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35万円はお買い得です
ASUSが発売した「究極」の2画面モバイルノート「Zenbook DUO」実機レビュー
2024年03月04日 11時00分更新
ASUSから2画面ノートPCの完成モデルがついに発売された! 2018年に「Project Precog」という2画面を搭載した「AI PC」のコンセプトモデルを発表してから6年となる。
コンシューマー向けに2880×1800ドットの14型OLEDをデュアルで搭載し、AIアクセラレーションを担うNPUを内蔵したインテルCore Ultraプロセッサーを採用した「ASUS Zenbook DUO UX8406MA」(以下Zenbook DUO)が発表されたのだ。
グローバルではCore Ultra 7版が1499.99ドル、Core Ultra 9版が1699.99ドルだが、日本向けはCore Ultra 9搭載モデルのみで34万9800円だ。17.3型フォルダブルノートPCの「ASUS Zenbook 17 Fold OLED」は64万9800円だったので購入するには清水の舞台から飛び降りる覚悟が必要だったが、Zenbook DUOならブランコからジャンプするぐらいの勇気があれば購入可能である。
今回、ASUSからレビュー機材を借りて使ってみたのだが、結論からお伝えすると本製品は「買いの1台」だ。まずは通販サイトなどで予約してから、じっくりと本記事を読むことをオススメする。
14型OLEDを2台搭載しながら
Bluetoothキーボード込みで1.65kgの軽量ボディー
日本向けに用意されるのはグローバルで上位に位置づけられる1モデルのみ。上位モデルを日本市場に投入した英断を、ASUS JAPANに感謝したい。
OSは「Windows 11 Home」、CPUは「Core Ultra 9 プロセッサー 185H」(16コア「6P+8E+8E+2LPE」、22スレッド、最大5.1GHz、45W、Intel Arc Graphics、Intel Ai Boost)を採用。メモリーは32GB(LPDDR5X-7467)、ストレージは1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレーは、メインとセカンドのどちらも、14型OLED(有機ELディスプレー)で、2880×1800ドット、16対10比率、最大輝度500ニト、DCI-P3カバー率100%、リフレッシュレートは120Hzだ。視野角水平170度/垂直170度、グレア、タッチ対応、ペン対応で70%ブルーライトカットを採用する。
強化ガラスは通常のノートPC用の6倍の耐久性を誇る「Corning Gorilla Glass」を装備。映像面ではDolby Vision、音声面ではDolby Atmosに対応しており、コンテンツプレーヤーとしてのポテンシャルも高い。
インターフェースは、Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen1 Type-A、HDMI 2.1(TMDS)、3.5mmコンボジャックを用意。加えて、Bluetoothキーボードと有線接続&充電するための「ドックポート」を装備する。Bluetoothキーボード自体にもUSB Type-C端子が用意されており充電可能だが、ドックポートから自動的に充電される。ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6EとBluetooth 5.3対応だ。
ウェブカメラは顔認証対応の207万画素赤外線(IR)カメラ、マイクはアレイマイクを装備。キーボードはバックライトを内蔵した84キー日本語仕様。キーは静音仕様で、タッチパッドには指紋防止加工が施されている。
本体+Bluetoothキーボードのサイズは313.5×217.9×14.6~19.9mm、重量は本体のみで1.35kg、本体+Bluetoothキーボードで1.65kgである。
4セル、75Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA2.0では、
本体+Bluetoothキーボード:16.6時間
本体のみ:10.9時間
JEITA測定法3.0では、
本体+Bluetooth キーボード:7.9時間(動画再生時)/13.0時間(アイドル時)
本体のみ:6.6時間(動画再生時)/10.7時間(アイドル時)
で、バッテリー充電時は約1.8時間だ。
なお、本製品には「Microsoft Office Home and Business 2021(プロダクトキー同梱版)」が同梱。「Microsoft 365」を契約しているユーザーには使い道がないので、マイクロソフト様にはぜひキャッシュバックとかポイント還元的な施策をぜひご検討いただきたい。
リアル2画面ノートPCとしての利用スタイルは多彩
ASUSならではの秀逸な2画面向けインターフェース&ユーティリティ
デタッチャブルなBluetoothキーボードを備えたリアル2画面ノートPCの利用スタイルはとても多彩だ。
セカンドディスプレーにBluetoothキーボードを置けばノートパソコンモード、Bluetoothキーボードをはずせばデュアルスクリーンモード、本体を横置きすれば合計で18.9インチの広大なデスクトップモード、メインとセカンドに同じ画面を表示すれば共有モードとさまざまなスタイルで利用できる。
フォルダブルノートPCと違ってメインとセカンドディスプレーの間にベゼルがあるが、これだけ広大な画面は複数ウインドーを配置してこそ有効活用できる。実際に使ってみた感想としては、「切れ目」は実用上はまったく気にならない。
むしろフォルダブルのOLEDの表面は傷が付きそうな不安感があるので、強化ガラス装備のZenbook DUOのほうが安心して使い倒せるはずだ。
タッチパッドに液晶ディスプレーを搭載した「ScreenPad」、キーボード奥に配置する大型タッチディスプレーの「ScreenPad Plus」のあとに、フォルダブルノートPCをリリースしたASUS最大の強みが、独自のユーザーインターフェースだ。
6本指タップで仮想キーボードの表示、3本指タップで仮想タッチパッドの表示、5本指を広げるジェスチャーで2画面に対して全画面表示、タイトルバーの上下フリックでもうひとつのディスプレーへ移動などのジェスチャーを搭載。
またアプリを素早く整理する「アプリスイッチャー」や、ワンクリックで登録済みのアプリウインドーをまとめて起動する「タスクグループ」などの機能も実装している。2画面ノートPCのユーザーインターフェースのトップランナーは間違いなくASUSだ。
今回、Zenbook DUOを日常的にも使ってみたが、やはり本領を発揮するのはデュアルスクリーンモード。特に電子書籍を見開きで読むのが雑誌感覚で非常に快適だ。
縦スクロールのウェブトゥーンも流行っているが、まだまだ見開きマンガのほうが主流。そして、その迫力は段違いである。横型19.8インチのOLEDディスプレーでどこでもマンガを読めるZenbook DUOは、電子書籍リーダーとしても非常に魅力的だ。
ディスプレーの色域とペンの使い勝手も◎
キーボード分離型ながら打鍵感もいい
また、本製品とスタイラスペン「ASUS Pen 2.0」の組み合わせでは、4096段階の筆圧検知に加えて、傾き検知も利用可能。片方の画面で写真を見ながら、もう片方の画面でイラストを描けるわけで、クリエイターの方にこそぜひ使ってほしいマシンである。
Bluetoothキーボードの厚みは5.1mmと薄いが、キーストロークは1.4mmを確保。キーピッチも実測19.2mmを実現しており、打鍵感も良好だ(いずれも実測値)。
そのうえ本体に乗せても、分離しても使えることが、本製品の利用スタイルをさらに広げている。一部キーは密着しているが、「\」キー以外は等幅に揃えられており配列も素直。フルスピードでテキスト入力できるキーボードに仕上がっていると太鼓判を押せる。
メイン、セカンドディスプレーは最大輝度500ニト、DCI-P3カバー率100%と謳われているが、実際にカラーキャリブレーション機器で実測したところ、sRGBカバー率は100%、sRGB比は153%、AdobeRGBカバー率は96%、AdobeRGB比は113%、DCI-P3カバー率は100%、DCI-P3比は113%という広色域を確認できた。
AdobeRGBカバー率も95%を超えており、AdobeRGBの色空間で撮影したRAW画像の現像にも活用できるディスプレーだ。
207万画素赤外線(IR)カメラは、RGBカメラとIRカメラが独立しており、室内灯下でも明るく、低ノイズで撮影が可能。またアレイマイクには、双方向のAIノイズキャンセリング機能が実装されている。高品質な画像、音声でオンライン会議に臨めるわ。
Core Ultra最上位の威力
Core i7-1360Pの153%のマルチコア性能を記録
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