米インテル社とカナダのATIテクノロジーズ社は10日(現地時間)、それぞれが持つ特許について広範なクロスライセンスを結んだと発表した。
このクロスライセンスによって両社は、互いが持つ特許をそれぞれの製品に生かすことができるという。ATIはまた、自社のグラフィックスアクセラレーターチップを統合したインテルプロセッサー向けチップセットを製造する権利を得たとしている。このライセンスが及ぶ特許の範囲など詳細については公開されていない。
インテルのPentium 4プロセッサーとIntel 850チップセット |
インテルによると、ATIが製造可能なチップセットは、Celeron、Pentium II、Pentium III、Pentium 4およびそれらのモバイルバージョンのプロセッサー向けのものであるという。また逆にインテルがATIが持つ特許を使ってグラフィックス統合型チップセットを製造することも可能であるとしている。なお、クロスライセンスはそれぞれの持つ特許の有効期間内について有効であるとしている。
ATIテクノロジーズの『RADEON 256』 |
さらに、インテルとATIの間で法廷係争中であった特許紛争についても、このクロスライセンスによって解決したとしている。この特許紛争はもともと、ATIと米Real3D社との間で争われていたもので、インテルが'99年10月にグラフィックスチップの開発製造を行なうReal3Dを買収した際に、そのまま引き継がれていたもの。
インテルは以前、米チップス・アンド・テクノロジーズ社の買収やReal3D社の技術を使い、Intel 740グラフィックスアクセラレーターを発表したが、性能がふるわずスタンドアローンのグラフィックスチップ市場から撤退した。現在はチップセットにグラフィックスチップのコアを統合したIntel 810/815を発売しているが、特に3Dにおけるグラフィックス性能は高くなく、主にビジネス向けの低価格パソコンにしか利用されていない。今回のクロスライセンスによって、3D性能やビデオ性能の高いグラフィックスコアを統合したチップセットを投入する可能性が高まった。
一方ATIにおいても、統合型チップセットが製造できるようになったことで、従来から強みを持っているパソコンメーカー向けのOEM事業をさらに強化できる。同社の高性能グラフィックチップ“RADEON”を統合したPentium 4向けチップセットや、モバイル向けのRage Mobility Mを統合したモバイルプロセッサー向けチップセットといった製品の登場が予想される。