水素エンジン搭載車を開発しているメーカーは数社あり、その中でもマツダの水素ロータリーエンジンは特に有名です。しかし、同じ水素を燃料としながら、まったく違うアプローチで開発を進めているのが高級セダンの雄、ドイツのBMW社です。
マツダが圧縮水素でロータリーエンジンを動かすのに対して、BMWが開発した水素エンジン車「Hydrogen7」では、液体水素でレシプロエンジンを動かすのです。燃焼温度の関係でレシプロエンジンよりロータリーエンジンを選択したマツダに対し、新型7シリーズに搭載される6リッターV12エンジンというモンスタースペックのレシプロで水素燃料に挑むBMW。行き着く先は同じなのに、辿る道がまったく別なのが興味深いところです。
両水素のメリットとデメリットを簡単に挙げると、圧縮水素はあまり純度が高くなくても燃焼させることができますが、水素分子が小さいために貯蔵タンクをすり抜けてしまうという欠点があり、その保存方法がネックになっています。液体水素は文字通り液体なので保存しやすいのですが、熱に非常に弱いために-252.6℃を越えると蒸発してしまうという欠点があります。現時点ではどちらも一長一短であり、どちらが優れているのか、どちらの水素が正解なのかは、まだ答えが出せないようです。
BMWがエコに対してどのような考えを持っていて、水素自動車の開発がどのくらい進んでいるのか。同社のウェブサイトでは特別コンテンツとして水素自動車についての情報を発信しています。読み物としても楽しめるので、ぜひ一読をオススメします。