仮想通貨(暗号資産)価格の上昇が続いている。
暗号資産交換業者(仮想通貨取引所)GMOコインによれば、2024年2月29日の終値でビットコインは929万5409円まで上昇した。1年前の2023年2月28日の終値316万9357円と比較すると、ビットコイン価格は2.9倍に跳ね上がっている。
仮想通貨に資金が集まる要因として、米国の証券取引委員会によるビットコイン現物ETF(上場投資信託)の承認や、2ヵ月以内に到来しそうなビットコインの半減期などが指摘されている。
しかし、米証券取引委員会がビットコイン現物ETFの上場を承認したのは、米国時間の1月10日のことだ。
GMOコインのデータによれば、1月10日の終値は673万円台だった。1月22日から25日は500万円台後半に値下がりし、その後の終値は2月8日まで600万円台で推移していた。ビットコイン価格は2月9日に700万円台を超え、2月28日には900万円台を突破している。この値動きを見ていると900万円台突破には、むしろ別の要因があると思えてくる。
現物ETFの登場
まず、1月10日には、米証券取引員会がビットコイン現物ETFの上場を承認した。現在、米国では10種類ほどのビットコイン現物ETFが売買されているようだ。
ETFの取引が始まったことで、米国でビットコインに投資したい人は、仮想通貨取引所に口座を開設しなくても、証券会社の証券口座を通じてETFを売買することができるようになった。
この結果、証券会社、投資銀行や資産運用会社といった機関投資家や、これまで仮想通貨に懐疑的だった個人投資家が、ETFであれば仮想通貨の売買がしやすくなると予測されていた。
実際、現物ETFには資金が流入している。3月1日のブルームバーグによれば、取引開始以降の資金の純流入額は70億ドル(約1兆500億円)を超えている。
ただ、1月10日の承認が、ただちにビットコインの価格上昇につながったとは考えにくい。むしろ2月8日までの約1ヵ月間のビットコイン価格は、500万円台後半から600万円台を行ったり来たりしている。
4月下旬?の半減期
もうひとつのビットコイン価格上昇の要因と見られているのは、ビットコインの半減期だ。
ビットコインの取引に欠かせない膨大な計算はマイニングと呼ばれ、コンピュータでその計算に参加すると報酬としてビットコインを受け取ることができる。この報酬は定期的に半分に減ることになっていて、それが半減期と呼ばれている。
半減期で新たに発行されるビットコインが減ることで、供給が減る。その結果として、希少性が維持されるとも理解されている。新たに市場に出回るビットコインが減れば、価格は上昇しやすい。
ビットコインの半減期を計算するサイトもある。3月2日朝の時点で「ビットコインブロック報酬半減カウントダウン」(Bitcoin Block Reward Halving Countdown)を確認すると、半減まで50日と表示されている。3月2日から50日後は4月21日だが、半減期は日々のビットコインの取引量で前後する。
4月21日前後に発生する半減期で、ビットコインの新規発行は減る。供給が減れば価格は上昇しやすくなる。50日後の価格上昇を予測し、いまのうちにビットコインを買っておこうと考える人は少なくないだろう。こうした動きが、価格を押し上げる要因のひとつになっているのは間違いないはずだ。
米国の株高と利上げ
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