米国時間の2026年2月3日、米国市場でテック株の一部が大幅に値を下げた。
同じ日のロイターの報道によれば、目立ったのは、ソフトウェアを提供する企業の値下がりだ。日本でも名を知られている企業としては、アドビとセールスフォースはいずれも7%値下がりし、S&P 500ソフトウェア・サービス指数は3.8%下落している。米国市場でソフトウェア株が売られた流れを受け、翌4日の東京市場では、任天堂株が11%値下がりした。
ソフトウェアを提供する企業の株に売りが集中したきっかけとみられているのは、AI企業アンスロピックが提供するClaudeの新しいサービスだ。利用者数ではChatGPT、Geminiに及ばないものの、コーディングや法人向けの分野で、強い存在感を示している。
アンスロピック社が提供する新しいサービスとは、Claudeの法務プラグイン(Legal Plugin)だ。企業の法務部門向けで、契約書のレビューや、製品やサービスをリリースする際の法令のチェックなどに力を発揮するAIだ。
この結果、これまでホワイトカラーのビジネスマンたちが担ってきた、契約書のチェックや、新たな取引先を選ぶ際の信用調査、リサーチなどの業務がAIに代替されるおそれが高まる。ホワイトカラーの労働者が減少すれば、業務を支援するさまざまなソフトウェアもAIに代替され、ソフトウェア企業間の競争が激化する―。3日の米国市場の下落は、こうした予測が背景にあったと考えられている。
Claudeはこれまで、エンジニアに人気のAIだったが…
Claudeを開発、運営しているアンスロピック社は、2021年に設立された、とても若い企業だ。OpenAIの幹部だったダリオ・アモデイCEO(最高経営責任者)らが創業メンバーで、誤った回答を回避するアルゴリズムや、ユーザーが入力したデータの管理などの面で評価が高い。企業としての評価額は3500億ドル(約54兆6600億円)で、市場からも極めて高い評価を得ている。
ClaudeというAIにはどのような特長があるのだろうか。Claudeは、ChatGPTやGeminiと同様に、自然な言葉で人間とチャットすることができるが、むしろチャット以外の機能で評価が高く、ITエンジニアかいわいでの利用者が多いとされる。
エンジニア向けの技術情報が集積するサイトで、AIツールに対する愛着をたずねたところ、Claude Sonnetが67.5%でトップ。Geminiの推論モデルが65.2%で続いた。ClaudeCodeというコーディングに特化したAIの精度が高く、誤ったコードを書いた場合でも、自律的に誤りを見つけて修正する能力が、高い評価の背景にある。
本格的なエージェントAI時代の到来か

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