【Linux Conference 2000 Spring レポート】Linux Japan編集長の風穴江氏による「Linuxキホンのキ」
2000年04月19日 00時00分更新
日本Linux協会(以下JLA)とソフトバンクフォーラム(株)は4月18日、Linuxユーザーを対象としたイベント“Linux Conference 2000 Spring(以下LC2000)”を東京・有明の東京ファッションタウンで開催した。開催期間は、18日から20日までの3日間。
LC2000初日の18日、Linux Japan編集長の風穴江氏による「Linuxキホンのキ」と題されたチュートリアルが行なわれた。Linuxを知り尽くすLinux雑誌の編集長のチュートリアルとあってか、会場はほぼ満席だった。しかし、機材の不調のためとはいえ、30分近く遅れてのスタートは残念だった。
Linux Japan編集長、風穴江氏 |
風穴氏は、まず、「Linuxは多面体のようなもので、見る人、見る角度によって、違った見え方や意味を持つもので、だからこそ、このような2時間のセッションができる」、と述べ、Linuxの生い立ちから語り始めた。
Linuxの生い立ち
- 1990年前後、PCを使用してプログラムを書くような人の多くには、UNIXへの憧れがあった。それは、モチベーションというよりは、フラストレーションといえるぐらい強いものだった
- そうした人々の一部は、教育用のUNIX風OS「MINIX」を使用しており、MINIXコミュニティの中からLinuxは生まれた
- 1991年10月のバージョン0.02のLinuxは、MINIXからファイルシステムやコマンドなどを借りて来なければ、起動すらしなかった
Linuxの実体
- 「Linux」として開発されているのは、カーネルのみ。狭義で「Linux」といえばカーネルのことを指す
- 最近では、コマンドを寄せ集めたOS環境(ディストリビューション)を「Linux」と呼ぶことも多い
- Linusが自分だけで全てをやろうとせず、周りを巻き込んでいったのが、Linuxの素早い成長の一因である
Linuxの特徴
- AT&Tのライセンスに縛られない、UNIXクローンである
- 開発は、インターネット上のLinuxコミュニティにより、実用性重視で行なわれている
- GPL(GNU General Public License)に従いソースコードを公開している
Linuxの取り扱い
- 日本では「フリーソフトウェア」という言葉に混乱があり、無料の意味で使用されることが多いが、GPLの元の「フリーソフトウェア」の「フリー」とは、自由の意味である
Linuxの種類
- Linuxは、本来カーネルだけなので、OS環境として使用するためにディストリビューションがつくられた
- ディストリビューションは、ソフトウェアのパッケージ方法の違いにより、RPM系、Debian系、Slackware系に分けられる。そのほかにも、パッケージ管理をしないものや、ベンダーによりチューニングされたものもある
- Linuxが自由なソフトウェアであるために、多様なディストリビューションが存在する
- ディストリビューション間の互換性を保つために「Linux Standard Base」を策定しつつある
- 既存のディストリビューションに対する不満は常にあり、その不満を解消したディストリビューションが現われるので、今後もディストリビューションは増え続けるだろう。多様性こそLinuxの原点である
Linuxはどこへ行くのか?
- 新機能を満載したkernel 2.4が開発中
- kernel 1.2系列は、現在も使用されており、セキュリティホールに対する対応も素早くなされているので、新しいものにこだわる必要はない
最後に風穴氏は、「使いたいシステムを、使いたいように使うのが一番いい。それが面倒臭いのなら、サポート契約を結べば良い。自由な選択肢があるのが、Linuxの素晴らしいところである」と語り、講演を締めくくった。