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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第175回

NFT、大手の参入相次ぐ ブームか、本物か。

2022年04月18日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 NFT(Non-fungible Token、非代替性トークン)市場への、大企業の参入が相次いでいる。

 2022年4月13日にはLINEがNFTのマーケットプレイスを開設した。

 吉本興業の芸人のネタや、アニメ作品「機動警察パトレイバー」の動画や画像をNFTとして販売する。

 2月と3月には、楽天、SBIもそれぞれNFTのマーケットプレイスを開設している。

 大企業が参入する以前から、NFTは大きな成長が見込まれるマーケットとして期待されてきた。実際に、世界でのNFTの取引は、2021年上半期ごろから急拡大している。

 ただ、海外では地味に減速が始まっているとも取れるデータもある。

将来のブレイク芸人を探せ?

 多くの異論がありそうだが、NFTはいまのところトレーディングカード(トレカ)に例えて説明するのがよいのではないか。

 レアで人気の高いポケモンのカードは、発売時の数百倍の価格で取引されている。

 4月上旬に報じられたニュースによれば、米国の人気YouTuberがプロレスに登場した際、7億円のピカチュウのレアカードを首からぶら下げていたそうだ。

 YouTuberが持っているのは、世界で最も高価なポケモンカードとも言われている。

 吉本興業がLINEのマーケットプレイスで販売するのは、芸人のコント動画だ。

 3つのネタが1セットで、3000円の価格が付いている。

 27組の芸人のコント動画54本が販売されていて、54本そろえた人には、27組のサインNFTが贈られる。

 通常のサインや限定動画と違うのは、購入者にはNFTが付与されることだ。この動画やサインはコピーではなくオリジナルであることを証明する履歴が、ブロックチェーン上に記録される。

 吉本芸人について多くの知識はないが、27組の顔ぶれは、若手あるいは中堅と呼ばれる芸人たちが多い印象を受ける。

 今後、27組の芸人の中からブレイクする芸人が出た場合、ポケモンのトレカのように、サインやコント動画の価格が数百倍に跳ね上がるかもしれない。

 FMラジオ局J-WAVEも、NFTで新人ミュージシャンを支援するプロジェクトを始めている。こちらは、ミュージシャンのデモ音源をNFTとして販売する。

2025年に9兆円市場に?

 NFTのマーケットをめぐっては、少なくとも今後数年間に関しては強気の予測が目立つ。

 1年前の記事ではあるが、ロイターは2021年7月6日、2021年上半期にNFTの売上は約25億ドル(約3138億円)に達したと報じた。

 2020年の上半期は1370万ドル(約17億円)ほどのマーケットだったが、日本円換算の単純計算で、市場規模はが1年で184倍に急拡大したことになる。

 さらに2022年1月21日のcoindeskによれば、投資銀行ジェフリーズは、2022年の市場規模を約4兆円と見込み、2025年には9兆円を超えると予測している。

先行するマーケットプレイスには減速感も

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