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【INTERVIEW】「目前のビジネスチャンスに対して、数週間で対応できるソフトウェアを持つことが重要」――米インフォミックスの金融サービスマーケティング担当者に聞く

1999年12月20日 00時00分更新

文● 聞き手/構成:クリエイシオン 高木利弘

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銀行や証券会社を初めとした金融関連企業での、データベース、データウェアハウスなどの利用の現状について、米インフォミックスソフトウェア社のファイナンシャル・サービス・マーケティング担当ディレクター、ブラッド・スピバック(Brad Spivack)氏にお話をうかがった。

米インフォミックスソフトウェア社、ファイナンシャル・サービス・マーケティング担当ディレクターのブラッド・スピバック氏
米インフォミックスソフトウェア社、ファイナンシャル・サービス・マーケティング担当ディレクターのブラッド・スピバック氏



――今回、来日した目的は?

「“CTCファイナンシャル・ソリューション フェア'99”で講演するためです」

――ブラッドさんは、どのような仕事をされているのでしょうか?

「金融サービス部門のグローバルマーケットの責任者です。具体的には、各国のパートナー企業と提携し、広告宣伝を行ない、販売チームやエンジニアリングチームと連携して、銀行や証券会社などの顧客に対して最適なアプリケーションを提供していくことが私の仕事です」

――オラクルやサイベースなどと比較して、インフォミックスの特徴はどのようなところにあるのでしょうか?

「最も大きな特徴は“Time to Market”、つまり開発にかかる時間の短さです。われわれの製品を使えば、競合他社の製品を使うよりも、より短い時間でアプリケーションを開発することができます。どの産業分野の技術専門家に聞いても、“このように競争が激化し、変化の激しい時代には、3年後に完璧なアプリケーションが完成するよりも、今すぐに使えるアプリケーションがあることのほうが重要だ”と言うでしょう」

「インターネットに代表されるように、ビジネスのスピードが非常に速くなっている時代には、目前のビジネスチャンスに対して、数年ではなく数週間で対応できるソフトウェアを持つことが重要なわけです」

――インフォミックスの特徴を考える上で、1つにはそのルーツの違い、取り組んできた分野の違いというのがあると思うのですが、その辺はいかがですか?

「我々はさまざまな分野で成功を収めてきましたが、特に2つの分野の問題に対して大きな実績を上げてきました」

「1つの分野は、問題が非常に複雑なケースです。たとえばアメリカン航空では、それぞれのフライトにおいて各座席ごとに最大限の収益を上げるための管理システムの開発を求めていました。こうした問題の解決には、博士号を持つ数学者が取り組まなければならないような高度な数学的解析が必要となります。リアルタイムで価格体系を変化させるシステムが必要となり、従来の標準的なハードウェア、ソフトウェアでは対応が不可能でした。インフォミックスは、データベースの記述レベルでオブジェクト・リレーショナル・ケーパビリティーを持っているので、これを実現することができたのです」

「もう1つの分野は、データ量が非常に大きいケースです。First UnionやCTC、FleetBoston Financial、MCI WorldComといった企業が顧客データのデータウェアハウスにインフォミックスを採用しているのがその証明です。何百万、何千万というデータ量になると、小規模のデータウェアハウスでは問題にならなかったようなことが、大きな問題になってくることがあります。インフォミックスはこうした規模の大きなデータウェアハウスの分野で安定した成果を上げ、高い評価を得てきました」

「大量、複雑なデータに対応できることがインフォミックスの特徴」という
「大量、複雑なデータに対応できることがインフォミックスの特徴」という



――金融マーケットにおけるインフォミックスのアドバンテージはなんでしょうか?

「データウェアハウスの構造をピラミッドにたとえると、一番下の階層はData Integration(データの統合)になります。まず第1に、大きな金融機関では顧客データが20から30ものデータベースに分散して記録されているのが一般的です。これらの顧客データを参照して、同一人物のデータを統合し、さらに関連するデータ、たとえば配偶者や子供など家族のデータを統合していくといったことが必要となります」

「次に、その上に来る階層はStore(データの蓄積)です。その上にAnalyst(データの解析)の階層が来ます。そして、ピラミッドの頂点に来るのがBank Management(銀行経営)の階層です」

「金融機関にとって情報のビジネス価値は、下から上にいくほど高くなっていくわけですが、これまで多くのデータウェアハウスが、Bank Managementの部分で失敗しているという状況がありました。それらは、確かにData Integrationをうまく行なうことができ、Storeもそこそこ行なうことができるのですが、銀行の経営陣にとって意味のある形で情報をフォーマット化し、提供することができませんでした」

「特に最近では、Bank Managementの情報は、銀行のトップの5、6人だけが利用するのではなく、カスタマーリレーションやアカウントを担当する幹部クラスが利用したり、銀行によってはヘルプデスクのスタッフにまで公開するようになってきています。こうしたBanking CRM(Customer Relations Management)のニーズに応えられるのは、我々の製品『Informix Decision』だけと言っていいでしょう」

「金融マーケットにおけるインフォミックスのアドバンテージとは、このようにビジネス価値の高いBank Managementに対するソリューションを提供できるとともに、上から下まですべての階層に対してベストなソリューションを提供できるということです。Data Integrationの階層は米Ardent Software社、Storeの階層はレッドブリック、Analystの階層はパートナーのSASインスティテュート社などの製品が提供します」

編集部注:先日、インフォミックスがArdent Softwareを買収することで合意したと発表された。レッドブリックは、昨年インフォミックスが買収。

――金融マーケットの最近の傾向で特に目立つことはなんですか?

「例えば株価を例にとると、従来は1日の出来高や寄り付き、高値、底値、終値といったデータに注目して分析をしていましたが、現在では個々の取引データ全てに注目して分析を加えるということが重要になってきています。ウォールストリートでも、シティでも、東京市場でもそうですが、ゴールドマンサックスをはじめ各証券会社は、こうした個々の取引データの分析のために膨大な投資をしているのです」

「1日ごとのデータであれば、過去10年分のデータでも2GBくらいですから、デスクトップのSunのワークステーションにデータを持ってきて分析することも可能です。しかし、個々の取引データとなると1日でもTB(テラバイト)という膨大な量になりますから、とても不可能です。センターの大規模サーバーにあるデータを解析するというサーバーセントリックなモデルが必要になってきます」

「こうした分析には、Time Series Data(時系列データ)という特別な種類のデータの管理が必要となりますが、それは通常のリレーショナルデータベースではできません。リレーショナルデータベースは、すべてのデータをテーブルで管理するため、オーバーヘッドが発生してしまうからです。インフォミックスは、オブジェクトデータベースであるため、この時系列データの管理をすることが可能なのです。そして、個々の取引データを生データのままで管理することができるのもインフォミックスだけです」

「オブジェクトデータベースだから、取引の生データを管理できる」
「オブジェクトデータベースだから、取引の生データを管理できる」



――オンラインバンキングへの対応はいかがでしょうか?

「米シティバンクは最近、“Citi f/i”というウェブバンクを始めました。Citi f/iでは、2010年までに顧客数を10億にする計画なのですが、この中心システムに採用されたのがインフォミックスです」

――貴社のホ-ムペ-ジにはさまざまな導入事例が紹介されていますが、たとえば東北大学加齢医学研究所の脳画像データベースの例では、画像データのハンドリングに優れている点が評価されています。それもインフォミックスの特徴といっていいのでしょうか?

「そうです。くり返しになりますが、インフォミックスはオブジェクトデータベースのため、株価のような時系列のデータやCAD/CAMのデータ、サウンド、静止画、動画といったさまざまな種類のデータを生のまま管理することができるのです。このため医療関係ではCTスキャンやMRI(核磁気共鳴画像)、X線などの画像管理に使われていますし、放送関係ではBBCやCNN、NBCなどさまざまな放送局で採用されているのです」

――日本の金融マーケットについては?

「インフォミックスは、日本のマーケットを非常に重視しています。私自身の立場で言えば、日本の金融マーケットは、世界の金融マーケットの動向の中で非常に重要なポジションにあると考えています。インフォミックスの製品をお使いいただければ、アプリケーション開発から導入までの時間を大幅に短縮し、激しい競争の中で差別化を図っていただけるものと確信しています」

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