5月15日、Linuxのための使いやすいユーザーインターフェースの開発を目指してきた米Eazelが事業停止を発表した。
EazelはLinuxをより簡単に操作するためのデスクトップ環境を開発すべく、1999年に設立された。創立には米Apple Computerや米America Onlineの出身者が多く加わり、設立当時は大きな注目を集めた。GNOME上で動作するファイルマネージャであるNautilusを開発しており、先日本誌で紹介したXimian GNOMEでも、ファイルマネージャとして採用されていたほか、Solarisにも採用されることが決定していた。
Eazelは5月8日に「Nautilus1.0.3」を発表したばかり。Cnetの報道によると、Nautilusの開発を続ける一方で2回目の資金集めに奔走していたというが、失敗してしまったようだ。16日には同社のWebサイトが閉鎖され、事業停止を知らせるメールがEazel共同創立者であるBart Decrem氏によりGNOME開発者のメーリングリストに配信されている。そのメールによると、過去6カ月にわたり資金調達を試みたが、「不幸にして、ハイテク資本市場はほとんど干上がってしまっていて、資金を確保することが不可能だった」(Bart Decrem氏のメールより)という。
今回の事業停止により、Eazelの全サービスが停止した。具体的には以下のとおり。
- 新たなユーザー登録受け付け停止
- すでに登録したユーザーのログインセッション受付停止
- “Eazel Software Catalog”へのアクセス停止および“Nautilus Installer”の機能停止
- “Eazel Service”を通じてのオンラインストレージへのアクセスが停止
オンラインストレージサービスに関しては、ユーザーには全ファイルのダウンロード方法を記載したメールを送るとしている。
NautilusはGPL(GNU General Public Licence)で配布されており、今後も開発を継続するかどうかが注目される。Bart Decrem氏によれば、Eazelがこれまで運営してきたサービスの一部であった、開発者のためのメーリングリストやバグレポートの収集/管理のためのサーバについては、Andy Hertzfeld氏(かつてはMac OS開発の中心的人物であり、Eazel創立当時からの従業員)がホスティングするという事になっているという。
一方、GNOME開発者のメーリングリストでも、すでにバグフィックスなどのメンテナンスを継続する意志を表明している開発者が現われている。少なくとも現地時間5月16日午後9時36分までは、Eazelが運営するメーリングリストへの投稿がなされており、通常のバグフィックスのための意見交換が行なわれているようであった。
Nautilusが今後どのようになってゆくのかについて、はっきりしていることはほとんどない。完全にGNOMEの一部となって生き続けるかもしれないし、このまま廃れてしまうのかもしれない。提携していた米Sun Microsystemsや米Dell Computerが何らかの支援策を講じる可能性も、まったくないわけではないだろう。今後の展開に注目してゆきたい。