(株)アスキーは、新しい再建計画を本日発表した。320億円の借入金のうち、200億円を返済期限7年の私募形式の転換社債に、残りの120億円の短期借入金を長期借入金に切り替えるというもので、日本興業銀行など7行に再建案の受け入れを求めており、5月中旬には主要各行の承認がえられる見通し。
また、同社の大川功会長((株)CSK会長)は、西和彦代表取締役社長が6月末の株主総会で社長から降格となることもあきらかにした。後任は、CSKから派遣される見通しで、西社長は役員としてアスキーの経営に参画する。
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左から、西和彦社長、大川功会長、橋本孝久副社長。 |
本日午後4時に開かれた記者会見では、まず、(株)アスキーの橋本孝久副社長が、'98年3月期の業績修正を発表した。パソコン出版とゲームの不振により売上は475億円、経常利益は50億円の赤字になった。また、特別損失として、関連会社の株式評価損など455億円の特別損失を計上することから、当期損失は443億円の赤字となる見通し。今後は、経営資源を、パソコン関連の出版、ゲーム、教育の3分野に集中していく方針。
続いて、大川功会長が、「今年の1月から、アスキーの経営に参画したが、本体とグループ会社を含め事業化のめどの立っていないものは、今回すべて損失を計上することにした。アスキーには、非常に優秀な技術者も多く、セガの次世代ゲーム機や情報家電、CSKのインターネット事業などに協力してもらう」と説明。また、西社長の進退については、「経営者としての責任をとってもらい、6月末の株主総会で代表取締役社長は退いてもらうが、役員としてアスキーの経営に参画してもらう。また、CSKやセガの事業にもいろいろアイデアを出してもらうことになるだろう」と述べた。
記者会見場に遅れて到着した西社長は、大川会長に続いてコメントを発表した。「パソコン市場のマイナスにより、雑誌と書籍が伸びなくなったうえ、ゲームの開発に遅れが出たために、業績が悪化した。環境の変化を読み誤ったのは、経営陣の判断の誤りが原因であり、深く反省している。3月から役員報酬50パーセントカットをしており、また、大川会長に進退伺いを出している。今回このような大きな損失を出すことになったが、アスキーの再建には自信をもっており、アスキーは取引先や銀行やお客様に迷惑をかけることなく、今後も日本のためにいい仕事ができると思っている」(報道局 佐藤和彦)
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