSIMMその1。LG電子「GM71C17403CJ6」チップ、16MB
Pentium Pro-200MHz
SIMMその2。現在はエルピーダメモリと社名が変わったNEC「424400」チップ、8MB。オプション品としてIBM名義で販売されたものらしく、ロゴとバーコードの入ったラベルシールが何となく安心?
Pentium Pro-200MHz
SIMMその3。Hyundai製「HY5117404B」チップ、32MB。ここまで来るとほとんどDIMMである

 何だかんだで、計112MB。量だけはたいしたものではある。

よし動く! あれ動かない、なぜ?! あ、動いた……

剥き身で実験

 ジャンクだ初期不良だ以前に、何せ動作するかどうかまるっきりわからないパーツ構成(特にメモリのあたりが)なので、まずは裸のままで必要最低限のパーツだけを組み動作チェックをすることに。
 念のため、CPUクーラーはいったん外してシリコングリスをぬり直しておく。頑丈なCPUだけに、取り付けに気を使う必要がないのはすこし嬉しい。SIMMは何とか無事にスロットに収まってくれた。ちょっと固定がおぼつかない感はあるが、まあ電気的に接続されればよしとしよう。それよりもIDEコネクタが非常に固い……。外す時のことはとりあえず考えないことにしよう、うん。
 さて組みあがったら、ちょいと電源ピンをショートさせてスイッチオン。
 やがて画面に現れる起動画面……が、メモリチェックの所でピタリと止まる。ダメか……? その時、メモリカウンタが回りだす。心の中でガッツポーズ。
 のそのそと回るメモリチェックが終わり、IDEデバイス、認識。HDDランプ点灯、読み込み。「Starting Windows 98…」。
 Yes!(ガッツポーズ)



ガタ来てますか? ひよっとして。

とりあえずこんな形に

 ここまで動くのが確認できれば十分。かき集めたSIMMでも動かせば動くものである(そういう物なのか?)。さっさとケースに収め、1台できあがり。では改めてスイッチオン! …が、動かない。これはどうしたことだ? この辺りがジャンクたる所以か? いやしかし、条件は全く変わらないのに動かないというのはありえないはず。となれば方法は1つ、動いた状態にぎりぎりまで近づけてみることである。
 まず、再度マザーボードを取り出しチェック。これは起動OK。今度はケースを横に寝かせた状態で、マザーボードを固定せずに収めてみる。これもOK。とすると、固定ネジが悪さをしたのかも、ということで最低限必要なネジ3点だけで固定してみる。起動OK。
 固定できりゃいいんだ、固定できりゃ! とその状態でGO! ということにした。
 では改めてフロッピーから起動し、CD-ROMからインストール開始……と思ったら、今度は何とCD-ROMのデータを読み込めない。
 BIOSでは認識できているし、機械的な作動そのものも何ら問題ないのに、だ。そこで、いつものクセでプライマリにHDDを、セカンダリにCD-ROMをつないでいたのを、プライマリに両方をつないでみる。
 ……あ、読み込めた。
 確定です。このマザーボード、セカンダリIDEコントローラが死んでる臭いです。やっぱ何かガタがきてないですかコレ……?



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