オンキヨーマーケティング(株)は31日、PCI接続のサウンドカード「WAVIO」シリーズの新製品「SE-200PCI LTD」を発表した。価格はオープンプライスで、予想実売価格は2万5000円前後。4月5日に発売する。
2006年11月発表の「SE-200PCI」(関連記事)のリミテッド版という位置付けで、基板レイアウトや仕様に関しては基本的に同等。パルス性信号を除去するために、アナログ2ch出力の直前に設けられていたVLSC回路に銅製のシールドカバーを付け、外来ノイズの悪影響を防止。同時に使用するコンデンサーを全面的に見直すなど、音質の最適化を行なった製品である。
製品の開発に際しては、試聴と改良を繰り返し、部品メーカーとともにカスタムのオーディオ用コンデンサーを共同開発した。これにより高周波ノイズが低減され、高域の再現性も向上したという。
解像感が向上し、個々の音が浮き立つ
今回東京にある同社の試聴室に手持ちのCDを持ち込み、通常版との比較することができた。一度自作パソコンにリッピングしたCDのデータをアナログ2chの出力で同社の単品アンプ「A-977」に接続し、ブックシェルフスピーカー「D-312E」で再生するというものだ。全体に音の透明感が増し、弱音や残響の表現がより鮮やかになったことを確認できた。
例えば、三村奈々恵独奏によるアルバム「マリンバ・スピリチュアル」(ソニーレコード)の3曲目(デボラのテーマ)。冒頭のクレッシェンド部分はマリンバの連打によって実現されているが、システムの再現性が不十分だと1音1音が長い音符のように聴こえてしまう。従来製品のSE-200PCIでも若干その傾向があるが、SE-200PCI LTDでは音がきれいに分離して再現された。
また、バイオリンソロを中心にしたアルバム「五嶋 龍/RYU GOTO」(ユニバーサル)の3曲目「シャコンヌ」では、伴奏を担当するパイプオルガンの低域部の旋律がより明瞭に表現され、バイオリンも高域まですっと伸びた豊かな倍音を聴かせてくれる。
今回の製品は、SE-200PCIと外観上の差はほとんどなく、計測器による数値なども変わりないが、実際に出てくる音は確かにワンランク違う印象。単品オーディオコンポとの組み合わせでも違和感なく使えるポテンシャルの高さだ。すでにSE-200PCIを所有しているユーザーも、ぜひ一度静かな環境で試聴してみることをオススメする。